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シンクロ率がほぼゼロから一気に跳ね上がったきっかけは、
ママの魂を弐号機の中に感じたから。
その追跡調査、シミュレーションなんて何度やったかわからない。
その度にあたしは偽りのママから声をかけられ、
その度に偽りと知りながらも「ママ」と手を差し出していた。
助けを求める手を。
でも、今日は違った。
今日呼びかけてきた声は、偽りのものではなかった。
差し出す手を一顧だにせず、ママは言ったの。
「アスカ、あなたはなんでこんなところに居るの?
あなたの居場所はここじゃないでしょ?」
「あたしの居場所?」
「そう、早く帰りなさい。早くしないと手遅れになるわよ…。」
その「手遅れ」という言葉を聞いた瞬間に、あたしの恐怖心が、
なぜか暴走した。
どうしてかは分からない。
ただ、シンジに会えなくなる、という恐怖が全身を一気に浸食した。
あたしはもう失いたくないの。あなたを。
助けて、シンジ。
気がついたら、あたしは溶け込んでいた。
この世界のあちこちに。
あたしは断片として、色々な場所に少しずつあたしを落としてきた。
この世界、あたしとシンジの世界。あたしとシンジだけの世界。
あたしの身体をあたしは上からぼんやりと眺め、
それからシンジを探しに行った。
助けを求めに。
素直になるために