18話

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携帯のバイブの音で目が覚めた。 アスカの夢。アスカの心。 直接、僕の中に流れ込んできた、アスカの今の気持ち。 あの想い出は、確かに僕の中でも大切なもの。 アスカの気持ちに気づき、僕の気持ちに気づいた、 その瞬間が同じ時、同じ場所だったなんて、 僕はしばらくその想いに耽り、バイブレータを全く無視していた。 ふと、その音源に焦点を合わせる。 「ミサト携帯」と表示されているのを見て、僕は反射的に携帯に飛びつく。 「おはよー、しんちゃん。休暇、楽しんでる?」 相変わらず脳天気な声だ。 でも、その声になんとなく癒される。 だから僕やアスカはこの人を姉と慕い、母と慕ったのかもしれない。 「え…、まあ、はい。で、どうしたんですか?」 寝ぼけた声は出したつもりはなかったのに、一発でばれた。 「あら、お姉さんモーニングコールしちゃった?ごめんね起こしちゃって」 ミサトさんは、申し訳ないんだけど、できればちょっと戻ってきて欲しい、 それだけ告げて、電話を切った。 理由は、教えてくれなかった。 そりゃそうだ、真剣に、若干深刻に、「戻ってきて」と言いながら、 理由がこんな事ならば、例え僕だって断っていただろう。 そして、しばらくミサトさんの携帯を着信拒否にしていただろう。 「ミサトさん…、いくらなんでも汚しすぎですよ…。」 その日3度目の掃除機のフィルター交換をしながら、僕は言った。 「ごみん…。ちょっち、散らかし過ぎちゃったかな…。」 その笑顔は何年経っても昔のままで、目尻の皺が多少増えた、 なんてことは口が裂けても言い出せない。 「はい、これで終了。燃えないゴミは明後日ですからね。 さすがにそこまで面倒はみられないから、自分で出して下さいよ。」 所要5時間半。燃やせるゴミ4袋、プラスチックゴミ7袋、ペットボトルと空き缶は… 数が多すぎてよく分からない。頑張ったぞ、僕www 「サンキューしんちゃん。ありがとう。恩に着るわ。」 と言ったところでミサトさんのお腹が鳴る。 「…。」 顔を見合わせた後、思わず吹き出した。 「そう言えばもう夕方ですよね。ついでに晩ご飯作りますよ。」 そう言うとミサトさんの目が明らかに輝いた。待ってたな、この台詞を。 「さっすがぁ~。しんちゃん、サービス満点ね!お礼に今度お昼ご馳走するわ♪」 お昼ご飯って言ってもネルフの不味い社食でしょ。 「とりあえず…パスタでいいですか?」 収納庫や冷蔵庫の中を一通り眺めてから、僕は言った。

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