14スレ目の74(ななよん)の妄想集@ウィキ

ウエストパンクへようこそ。 > ACT-01 > #01

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荒野――。
それは、数多の生命いのちが朽ちてできた、墓場。
そこでは嘗てかつて
生命のあったむくろが、狩猟者となって他の生命を捕らえ、引きずり込み、喰らう。
それはまるで、失った生命を取り戻さんが如くに。
この星、ウエストパンクは、そんな大地が大部分を占める不毛な星。

「・・・もぅ、限、界。」

そして、今日も。
一つの生命が、その輝きを失おうとしていた。

(流石に・・・一ヶ月・・・飲まず食わずじゃぁ・・・ねぇ・・・。)

肌色の大地に崩れ落ちた生命。
それは、太陽よりも明るい橙色の髪を持った、褐色肌の女性だった。

(嗚呼・・・最期に・・・アレ、食べたかった・・・なぁ・・・。)

流れる風に彼女のポンチョが棚引きたなびき、今一度立ち上がれと持ち主に声援を送る。
しかしその時、突如としてささやかな声援を掻き消す轟音が響いた。

(そっか・・・。 デスバードカレが・・・来ちゃった・・・か。)

デスバード。
それは、最大で身長4メートルを越す巨大な鳥。
彼は弱った獲物を見つけると、獲物の上空でゆっくりと旋回して啼く。
獲物を他の生物に盗られないように威嚇することと、獲物を怯えさせ弱らせることがその行動の目的だ。

(仕方ない・・・なぁ・・・まったく・・・。)

デスバードの巨体が作る薄闇の中、彼女は小さな溜め息をついた。
彼女は最期の気力を振り絞るようにして呟く。

「・・・優しく・・・喰ってね。」

その後、彼女は空よりも蒼い瞳をゆっくりと閉じ、深い闇の底へと堕ちて・・・。

「・・・あっ。」

突然、なにかを思い出したかのような声をあげた彼女が、閉じた瞳を開く。

「そうだ・・・喰う時は・・・焼いた方が・・・おいしいかも・・・よ。」

恐らくは上空のデスバードへの助言のつもりだろう。
彼女は助言を終えると、再びゆっくりと瞳を閉じ昏いくらい谷の底へ・・・。

「・・・あとっ。」

またなにかを思い出したのか、彼女が瞳を開く。

「味付けは・・・ソースが・・・いいな・・・。 でもまぁ・・・醤油でも・・・いいや・・・。」

まるで、料亭で料理を注文するような台詞を呟き、彼女はまた瞳を閉じた。
今度こそ、彼女はあらゆる生命の輝きを飲み込む漆黒の闇の中へ・・・。

「・・・と、それから。」

『まだ、なにかあるのか。』と、この光景を目撃していた者は呆気にとられた声をあげただろう。
整えられた前髪に隠れている蒼い瞳を開いて、彼女は呟く。

「焼き加減は・・・そうだなぁ・・・。 じっくりとが・・・いいなぁ・・・。」
「あっ・・・そういえば・・・煮るという手も・・・あるね・・・。」
「もし煮るなら・・・塩茹でが・・・いいなぁ・・・。 ちゃんと・・・旬の野菜も・・・いれてね・・・。」
「それから・・・えっと・・・」

・・・恐らく、彼女が初めてだろう。
この大地において、今にも消えそうな生命であるにも関わらず、その輝きに陰りが全くみえない存在は。
彼女はその後1時間余り、好みの調味料やお勧めの調理方法などを独り言のように呟き続けた。
その後、遊び疲れた子供が眠りにつくように、彼女は笑顔で漆黒の海原へと意識を泳がせたのだった・・・。