ミサトさん、あなたはやっぱり僕たちの特別な人です2

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「パスワードを入力してください。」 え?パスワード? 一瞬僕は凍り付く。知らないよそんなもの。 落ち着け。パスワードは5回連続で間違えるとロックがかかり、 解除するには副指令のコードが必要になる。 つまり僕のやっていることがバレる。 ネルフ内において、他人、特に上司のパソコンを勝手にいじるということは… 結果は考えなくてもわかる。 少なくともアスカにはこの世の中では二度と会えなくなる。 逆に考えれば、チャンスは5回あるわけだ。 ミサトさんの事だ。僕の事を考えてこのフォルダを設定したとすれば、 僕にも簡単に推察できるパスワードの筈。 まず僕は「penpen」と入れてみた。ダメ。 次に「misato」と入れてみた。これもダメ。 ひょっとして、と「shinji」と入れてみた。これもダメ。 「aska」も試そうと思ったが、そもそもネルフのパスワード規定の 「英数字5文字以上」にあてはまらないので、止めた。 あとチャンスは2回。青葉さんが後ろを通りがかって一瞬ドキッとするが、 書類を探すふりをして (なにせ机の上の乱雑さにかけてはネルフ内ダントツNO.1だ) なんとか誤魔化した。 天啓とはあるもので、その時、ふと僕の中に何かが舞い降りた。 あるいはアスカがどこからか僕を見ていたのかもしれない。 「shinji-aska」と入力し、エンターキーを押すと、一瞬画面が白くなり、 フォルダが開いた。 「ミサトさん…」 僕たち2人を弟妹のように、ある時は我が子のように、守り、慈しみ、 愛してくれた、僕たちの大切な人。 ミサトさんは、僕やアスカの母でもあり、姉でもあった。 その想い、愛情のようなものが、枯れた泉から再び沸き上がってくるようで、 回転する砂時計の向こう側に色々な光景が蘇り、 僕は思わず涙をこぼしそうになった。 「ありがとう…ミサトさん。」 「呼んだ?」 その声に僕の心臓は止まりそうになった。 あるいは喉から一瞬飛び出したかもしれない。 驚きのあまり、椅子を吹っ飛ばして辺りを見回す。 ミサトさんはいない。 5mばかり離れたところで青葉さんがモニターをじっと睨んでいる。 暇だからってどこぞの外人バンドのライブをここで観なくても…、 と一瞬思ったが、 逆にそれに集中している青葉さんは、こちらを気にも止めない。 「しんちゃん、ここよ。」 声は、パソコンから聞こえていた。 「まずは謝らなくてはいけないわ。ごめんなさい、シンジ君。」 型遅れのメディアプレイヤーがミサトさんの声を伝える。 「今まであなたにこの計画を黙っていたことを。 でも、おそらく洞木、じゃない鈴原さんね、 彼女から聞いていたと思うけど、アスカの希望なの。 子供じみた芝居だけど、アスカがそうしたがったの。 シンジ君にはアスカの気持ちは分かってくれると思う。 アスカはこう言ったの『せめて私たち織り姫と彦星の再会を劇的なものに しないと、世界中の恋人たちに示しがつかないわよ!』ってね。」 僕は、その場面が容易に想像できて、ちょっと笑ってしまう。 同時に、ミサトさんが僕にこの計画を黙っていたことに対する ほんのりとあった怒りのようなものも、 その笑いによって薄まって消えてしまう。 「私、こういう事黙っているのは苦手だし、かと言って喋ってしまうのも苦手。 前にも同じ過ちをして、シンジ君にツライ思いをさせちゃったわよね…。」

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