14スレ目の74(ななよん)の妄想集@ウィキ

第1回パロロワ本編向け練習成果物置き場>成果物その1


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本編

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ゲーム開始はAM7:00という事で。
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=A-3(X1Y2);商店街;1日目AM7:10=
「うぅ~・・。帰りたいですぅ~・・。」
なぞは泣きたい気持ちでいっぱいだった。
気が付いたらヘンな首輪を付けられて、何処かも分からない場所で殺し合いを強要されている。
あの男は怖い、だけど殺し合いなんてしたくないし、死にたくもない。
なぞは派手な色の外装をした建物が建ち並ぶ道を、肩を落としてトボトボと歩いていた。
「さっき拾ったバッグとこの首飾りも、落とし主の手掛かりなしです・・。」
楕円形のペンダントヘッドには、何やら複雑な模様が彫られている。
なぞはヘンな模様と思いつつも、何となく右手の人差し指にチェーンを引っ掛けてくるくると振り回していた。
「あっ!!」
そう叫んだのは首飾りが宙を泳いでからだった。追いかけなくちゃ!なぞは慌てて走り出す。
首飾りは意外と速く、急いで追いかけないと見失ってしまいそうだった。
なぞは首飾りを必死で目で追いながら走る。追うのに夢中になっていたなぞは地面に転がる異物に気付けなかった。

ぐにっ!!「・・・ぐにっ!?」
ズテェーン!!「きゃあ!!」
なぞは何か軟らかい物を踏みつけ激しく蹴躓いた。おでこがとても痛い。
なぞが目に涙を溜めながらおでこを擦って立ち上がると、カターン!と乾いた音がすぐ傍で鳴る。
「痛いですぅぅ・・。!?!?!?」
なぞは’ロケット’という物を知らない。知っていれば慌てることはなかっただろう。
壊しちゃった!なぞは急いで首飾りを拾い上げると、何とか元通りにしようとペンダントヘッドをいじる。
「はわわわ!!どうしよう!どうしようで・・す・・?」
ふと、人が描かれているのに気付いてなぞはつい手を止めてしまった。
一組の男女と一人の子供。恐らく家族なのだろう。幸せそうな笑顔だ。
「わぁー!綺麗な女性【ひと】ですー♪なぞの母様と同じぐらい綺麗です♪」
「こっちの男性【ひと】は渋くて逞しそうで、なぞの好みかもです♪」
なぞはおでこの痛みも拾い上げた首飾りの現状も忘れ、その絵に夢中になっていた。

「ぅー・・・。」
「!?」
突然後ろから呻き声のような音が聞こえて、なぞはもう一つ忘れていた事を思い出す。
なぞが慌てて後ろを振り向くと、女性が一人倒れていた。
「わぁ!大丈夫でっ・・・すっ・・?」
なぞは彼女が倒れた所を踏みつけたのだと思っていたがどうやら違うらしい。
彼女は少し不機嫌そうな寝息を立てて寝ていた。
「・・・こんな所で寝てるなんて、ヘンな人です。」
なぞは呆気に取られながら彼女の顔を覗き込んでいた。
こんな非常時に、よりによって道のど真ん中で寝ているなんてどんな神経をしているのか。
このまま放って置いても良いが、この後彼女の身に何かあったら寝覚めが悪い。
なぞはとりあえず彼女を起こして話をしてみようと思い、軽く肩を叩きながら声を掛けた。
「あの、ここで寝てると危ないですよ?」
少し不機嫌そうな寝息を立てて寝ている彼女、門番【かどのつがい】にとって睡眠を邪魔する者は何者であれ敵である。
しかし、なぞにとって幸いだったのは彼女に殺気や悪意の気配がまったく無かった事と、
彼女の持って生まれた気配が’人畜無害’の類の物であった事であった。

「んー・・・。」
なぞの声掛けに反応してむくりと上半身を起こした番は、なぞの姿を見つけると突然抱きついた。
「ふにゃぁ!?」
あまりに突然すぎる出来事でなぞはそのまま押し倒される形になり、番の顔がちょうど彼女の胸の位置に埋まった。
「なな何するですか!止めるです!なななぞは!なぞには!そそそっちの”ケ”は無いですぅぅ!!」
「なぞは!ハ、”ハジメテ”は渋くて逞しい’ぼでぃらいん’の強い男性【ひと】にって!」
「・・って!ちょっと!なぞ何言っちゃってるんですかぁぁ!!はうわあああ!」
なぞは耳まで真っ赤にしてじたばたと子供みたく暴れている。
「んっ・・・この枕、ちょっと硬い・・zzZ」
番はじたばたと暴れるなぞにのしかかったままそれだけ言うと、再び寝息を立ててしまった。
「いやだから!なぞは・・・って枕?」
どうやら彼女は自分の貞操を奪おうとする気が無いらしい。なぞは暴れるのをやめてホッと一息ついた。
「・・・『ちょっと硬い』って、なぞはまだ育ち盛りだから仕方ないです!」
なぞは最後に言われた一言をふと思い出し、既に夢の中に居る彼女に反論した。

ーーーー
 ・・・あの野郎がゲーム開始を宣言してから10分。軽く荷物のチェックを済ませた俺は、
どうすればこの狂ったゲームからドロップアウトしつつ、お零れに預かれるか彼是と策を練りながらぶらぶらと歩いていた。
「ふにゃぁ!?」
何やら素っ頓狂な声が聞こえ、俺は思わず脳内作戦会議を一時中断する。
声の質から言って女の声だ。確かこの建物の反対側辺りから聞こえた。
(・・・行ってみるか。)
俺はとりあえず’偶然通りかかった’感じを出すためあえて堂々と無防備に歩み出た。

「・・・『ちょっと硬い』って、なぞはまだ育ち盛りだから仕方ないです!」
建物に沿って角を曲がってすぐ、あの素っ頓狂な声を発した主は居た。
鮮やかな緑色のロングヘア、地味に露出度が高い服装だがロリ体型&童顔なので色気の類はあまり感じない。
声の主の上にはもう一人、女が被さっている。
状況が状況なだけに死んでいるのかとも思ったが、どうやら寝ているらしい。
状況だけ見れば結構いい女が二人、ろくに抵抗ができそうに無い状況で目の前に転がっている。
普段の俺なら迷わず両方とも美味しくリョナらせて頂いてるだろう。
だが、まず今の俺には得物が無い。不恰好な鈍器が1つあるだけだ。
そして、この二人がどういうヤツで何を持っているのかも分からない。
万が一、二対一で戦う事になったら鈍器1つと俺の特殊能力だけでは流石に心細いやもしれん。
俺はこう見えても結構慎重派なのだ。危険にあえてチャレンジする蛮勇は俺にはない。
襲うべきか様子を見るべきかで悩んでいると、俺は下敷きになっている方の女と目が合った。
「あっ。」
二人は同時に声を出し、しばし空間を静寂が支配した。
ーーーー

「・・ちちちちがぁぁう!です!」
先に口を開いたのはなぞの方だった。
「こここれは!け、決してあっちの”ケ”があるとか!そぉいうのじゃなくて!」
こんな光景を男の人に見られた。パニック状態に陥るにはそれだけで十分過ぎた。
なぞは再び耳まで真っ赤にして素早く上半身を起こし、首や両手を大きく横に振って否定しながら声を張り上げた。
「だから!なぞのハ、”ハジメテ”は渋くて逞しい’ぼでぃらいん’の強い男性【ひと】にって!」
「・・てっ!なぞまた何言ってるですかぁぁ!!あうぅぅ!」
リョナたろうはその間、ただただ立ち尽くすだけだった。
「なぞは!なぞはぁ!!・・・ふにゅぅぅ~。」
混乱の極みに達したなぞは、ついに耐え切れなくなり目をまわしてバッタリと倒れた。

「・・・おーい。大丈夫かぁ?」
リョナたろうは倒れたなぞの近くに寄ってつい声をかけてしまった。しまった。とリョナたろうが思った時にはもう遅かった。
「!!だだだだ誰ですかぁ!?」
リョナたろうの存在に改めて気がついたなぞはバッと上半身を起こし、自分にしがみついて寝ている番をズルズル引きずりながら物凄い速さで後退った。
「さてはなぞやこの人を襲うつもりですか!?なぞはあんなゲームやりたくないです!」
「いやマテ、とりあえずもちつけ。・・・俺はリョナたろうってんだ。よろしくな。」
リョナたろうは遥か先に後退り警戒しているなぞを安心させるため、とりあえず精一杯の爽やかな笑顔で名乗ってみた。
「えっ?」
襲われると思っていたなぞは、リョナたろうの笑顔と落ち着いた明るい声に驚き警戒を緩めた。
「えっと・・なぞ。です。」
とりあえず相手に自分を襲うつもりはない。そう感じたなぞは目の前の男に向かっておずおずと名乗った。
ヘンな名前、モッヒーといい勝負だ。リョナたろうは噴出しそうになるのを必死に抑えた。
そして、ざっと読んだ参加者名簿でも似たような経験をした事を思い出し、再び噴出しそうになったのを堪えた。
「・・で、なぞだっけ?あんたにしがみついてるの何?お友達?」
番はまったく起きる気配が無いが、なぞから離れる気配も無い。
少し周りが煩かったせいか不機嫌そうな顔をして寝ている。
「・・なぞも、聞きたいです。」
どうやら、この二人は面識がないようだ。しかも、このなぞという女。今までの言動から行ってかなりの’バカ’だろう。
あの時問答無用で襲っておけばよかった。リョナたろうは自身の慎重さを呪った。

「リョナたろうは、ここで何してるですか?」
同じ考えだったら一緒に行動したい。なぞはそう思ってリョナたろうに聞いてみた。
「ん?まぁ、多分あんたの考えてる事と同じだろうな。」
リョナたろうはあえて明言しない。なぞの考えている事ぐらいリョナたろうには簡単に予想できたからだ。
「・・あれだ。どうせなら一緒に行くか。仲間は多い方がいい・・だろ?」
リョナたろうは態と少し間を空けて同行を申し出る。
勿論、これは一時的な物で機が熟したら美味しくリョナらせてもらうつもりだ。
それに、あの身のこなしは結構使えそうだ。この女は騙しやすそうだし利用できる内は利用させてもらおう。
「うん!一緒に行くです♪」
そんなリョナたろうの腹黒い算段も知らず、なぞは二つ返事でリョナたろうの申し出を受け入れた。
その顔は純粋無垢な可愛らしい笑顔で、リョナたろうは思わず視線をそらせた。
(ヤバいヤバい。あのまま直視していたら問答無用で襲ってしまいそうだったぜ・・。)
別に襲ってもよかったのだが、あの野郎にその一部始終を全部見られる事を考えると我慢せざるを得ない。
彼是と苦労してようやく手に入れる至福の時を、横から掠め取られるのは御免だ。
そのためにも早いところ首輪を外してドロップアウトなくては。リョナたろうは改めてそう心に誓った。

「よし、そうと決まったらとりあえず作戦会議だな。」
リョナたろうはなぞに近寄りながらそう言った。
なぞはゆっくりと立ち上がり、自分にしがみついて寝ている番を背中に背負ってバッグ2つを片手に持ち直していた。
「『作戦会議』!さっそくやるです!」
なぞは『作戦会議』という言葉に心が躍りキラキラと目を輝かせて答えた。
「まぁ待て。できれば少し落ち着けそうな場所でやりたい。作戦会議中に襲われたくもないしな。」
リョナたろうはとりあえず三人で身を隠せそうな場所に移動しようと考え提案した。
今他の参加者と出くわして襲われでもしたら、折角の獲物を横取りされかねない。
特にモヒカン【あの男】に出くわしたら最悪だ。
素手でもぶちのめすのは容易いが、万が一相手が程よい得物を持っていたら流石にちょっとてこずるかもしれない。
「そうですか、じゃあ早速探すです!」
なぞはリョナたろうが動くよりも早く走り出す。なぞは『作戦会議』を早く始めたくてウズウズしていた。
時折立ち止まっては振り返り、リョナたろうを急かすその様は正しく子供のようだった。
ますます壊したくなってきた。リョナたろうは必死に自身の渦巻く欲望を抑えた。

「おk、とりあえずもちつけ。・・・よし、その建物の中にしよう。」
リョナたろうが指差した建物には程よい高さの植物が周りを囲んでおり、垣根のような役割を果たしていた。
また、外側はガラス張りになっていて建物の中が程よく見通せる。
長いテーブルと2人掛けの長椅子が幾つか並んでいて、そこが食事処である事を主張している。
「んっ?でもこの建物、外から中が見えちゃってるですよ?」
なぞはリョナたろうの考えが分からず質問した。
作戦会議の邪魔をされたくないならばもっと隠れられそうな場所を選ぶべきだ。なぞはそう考えていた。
「いや、程よく外から見えた方がいいんだよ。誰もそんな場所に人が隠れてるなんて思わないだろうしな。」
兎に角、リョナたろうには今の状況がとてもじゃないが耐えられなかった。
早い所落ち着きたい。そう考えたリョナたろうはテキトーに思いついた尤もらしい理由を並べた。
「むっ・・・確かにそうです。リョナたろうは結構’策士’です。」
なぞはあっさりとリョナたろうの言葉を信じ、そそくさと建物の中に入っていった。
バカで助かった。リョナたろうは心底そう感じつつなぞの後を追って建物の中に入った。

ーーーー
=A-2(X2Y2);商店街の建物(焼肉屋安●亭風)内部;1日目AM7:20=
テーブルの中央は四角く少しくぼんでおり、冷たい鉄板のような物が敷いてあった。
また、脇には何やら良く分からない出っ張りがあり、これがただのテーブルでない事を表していた。
リョナたろうは先ほど外から見たときによく見えなかった場所にあった長椅子に腰掛け、
建物の中を興味津々な顔で物色していたなぞを呼び寄せた。

なぞは手に持っていたバッグをテーブルの上に置き、背負っていた番をよいしょと胸の前で抱き抱えた。
そのまま椅子に腰掛け、隣に番をゆっくりと降ろした。
椅子に降ろされた番は吸い寄せられるようになぞに寄りかかる。なぞは自分のひざをそっと貸した。
「Zzz・・やっぱ・・ちょっと、硬い。・・・zzZ」
「むっ、なぞは体鍛えてるから仕方ないです。」
番の寝言に、なぞは軽く頬を膨らませながら小さな声で膝の上の彼女に反論した。
その様子を見ていたリョナたろうは、より一層の耐え難い生理的欲求を感じていた。
「・・で、まず何するですか?」
なぞは期待に満ちた目でリョナたろうをマジマジと見つめて質問した。
「ん・・そうだな、とりあえずお互いの持ち物確認でもすっか。」
リョナたろうは突然のなぞの視線から逃れるように、慌てて恰も何か考えているような仕草で視線を外してそう返した。
「おお!『己を知り敵を知れば百戦危うからず』ってヤツですね!やっぱりリョナたろうは’策士’です♪」
己を知り・・何だって?リョナたろうはなぞから出た予想外の難しい言葉に、思わず聞き返したくなったが我慢した。
この女は確実に俺を信頼し始めている。しかも、俺の事を頭の切れる奴だと思っている。そう感じての事だった。
「・・そ、そういう事だ。つーわけで、テーブルの上に持ち物を出して行こうか。」
「はいっですっ♪」
なぞはピクニックにでも来たかのように浮かれながら、持っていたバッグの中身を1つ1つ広げ始めた。
本当はもっとはしゃぎたいが、自分の膝を枕にして気持ちよさそうに寝息を立てている女性が居るので我慢している。
そんななぞにリョナたろうは必死に欲情を抑えながら、自分のバッグの中身を広げる。
(ええい、くそっ!首輪【コイツ】さえなきゃ何の気兼ねもなくこの場で目の前の女をリョナれるのに!)
リョナたろうは心の中でそう悪態をついた。

(んっ、アレは・・。)
リョナたろうはなぞの取り出した小箱にどこか見覚えがあった。
一見するとただの薬箱だが恐らくはあの薬師、ウインドの薬箱だろう。
ただ、確かウインドの名は参加者名簿には見当たらなかったはずだから勘違いの可能性もある。
しかし、あの野郎は自身が労せず美味しくリョナるため、このゲームをお膳立てしたのだ。
となれば、そう簡単に”薬”の入った箱なんてラッキーアイテムを出すわけがない。
大方毒か何かが入っていて、参加者が”薬”だと勘違いして自滅する事を期待していた可能性は十分ある。
それに、あの小箱から漂う禍々しい雰囲気はやはりウインドのそれにしか思えない。
(・・あの野郎、マジでむかつく野郎だ。何とか裏をかいてやりてえぜ。)
リョナたろうは自身のバッグの中身を1つ1つ取り出しながら、キングの裏をかく算段を考え始めていた。

「ああーっ!!」
突然、なぞが大きな声を出した。リョナたろうは誰かを見つけたのか思い急いで周りを確認したが誰も見当たらない。
不思議に思ったリョナたろうはなぞの視線を追ってみた。
なぞの視線は、今し方リョナたろうがさりげなく取り出した物に注がれていた。
「リョナたろう、それ!どうしたんですか!?」
なぞは爛々と目を輝かせ興奮しながら身を乗り出した。
膝の上で寝息を立てている番が居なかったら、テーブルの上を這ってでも近づいていただろう。
リョナたろうはなぞが異様なまでに興味を示した”それ”をテーブルの上に置いた。
「さぁ?・・どうしたんだっけか?」
リョナたろうには本当に分からなかった。何処か清楚な雰囲気がある赤と白の服。その程度の認識しか無かった。
「それ!リョナたろうのですか!?」
「あ、ああ・・一応な。」
とりあえず、リョナたろうは自分の物という事にしておいた。
本当は服どころかバッグ自体、目の前に持って行けとばかりに落ちていた物を拾っただけでリョナたろうの物ではない。
「そう、ですか。」
なぞはまじまじと物欲しそうにリョナたろうの取り出した服を見つめている。
「・・・もしかして、欲しいのか?」
十中八九そうだろうとは思いながらも、リョナたろうは一応聞いてみた。
「へっ!?いや!べ、別に欲しいってわけじゃ・・ないです、が・・・欲しい・・・かもですぅ。」
なぞは恥ずかしそうに視線を落としてもじもじとしている。
ああ、やっぱりな。リョナたろうはそんななぞの姿を見て一息つくと切り出した。

「・・・欲しけりゃやるよ。」
「ホ、ホントですか!?」
なぞの顔が一瞬にして歓喜に染まった。思わず立ち上がりそうになってしまい慌てて座り直す。
番は少しだけ不機嫌そうに呻いたがまたすぐに寝息を立てた。
「で、でも何か悪いです。」
「じゃあ、代わりと言っちゃなんだがその”箱”くれよ。」
リョナたろうは躊躇うなぞにさりげなく物々交換を申し出た。
「えっ?この薄汚くて気味の悪い小箱で、いいですか?」
『薄汚くて気味の悪い』ときたか、あながち間違いではないな。リョナたろうはニヤけそうになった。
「ああ、別にいいぜ。’仲間’だろ?」
リョナたろうは笑顔でそう言った。役に立ちそうに無い服で役に立ちそうなウインドの薬箱らしき物が手に入る。
リョナたろうは自然と顔が綻ぶ。
当然、なぞはリョナたろうの笑顔の裏に隠された意味に気づいていない。
「あっ、ありがとうです!兄様!」
なぞは満面の笑みで一礼するとテーブルの上に置かれた服を手にとった。
「あ・・”あにさま”だって!?」
リョナたろうは驚いた。確かに見た目は自分より年下そうではあったが、『兄』と呼ばれた経験はない。
「リョナたろうは、なぞにとってはもう’兄様’みたいな人です♪」
なぞは貰った服を抱きしめ頬擦りしながら答えた。
本当に分かりやすい女だ。リョナたろうは呆れながらも、己の性癖を呪い始めていた。
リゼ【忌み子】の一件以来、影で自分の事をロリコン呼ばわりする輩が居るという噂をちらほらと聞いていた。
リョナたろうは言わせたい奴には勝手に言わせておけばいいと考えていたが、この様では否定できない。
現にリョナたろうの欲望は年下女の’兄様’で爆発寸前だった・・・。

「早速、着てくるです。」
なぞはそう言うと物陰を探して周りを見渡した。
「ちょっと、いいですか。」
なぞは膝の上で寝ている女性の肩を軽く叩いて呼びかけた。
「んー・・・?」
呼びかけられた番は薄く目を開けた。
「なぞ、ちょっとだけ離れるです。すぐ戻ってくるから待ってて欲しいです。」
なぞは優しい声で寝ぼけ眼の彼女に言った。
「んっ・・。」
番はむくりと上半身を起こすと、そのまま反対側の柱のような物に寄りかかって目を閉じた。
「じゃあ、リョナたろう兄様、行ってくるです。・・・覗いたら酷いですよ?」
なぞはリョナたろうにそう告げると、いそいそと少し離れた仕切りの後ろに向かって走り出した。
「さて、今のうちに・・。」
リョナたろうはなぞが立ち去った隙を見て、彼女が持っていたもう一つのバッグの中に視線を落とした。
恐らく、今向かい側で寝ている女の分なのだろう。
なぞの居る手前、今まで物色するのは控えていたがこんな状況で呑気に寝ている奴が悪い。
リョナたろうはなぞが戻ってこないか時折仕切りの方を見ながら、番のバッグの中身を漁った。
「うほっ、いい刃物。」
武器として使うには些か小さすぎる気もするが、手元にある不恰好な鈍器より幾分頼れそうだ。
リョナたろうは番のバッグから小さな刃物を取り出すと、刃の部分にテーブルに備えてあった紙を巻いて懐に忍ばせた。
「それから、一応見とくか。」
リョナたろうは小箱を開けた。
「おk。やっぱあいつのか。」
ビンのラベルが所々剥げているが字体はとても見覚えがある。ウインドの字だ。
そして何より小箱から伝わるこの禍々しさ、これはウインドを知ってる者なら絶対に分かるだろう。
虫食いの場所を頭の中で補間した所、毒薬1本、痺れ薬1本、媚薬2本は確認できた。
それらを投与するのに使う注射器も入っている。
(まぁ、これだけ入ってればいっか。ありがたく使わせてもらうぜ。)

「これ、実は前から一度でいいから着てみたいなって思ってたです♪うーん、やっぱり可愛いです♪」
着替えが終わったなぞは、満面の笑みを浮かべ軽やかなステップを刻みながらリョナたろうの待つテーブルへ戻ってきた。
この女、もはや完全に俺を信頼している。俺が居ればこの状況を何とか無事過ごせると考えている。
目の前で無邪気にくるくると舞う彼女を見てリョナたろうはそう確信し、なぞに見られないようにニヤリと笑顔を浮かべた。
(後は、どうやって首輪【こいつ】を外すか。だな。)
「・・・でも、どうしてリョナたろう兄様は巫女服なんて持ってたですか?」
なぞはふと疑問に思い、じっとリョナたろうの方を見た。
「んっ!?そ、それはだなぁ・・・。」
『みこふく』?
昔”みこ”とかいう神官の類の職に従事する女が着ている服と聞いたような気がするが、
どうせ作り話だろうと思って軽く聞き流した気がする。よもや、実在していようとは・・。
「・・ハッ!もしかして!?」
なぞは突然何か閃いたような顔をしながら目を丸くして、そしてじとーっと軽蔑の眼差しを向け始めた。
ヤベぇ、ウソがバレたか?リョナたろうは少しだけ焦った。
「兄様、女装趣味はあまりよくないとなぞは思うです。」
「・・・おk、どーしてそうなる。」
少しでも焦った自分の度胸の無さが腹立たしい、リョナたろうはそう思いながら呆れた表情でなぞに答えた。
「違うですか?じゃあ、何で持ってたです?」
なぞは軽蔑の眼差しでリョナたろうを見つめ続ける。
「・・妹だよ、妹が忘れて行ったから届けてやろうと思ったんだ!」
「でも、兄様は確かに『俺のだ』となぞに言ったですよ。」
どうして、この手の人種はこう変な所だけはしっかり覚えているんだ。
そう感じつつもリョナたろうはもう反論するのも面倒になり、なぞの言う女装趣味を認めた。
「やっと、素直になったですか。人間、ウソはよくないです♪」
なぞはそう言うとまた笑顔になり、寝ている番の隣に座った。
待ってましたと言わんばかりに番は彼女の膝の上に倒れこんでくる。
「あっ、いい匂い。・・・でもやっぱ、ちょっと硬い・・zzZ」
「・・・もう、いいです。」
なぞは膨れながらも、膝の上で気持ちよさそうに寝ている彼女に反論するのを諦めた。

しかし、改めて『みこふく』に身を包んだ彼女を見るとますますいい。
この女は何としても俺の獲物にしたい。徹底的にリョナってやりたい。
早く天真爛漫な笑顔が苦痛の絶望に染まり、おかしくなっていく様を見てみたい。
このままでは、俺が精神的にリョナられすぎておかしくなっちまう。
リョナたろうは恨めしげに自分の首輪に触った。
「何だか、いまいちです・・・。」
確かになぞの言うとおりだった。
結局なぞの持っていた物はやけに鮮明に人の絵が描かれている蝶々型のチェーン付きペンダントと、ウインドの薬箱。
対してリョナたろうの持っていた物は不恰好な鈍器となぞが着ている『みこふく』だけだった。
リョナたろうは番の持ち物はざっくりと漁っていたが、その時にはめぼしい物は見当たらなかった。
(まぁ、薬箱と刃物が手に入っただけでもよしとするか。)
「・・・しかも、なぞが出した物は全部、なぞの物じゃないです。」
そうだろうな。どうせ、気づいたら目の前に拾って行けと言わんばかりに落ちてたんだろう。
リョナたろうはそう思ったが、あえて黙っていた。
「あの”箱”も・・。でも、どうしても着てみたくて、ウソついたです。なぞは・・悪い娘【こ】です。」
リョナたろうの予想通り、なぞは先の物々交換に応じた事を悔やんでしょんぼりと俯いてしまった。
「・・別に、気にしてねーぞ。」
「えっ?」
どうせ、こんな状況なのにご丁寧にも落とし主を探して返すつもりだったのだろう。
リョナたろうはそう踏んで言葉を続けた。
「こんな状況じゃ、その服は俺が持ってても使い物にならねーしな。あんたが要らなかったら棄てようと思ってたぐらいだ。」
「それに、その服はあんたに似合ってる。」
なぞはリョナたろうの『似合ってる』という言葉に目を丸くして顔を赤らめながらリョナたろうの方を向いたが、すぐにまた俯いた。
「うぅっ、リョナたろうはやっぱりなぞの’兄様’みたいな人です・・。」
なぞは両手で目をこすりながら、しくしくと泣き始めた。
リョナたろうみたいな優しい’兄様’だったら、本当に欲しい。
兄弟の居ないなぞはそんな幸せな空想を描きつつ泣き続けた。
「・・・これであんたに3回同じ言葉を言う気がするが、とりあえずもちつけ。」
これ以上泣かれるとこっちが違う意味で泣きたくなってしまう。
そう考えたリョナたろうは目の前で泣き続ける’みこふく女’に声をかけた。


「・・・なんにせよ、まずはこの首輪を何とかしよう。」
「んっ・・・何でですか?」
リョナたろうはなぞが落ち着いたのを認めてからそう切り出した。
ごしごしと片手で目を擦っていたなぞは若干鼻声になりながら聞き返す。
「あの男が言っていた通りなら、首輪を外さない限りずっと俺達はあの男の掌の上に居ることになる。」
「それじゃ、折角脱出方法を見つけてもあの男にバレて先回りされるのがオチだろ?」
「あっ、確かにです。」
リョナたろうはあえて『あの男』と言った、一応彼女に自身の本性を悟られないための配慮のつもりだった。
なぞはまったくリョナたろうの些細な心配もよそに素直に頷いた。
「当然、この作戦会議もあの男には監視されてるだろーな。」
「!?」
なぞはハッと何かを思い出したかのように突然顔を強張らせ、そして真っ赤になって俯いた。
あのカミングアウトも先の着替えも全部見られていたなんて。嗚呼、穴があったら入りたい。
なぞは恥ずかしさで胸がいっぱいになった。
「・・・兎に角、あまり声や音で意思疎通を図るのはいくない。」
リョナたろうは真っ赤になって俯いたままのなぞに構わず言葉を続ける。
「そこで、できる限り目立たない動作で”合図”のような物を作っておこうかと思う。」
「おおー!”通し”ってヤツですか。流石リョナたろう兄様、’策士’です♪」
『とおし』?なんだよそりゃ。リョナたろうは時折飛び出す’なぞ語’に戸惑いながらもできる限り小さな声で続ける。
「声や音を使わないとすると後は何かに書くか身振り手振りで伝えるかだが。監視されているならどっちもウマくやらねーとすぐにバレるだろーな。」
「ふむふむ・・じゃあまずはそれを三人で考えるですね?」
「まぁ、そういう事だな。って、三人?」
どう考えてもこの場に二人しか居ないだろう。リョナたろうは不思議そうな顔をした。
「この女性【ひと】も入れるです。」
なぞは自分の膝の上で寝息を立てて気持ちよく寝ている女性を目で指した。
「いや、そいつは気持ちよく寝てる事だし起きたら後で教えればよくね?」
「あっ、それもそうです。」
二人はとりあえず机の上に広げたままの持ち物をバッグに戻し、”合図”を考え始めた。

ーーーー
=A-2(X2Y2);商店街の建物(焼肉屋安●亭風)内部;1日目AM7:30=
それからの二人は合図を決める事に夢中だった。
確かに外から一見しただけでは此処には誰も居ないようにしか見えない。
だが、あくまで見た目だけだ。絶対に見つからないわけではない。
何時だろうと、何処だろうと、決して油断してはいけない。それがこの狂気のバトルロワイヤル【ゲーム】。
少しばかりの油断でも死に直結するこの場において、二人は今少しばかりの油断をしていた・・。

つづく。

現在状況

●キャラクター名
なぞちゃん

●現在位置
A-2(X2Y2)商店街の焼肉屋安●亭っぽい建物の中、テーブル席に座っている

●健康状態
普通

●装備武具と詳細
巫女服【巫女服(一日巫女)】(実は一度着てみたかった可愛い服、新品同様、サイズぴったり)

●道具と詳細
デイパック
食料(2日分)
真水(1Lペットボトル2本分)
懐中電灯(電池残量不明)
地図(現在位置不明)
コンパス(動作未確認)
参加者名簿(一応内容確認済み、内容は殆ど覚えていない)
なぞの衣装(お気に入りの服、巻き込まれる前日にしっかりと洗ったばかり)
変な模様の首飾り【エリナのロケット(まじ☆はーど)】(綺麗な女性と自分好みの男性とその子供が鮮明に描かれている、蓋が開いたまま)

時計(24Hデジタル式腕時計、右手首内側に装着中)

●現在同行者への見解(前回との差分)
  • 門番
ずっと寝てるヘンな人だけど放っては置けない、いざとなったら守る、一応信用している
  • リョナたろう
頭の切れる’策士’で本当の’兄様’にしたい優しい人、好みのタイプではない、いざとなったら絶対に守る、完全に信用している

●今後の行動予定と優先順位
1:首輪を外す方法を探す→リョナたろうと合図を考える
2:番を安全な場所まで連れて行く
3:首飾りとバッグの落とし主を探す


●キャラクター名
門番【かどの つがい】

●現在位置
A-2(X2Y2)商店街の焼肉屋安●亭っぽい建物の中、テーブル席でなぞちゃんの膝枕で寝ている

●健康状態
睡眠中

●装備武具と詳細
無し

●道具と詳細
デイパック
食料(不明)
真水(不明)
懐中電灯(電池残量不明)
地図(現在位置不明)
コンパス(動作未確認)
時計(24Hデジタル式腕時計)
参加者名簿(不明)
後不明・・・

●現在同行者への見解(前回との差分)
  • なぞちゃん
いい匂いのする、ちょっと硬い枕、一応信用している
  • リョナたろう
存在すら知らない、眼中になし

●今後の行動予定と優先順位
1:寝る


●キャラクター名
リョナたろう

●現在位置
A-2(X2Y2)商店街の焼肉屋安●亭っぽい建物の中、テーブル席に座っている

●健康状態
普通

●装備武具と詳細
小さい刃物【果物ナイフ(こどく)】(刃の部分にその辺にあった紙を巻いて懐に携行)

●道具と詳細
デイパック
食料(3日分)~本当は2日分~
真水(1Lペットボトル2本分)
懐中電灯(電池残量不明)
地図(現在位置不明)
コンパス(動作未確認)
参加者名簿(ざっと目を通した、女の名前っぽいのや印象に残った名前だけは覚えている)
ウインドの薬箱(Rクエスト)(注射器と毒薬1本、痺れ薬1本、媚薬2本確認済み)
不恰好な鈍器【AM500(怪盗少女)】(使い方不明、弾2発、安全装置未解除)

時計(24Hデジタル式腕時計、左手首外側に装着中)

●現在同行者への見解(前回との差分)
  • 門番
ずっと寝てるただの馬鹿か度胸の据わったいい女、眼中になし
  • なぞちゃん
滅茶苦茶リョナりたくて仕方ない女、最優先ターゲットで絶対に自分一人だけで楽しみたい

●今後の行動予定と優先順位
1:首輪を外す方法を探す→なぞと合図を考える
2:なぞをリョナるタイミングを計る(番はついで)
3:なぞを利用する方法を考える