39

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シンクロ率がほぼゼロから一気に跳ね上がったきっかけは、 ママの魂を弐号機の中に感じたから。 その追跡調査、シミュレーションなんて何度やったかわからない。 その度にあたしは偽りのママから声をかけられ、 その度に偽りと知りながらも「ママ」と手を差し出していた。 助けを求める手を。 でも、今日は違った。 今日呼びかけてきた声は、偽りのものではなかった。 差し出す手を一顧だにせず、ママは言ったの。 「アスカ、あなたはなんでこんなところに居るの? あなたの居場所はここじゃないでしょ?」 「あたしの居場所?」 「そう、早く帰りなさい。早くしないと手遅れになるわよ…。」 その「手遅れ」という言葉を聞いた瞬間に、あたしの恐怖心が、 なぜか暴走した。 どうしてかは分からない。 ただ、シンジに会えなくなる、という恐怖が全身を一気に浸食した。 あたしはもう失いたくないの。あなたを。 助けて、シンジ。 気がついたら、あたしは溶け込んでいた。 この世界のあちこちに。 あたしは断片として、色々な場所に少しずつあたしを落としてきた。 この世界、あたしとシンジの世界。あたしとシンジだけの世界。 あたしの身体をあたしは上からぼんやりと眺め、 それからシンジを探しに行った。 助けを求めに。 素直になるために

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