The scientist2

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「ごめんなさい碇君。私にもそれはわからないの。」 期待していたから、その一言は僕を十分に落胆させた。 でも、ここで引き下がるわけにはいかない。すっと息を吸い込み、一線を越える。 「…これはミサトさん?それともリツコさん?どっちから言い出したの?」 ストレート直球勝負。僕はいきなり核心を突いてみた。 ここは、旧中央高速道のとあるパーキングエリア。 本来ならば、ここもモニターされているのだが、 僕の隣に座る優秀な諜報部員によれば、 ここ数日監視カメラが故障していて、まだ修理ができていないらしい。 ネルフの落日がこんなところで僕の助けになるとは思わなかった。 僕たちは周囲から見れば普通のカップルに見えるだろうか。 それとも深刻そうな表情を察して、別れ話でもしていると思われるだろうか。 そんなことはどうでもいい。 とりあえず、一般の、そのへんの一市民として、僕たちはアイスコーヒーを片手に ベンチに腰掛けている。 「…」 足下の一点を見つめたまま、一呼吸置いて、彼女はぽつりぽつりと話し始めた。 「もう1年以上前よね、碇君とアスカが離れることになったのは。」 黙って頷く。 「あの時、アスカをネルフに呼び出して説得したのは、私とミサトさんなの。」 「知ってるよ。」 思わず出た一言。驚いた表情で僕を見つめるヒカリ。 「夢で見たんだ。アスカ、泣いていた。」 「…そう。泣いていたわ。」 ヒカリは僕の夢の真贋は疑わずに、そのまま話を続けた。 彼女にとってこれが諜報部員として初めて任された仕事だった、というのは 意外な気もしたが、産休明けからネルフに復帰し、そこから諜報部に配属、 という流れからすると能力は認められているらしい。 自分が諜報部員であることは、旦那くらいしか知らない、とのこと。 「別に碇君に隠すつもりはなかったのよ。でも諜報部に配属された時に リツコさんに『あなたが諜報部員であることは、 特にあの2人には黙っていてちょうだい』 って言われてたの。何故なの?って思ったけど、きっとリツコさんは、 こうなることを予見していたのかもしれない…。」 確かにリツコさんとMAGIの能力をもってすれば、十分可能なことではある。 時期的にも、アスカの浪費癖が強まっていた頃でもあったし。 「本当なら、あなたたちにだけは知らせておかなきゃいけなかった、って 今までずっと思っていたの…。ごめんなさい。」 「いや、いいよ。もう過ぎたことだし。 今更それについて何か言っても始まらないし。」 「…ごめんなさい。」 彼女はうつむいたまま、肩を震わせている。 僕は知らないところで、また1人、大切な人を傷つけていたことを知る。 けれど。 「謝らなくていいよ。それよりも、続きを聞かせて。」

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