14スレ目の74(ななよん)の妄想集@ウィキ

誓いの輝石~Avenge~ > #13 > パートE


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

ネスの瞳にラスの姿が映る。
その姿は悔しさを噛み殺すように唇を締め、伏し目がちに俯いた物であった。
ネスは態と周りに聞えるように溜め息をつき口を開く。

「・・・私は、ちょっとアソびに行くだけだと言ったはずだ。違うか?」

ラスは俯き唇を締めたまま、なにも口にしようとしなかった。
ネスはそれに構うことなく淡々と問い掛ける。

「なのに何故、後をつけるような真似をした。挙句、足を引っ張りやがって、それでも相棒かよ。」

その様子を今まで腕を組んで静観していたタクトが口を挟む。

「おいおい、流石にソレは言いすぎだろ、ネス。」

ネスに冷たい視線を向けられタクトは思わずたじろぐが、大きく深呼吸をして口を開く。

「大筋のことしか聞いてねーけどさ、ラスはラスなりに精一杯やってたんじゃねーの?」

タクトは鼻先を軽く掻き、苦笑いを浮かべながら言葉を続ける。

「・・・それによ、ラスの心配性は今に始まったことじゃねーだろ?」

タクトの問い掛けにネスは暫し黙り込んだ。
そして、溜め息をつき視線をラスへ戻しながら問い掛ける。

「・・・そんなに他人【ひと】がやろぉとすることが気になるってか? 私のやること為すこと、全てに首突っ込まなきゃ気がすまねぇってか?」

しかしラスは、ネスの問い掛けに俯いたままなにも答えようとしなかった。
ネスは淡々と問い掛けを続ける。

「お前、私の保護者にでもなったつもりか? ホントにできると思ってんのか? ・・・弱いくせに。」

『弱い』という言葉に、ラスの眉が僅かに動いた。
しかしすぐに、以前と同じように俯く。
ネスは暫しラスを見据え、それから大きく息を吸って口を開いた。

「・・・その結果があのザマか。保護者面して飛び出してきて、あのザマか。ふざけるのもいい加減に・・・」
「――いい加減にするのは、貴女ですわっ!!」

拳を背後の壁に叩きつけ、遂に堪忍袋の緒が切れたアスが怒鳴った。
ネスは全く物怖じすることなく、アスにゆっくりと視線を向ける。

「さっきから黙って聞いていれば、人の気も知らずによくもぬけぬけとっ!! ラスさんがどれほど、心配していたか分かってますのっ!!」

アスは噛み付くように怒鳴る。
しかしネスは、まるで聞いていないかのように冷たい視線を送り続ける。

「ラスさんはっ・・・!! ラスさんはっ・・・!!」

アスは握り拳を震わせ、暫し黙り込む。
それから一度深呼吸をして、再び口を開いた。

「・・・だいたい、あのままでは二人とも死んでいたなんて、どういうことですのっ?」
「どういうこと・・・だと?」
「そこまで言うほどあの男を殺したかったのなら、彼のことなんて気にせず殺していれば良かったでしょうっ! 違いますことっ!?」

アスの言葉にネスの表情が僅かに陰る。
しかしすぐに持ち直すと、溜め息混じりに答えた。

「・・・言われなくてもそうしてただろうな。・・・アンタが居なけりゃ。」
「私が居なかったら・・・ですって?」

アスは怪訝な表情を浮かべネスを睨む。
ネスは余裕の笑みを薄く浮かべながら軽く頷き、言葉を続ける。

「あの爆発騒ぎをアンタが黙って見過ごすとは思えなかったからな。ラス【コイツ】にはまだ使い道もあるし、どーせならってこった。」

ネスは一息ついて、付け加える。

「・・・誤算があったとすりゃ、アンタにもあの男と因縁があったってことぐれーだ。」

アスは暫し沈黙した後、応える。

「・・・黙って見過ごさないと言う点は、否定しませんわ。」

アスは一旦言葉を切り、息を吸って再び口を開く。

「でも、無謀過ぎですことよっ! 私がいつ到着するかまでは分からないでしょうっ!?」

アスは今にも飛び掛りそうなくらいに激しい剣幕で怒鳴った。
しかし、ネスは涼しい顔で淡々と応える。

「だから、あーやって時間を稼いでたんだろ。」
「・・・それに、使い道があるって、いったいどういう了見ですのっ!? 貴女、彼をなんだと思っていますのっ!!」
「なんだって・・・相棒だ。」
「そんなの・・・相棒ではありませんわっ!! 相棒と言うのは・・・互いに助け合う物ですわっ!!」

アスは胸元で握り拳を作り、伏し目がちに怒鳴った。
それから射抜くようにネスを睨みつける。

「ラスさんは危険を顧みず貴女を助けようとしたっ! それなのに、貴女は共倒れの道を選んだ挙句にその態度っ! 相棒失格なのは貴女の方ですわっ!!」

アスはネスを睨みつけ指差す。
その激しい怒りの視線に、ネスの表情がまた僅かに陰る。

「私でしたら、大変な思いまでして来てくれた相棒に、そんな仕打ちなんてっ――」
「――やるよ。」
「・・・はっ?」

突然のネスの言葉に、アスは思わず呆けてしまった。
アスが硬直しているのを見たネスは、呆れた表情で大きく溜め息をついて言葉を続ける。

「そこまで言うならくれてやっから、やってみせろって。」
「なん・・・ですって・・・っ!?」

アスの身体が怒りで震えだし、全身の毛が逆立っていく。
ネスは口元に不敵な笑みを浮かべて言葉を続ける。

「元々、私は一人で好き勝手にやってくつもりだったしな・・・。それに、ソイツじゃなくても、代わりはいくらでもっ――」

脱兎の如くネスに肉薄したアスの平手打ちが、ネスの言葉を遮った。
ネスははたかれた状態のまま、視線だけをアスに向ける。
アスはネスの胸倉を掴み上げ強引にベッドから引っ張り立たせる。

「このっさいっっていっっ女ぁぁぁぁぁっっッ!!」

怒りの篭ったアスの拳が、ネスの顔面を何度も吹き飛ばす。
しかしネスは一切抵抗する様子も見せず、ただ不敵な笑みを浮かべ続ける。
その様子に、仲裁の機会を窺っていたタクトが慌てて止めに入った。

「お、おい、アメリアさんっ! 流石にそれはやりすぎだって!」
「その手を離しなさいっ!! この程度、彼の味わった苦しみに比べたら、足元にも及びませんわっ!!」
「で、でもだからってよ、暴力に訴えるのもどーかと思うぜっ! ってか、ネスもとりあえず、一言謝ってさ・・・!」

懇願の篭ったタクトの視線を、ネスは鼻で嗤う。
そして、嘲笑混じりにアスへ問い掛けた。

「・・・ふふ、これで・・・気が済んだか? ・・・アス。」
「おっ、おいっ! ネスッ! なんてこと・・・っ!」

タクトが動揺した隙を突き、アスはタクトの手を振り解いた。
そして、一際長く拳を引きながら怒鳴った。

「気が済むワケ・・・ありませんわっっ!!」
「――もう、やめてくださいっ!! 二人ともっ!!」

アスの渾身の一撃がネスの顔面に触れる直前、ラスの叫び声が室内に響き渡る。
アスの拳はその場でぴたりと止まり、そのまま硬直した。
ラスは小さく安堵の溜め息を漏らし、言葉を続ける。

「僕が悪いんです。勝手に彼女の後をつけてあの男に捕まった、僕が悪いんです。」
「違いますわっ!! ラスさんは全く悪く・・・」
「僕が余計なことをしたからっ! ネスさんは傷付き、あの男を寸での所で討ち逃したのですっ!」

ラスの悲痛な叫び声に、アスは言葉を詰まらせゆっくりとラスの方に首を向ける。
ラスは顔を俯かせながら、口を開いた。

「・・・だから、お願いです。彼女を離してください。」
「で・・・でもっ、わ、私は・・・っ・・・!」
「怒りが収まらないのでしたら・・・代わりに、僕を殴ってください。」
「っ!?」

その言葉にアスの瞳が大きく見開かれ、両手が小さく震えだした。
アスは歯を食いしばって無理矢理震えを抑えると、俯きながらゆっくりとネスを離す。
ネスはベッドに力なく腰掛け、前屈みになって呆然と床を眺める。
その様子をアスは一瞥すると、俯いたまま扉に向かって歩き出した。

「・・・あ、今は外に出るのはやめといた方が・・・」
「・・・下に行くだけ・・・ですわ。」

タクトの呼び掛けに、アスは精根尽き果てたかのような弱々しい声色で応える。
そして、アスはゆっくりと扉を開け部屋の外へと出て行った。