子供たちの歌は終わらない6


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「…」
「ちょっとシンちゃん、聞いてるの?」
「え?は、はい。ごめんなさい…。」
「全くもう~。ちょっと最近仕事しすぎて疲れてるんじゃないの?」

ミサトさんに怒られるのももっともだ。
急な来客と突然の情報に驚いてからもう10日は経つ。
本来ならばミサトさんに有休届けを叩きつけてトウジ、
正確に言えば彼の奥さんの元へアスカの事を訊きに行くべきなんだろう。
でも、それができなかった。

 あの忌まわしいサードインパクトがあって、日常は戻ってきたけれど、
僕の中にはまだ眠っている罪の意識がある。
あの日、僕はアスカの首を絞めて殺そうとした。
一端、地球上60億人の命を全て奪っておいて、
それでいて結局戻ってきた僕が最初にしたことは、
自分の大事な人を殺そうとすることだった。

「気持ち悪い」の一言。
アスカは見事にその一言で、僕を射抜いた。
随分逆説的だし、遠回りだったけど、あれで僕たちは
お互いにお互いを必要としている、とわかった。
彼女は彼女なりに自分の気持ちに整理をつけ、
僕は僕のやり方で自分の気持ちに気づいて、彼女に永遠の愛を誓った。


けど、あの時の罪の意識は消えない。あの時の感覚は、消えない。
だから、日常が戻ってくるにつれ、僕は目の前の仕事に没頭した。
仕事に集中していれば、そういったことが逃れることができた。
アスカの倍以上に膨らんだ残業手当。当然帰宅は毎日零時過ぎ。
アスカは、その間、独りで僕を待っていてくれた。
それがまた、だんだん僕の心に重くのしかかっていた。

 ある時、久しぶりにデートをした。
とあるデパートで彼女が見つけたバッグ。
アスカの目があれだけ輝いたのを見たのはいつ以来だったのだろう?
普段使っているデイパックが10個以上買えるような値段に驚き、
手持ちがなかったせいもあって、カードで払った。
「高すぎるからダメだよ」とは言えなかった。言えるわけもなかった。
僕はアスカに嫌われるのが怖かったから。
それが始まりだったんだよなぁ…。

 そして、今もそうだ。僕は仕事に没頭することで、
とりあえず目の前に横たわる巨大な影から逃れようとしている。
この10日間、家に戻っていない。
不眠不休で働いていた。自分の仕事が半ば尽きてしまってからは、
青葉さんや日向さんの仕事を無理矢理手伝わせてもらっていた。
そうでもしないと、押し潰されそうだった。
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