子供たちの歌は終わらない17

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「碇君もさぁ…」 言葉が続かない。僕の目を見てはぁっと溜め息をついて、 彼女はようやく続けた。 「鈍感だからねぇ…。」 ぐうの音どころかぱーもちょきも出ない。 ヒカリはお昼時の忙しい時間帯を終えた後に またいきなり訪れた僕を黙って迎え入れ、 お茶を出すのとほぼ同時に、そう言ったのだ。 何か、僕が言い出そうとした事は全て分かっていて、 その上で最初に結論を言われたかのようで、 僕はなぜだか顔を赤らめてしまう。もういい歳なのに。 「そもそも遅いわよ。」 そんなに責めるような目つきで言わなくても。 「わ、わかってるよ。」 僕は中学生に戻り、彼女も中学生に戻っている。 僕は内気で自省的な少年で、彼女は責任感が強く、 面倒見のいい「お姉さん」だった。 「私がアスカでもそうするわよ。」 ちょっと意地悪そうな目つきで追い打ちを喰らう。 「そ、そんなぁ」 僕は完全に中学の頃の僕で、迷える子羊だ。 先生、僕にはアスカが必要なんです、助けてください。 「いい、碇君、諦めちゃ駄目よ。 拒否されてもいいから電話し続けなさい」 「え?でも僕の携帯からじゃ…」 僕の携帯は着信拒否されている。 「何言ってるの。電話は碇君の携帯だけじゃないでしょ?」 確かにそうだ。そんなことにも気づかなかった。 瞬間、頭を抱えて自分の馬鹿さ加減を呪いたくなる。 「アスカはね、絶対に碇君を待っているから。 あの子、拗ねているだけなのよ。」 彼女にそう言われると自信が回復してくる。 そうだよな、1年も待たせちゃったんだし、 僕がこれくらいでへこたれてどうするんだ! ヒカリに相談するつもりが、散々慰められて、 僕は2度目のカウンセリング?を終えた。 ちょっと元気になり、自信が出た。 でも、ホテルの部屋から電話しても、 公衆電話から電話しても、 果ては近くの交番に電話を借りても、 彼女は僕だとわかると会話を拒否した。 まだ、僕は彼女の声を聞いていない。 彼女の声だけでも、欲しい。

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