40

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その瞬間、パンッ!とフラッシュが焚かれたような真っ白な光がはじけ飛び、 同時に何かが爆発したかのような音が僕の鼓膜を貫いた。 その光のあまりの眩しさに僕は思わず目を瞑り、 その目を開けた時には、アスカは目の前に腰掛けていた。 至近距離の中、アスカは黙って僕を見つめる。 僕も声を失ったかのように黙ってアスカを見つめる。 先ほどの残光が目から消え、アスカに焦点が合うまでしばらく沈黙が流れる。 「ずっと、ずっと、シンジを待っていたわ。」 ゆっくりと動くアスカの口の動き。耳を通して聞こえる声。 アスカだ。僕の最愛の妻だ。 右手は、繋がれたまま。このまま放したくない。いや、怖くて離せない。 「僕もだよ、アスカ。君と会える日をずっと待っていた。」 「…」 「何?」 「この手」 「え?」 「あの日、あたしを救ってくれた、この手。」 アスカの両目から涙がこぼれ落ちる。 「シンジはいつもこの手で、あたしを救ってくれた。」 「…うん」 「浅間山でも、サードインパクトの時も、」 「…うん」 「あたしに自分の気持ちを気づかせてくれた時も」 「僕も、」 「僕もアスカのこの手に助けてもらったよ。」 「あたしが?シンジを?」 「そうだよ。」 「ホントに?」 「僕がアスカに嘘ついたことある?」 アスカはちょっとうつむいて、目を伏せる。左手で何度も涙を拭う。 頬が上気しているのが、わかる。 その頬にゆっくりと僕は左手を触れる。 赤みが増し、僕の手を通して、アスカの体温が伝わってくる。 気がつくと僕も、泣いていた。 「僕は…君とこの数日の間に、何度か会っていた気がする。」 「うん。」 「あれは、やっぱりアスカだったの?」 「あれ」が何を指すのか、アスカははっきりと分かっていて、 僕の目を見つめ、しっかりと頷く。 「あたしが、あなたを呼んだの。 あたしがシンジの夢に出てきたのは、あたしがあなたを求めていたから。」 「うん。分かっていたよ。」 これ以上ないくらい、まっすぐな言葉で、瞳で、 誠実に、素直に、 アスカは僕に彼女の本心を語ってくれた。 「あたしは、ただ、寂しかったの。シンジに傍にいてほしかったの。」 今となってはもう戻れないけれど、 僕はこの数日でアスカの想いを痛いほど心に染みこませてきた。 だから、僕も。 「うん。あの時は気づかなかったんだ…。本当に後悔しているよ…。」 僕たちはいつの間にか、ベッドの中で横になっている。 アスカとキスを交わし、髪をかき上げ、耳元で囁く。 「僕は、気づかなかった。こんなにもアスカを愛していることに。」 「あたしもよ…。」 「ごめんね」 「ごめんなさい」 2人同時に出た言葉。謝罪の言葉。 だけど、謝罪だけじゃない、色んな意味を含んだ言葉。 同時に出たことで、僕たちは少し安心する。 まだ、繋がっているんだ、僕たちは。 だから、 「アスカ…、」 「何?」 「僕たち、やり直せると思うんだ、」 「うん、」 「もう一度、一緒に」 その次の言葉は、アスカの唇によって塞がれてしまった。 僕たちは、また、1つになる。 お互いの気持ちをお互いの身体に流し込み、受け入れ、 そうやって僕たちはこの一瞬を貪った。 アスカは、やっぱりちょっと痩せたけど、 それでも美しい肌と甘美な触感をもって、僕を受け入れてくれた。 ここはネルフの施設内で、監視されてるとかどうとか、 そんなことは関係なかった。 僕たちは、確実に、その瞬間、2人だけの世界にいたんだ。

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