子供たちの歌は終わらない8

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その瞬間、僕たちの足下にあった地面が消えた。 僕たちは、立ったままの格好で浮いていた。 眼下には蒼い星が見え、心地良い風が僕たちを包んだ。 「アスカ?」もう一度囁く。いつの間にか、僕は彼女の手を握りしめている。 振り向こうとして、また僕は自分が抱き留められている番になっていることを知る。 彼女の顔は見えなかった。でも、僕には確信が持てた。 この人はアスカだ。僕は独りではなく、アスカも独りではなく、 僕たちはいつもおんなじなんだ。傍にいなくちゃいけないんだ。 僕がアスカであり、アスカは僕でもあるんだ。 今僕は、どこかで眠っているだろう、アスカも同じ夢を見ていることを疑わない。 「アスカ、」僕は自分が今度は彼女を背中から抱き留めている番になってから、言う。 「待ってて。もう一度、君を迎えに行く。」 彼女が振り向いた気がした。 でも、顔が見える寸前に、目が覚めた。 しばらく天井にぼんやりと焦点を合わせていたが、 ふぅ、と溜め息をついてもぞもぞと起きあがる。 ふと、左手に熱いものを感じた。 まだしている、左手薬指にはまっている指輪。 今や、アスカとの唯一の絆とも思えるこの指輪。 熱い。火傷をしそうなくらい、熱を帯びている。 思わず洗面所に駆け込み、指輪を抜いて指を冷やす。 ふと、気づく。 抜かれた指輪には、刻印がしてあって、 そこには、「We need each other」と。 何故か、その文字が光ったように見えた。 そうだ、アスカの指輪にはこう彫ったんだ。 「We believe in one another」 それは、その時聴いていたお気に入りの曲の歌詞から採ったもの。 その歌はこう続く。 「I know we're going to uncover」 顔をばしゃばしゃと勢いよく洗い、僕は決めた。

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