14スレ目の74(ななよん)の妄想集@ウィキ

誓いの輝石~Avenge~ > #13 > パートB


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「――っしゃぁっ! ハデに暴れてやろうぜぇっ!!」

国立資料館の入口が遠くに見える大きな通りの真ん中で、頭に赤いバンダナを巻いている男が声高に叫んだ。
周りに居た男達がその声に応えハンドボムを周りの施設に打ち込む。
結果、次々と施設は倒壊し、至る所で火の手があがりだした。

「ハハハッ! 後は国立資料館をぶっ飛ばすだけだなっ! 治安部隊の連中は今頃この付近に居ねぇはずだし、楽勝だぜっ!」

赤いバンダナを巻いた男が国立資料館の方を向き、周りの男達と高笑いをしていた時である。

「――あれ? その前に、中央資料室から資料を持ち出さねぇといけねぇんじゃなかったけ?」

突然背後から聞えてきた女性の声に促され、男は今回の仕事内容について思い返してみた。
そして、仕事内容に資料の持ち出しがあったことを思い出して手を打った。

「おっと、いけねぇ、忘れてた! ったく、面倒なことを頼まれちまったぜっ・・・。」
「大変そぉーだなぁー・・・。前金分くらいはもうやったし、この辺でやめて帰っちまってもいいんじゃねぇー?」
「うーむ・・・それもそうだが、追加報酬は欲しいしなぁー・・・。」

女性の誘いの言葉に、男の心の中でこの仕事を完遂するか中断するかの葛藤が始まった。
男は首を傾げ悩む素振りをしながら、声の主に相談を持ちかけようと振り返る。

「どう・・・す・・・・・・っ!?」

男は驚愕の表情で立ち尽くした。
目の前、少し手を伸ばせば届くような至近距離に、赤いアンダーテイルの女性が立っていたからだ。

「よっ♪」

右目に大きな刀傷を携えた彼女は、笑顔で左手を軽くあげて挨拶をする。
彼女の言葉で我に返った男はすぐさま飛び退いて叫ぶ。

「だっ! 誰だテメェッ!!」
(マジ、誰だコイツ!? つか、よく考えれば・・・今回の仕事仲間に、女なんて居なかったじゃねーかっ!!)

周りの男達も彼女の存在に全く気付いていなかったらしい。
男の叫び声に周りに居た男達が一斉に彼女の方へ振り向き、驚愕していた。
彼女は呆れたように肩を落とし溜め息混じりに答える。

「おいおい、勘弁してくれよ・・・。今の今まで誰一人、私に気付いてなかったとか、やる気無くなってくるぜ・・・。」
「誰だって聞いてんだろっ、このアマッ!!」
「わーた、わーた、教えてやっからそう喚くなって。」

男の怒声に、彼女は呆れ顔で応える。

「アンタらをぶっ飛ばしにきた、協会の犬とでも言っておくぜ。・・・やる気ねぇけど。」

彼女の言葉に、今まで呆然と二人の会話を聞いていた周りの男達が慌てて扇状に広がり戦闘準備を整えた。
赤いバンダナの男も飛び退いて距離を離しつつ、背中に背負った大鎚を抜いた。
彼女は男達の様子を口元に笑みを浮かべて見回すと、背中に背負った剣の柄に手を掛ける。

「・・・やめた。」

突然、彼女は呟く。
そして、彼女は剣の柄に手を掛けた所で手を離すと、軽く背筋を伸ばして生欠伸をした。
その様子を見た男達が口々に怒声を上げるが、彼女はまるで気にしていない様子で首を鳴らす。
大槌を構えた赤いバンダナの男が周りの男達の気持ちを代弁するかのように叫びかける。

「テ、テメェッ!! ナメてんのかっ!! ぶっ殺すぞゴラァッ!!」
「ほほぉー、やれるもんならやってみてくれよっ? ほらっ、ほらっ♪」

彼女は両手を軽く広げて挑発してみせる。
彼女の挑発に男は怒りを爆発させた。

「このアマ、覚悟しやがれっ!! ぶっ殺してやるっっ!!」

その直後、アサルトガンを構えた数人の男が一斉に彼女へ銃弾を浴びせかけた。
彼女は余裕の笑顔で飛び退いてそれをかわす。
彼女と男達の距離が少し離れた頃、ハンドカノンを構えた数人の男が彼女に向けて続けざまに砲撃した。
彼女の姿があっと言う間に爆発の閃光の中に消えていく。
男達は勝利を確信し、大声で笑いだした。

「――やったなっ♪ コレで間違いなく消し飛んだぜっ♪」

アサルトガンを構えて勝利の高笑いをしていた男の背後から、女性の声が聞える。

「ああ、そうだなっ! ザマーミロだぜっ! ハハハハッ!!」
「うん、ホント、間違いなく消し飛んでたよなっ♪ ・・・私じゃなかったら。」
「――ハッ?」

男は慌てて振り返って声の正体を探り、驚愕の表情で立ち尽くした。
声の正体は今し方消し飛んだはずの、赤いアンダーテイルの女性だったからだ。
彼女は少しだけすす汚れた笑顔で飛び、男へ回し蹴りを放った。
男は驚愕のあまり避けることも忘れ、彼女の蹴りをまともに食らってしまう。

「そ・・・な・・・バカ・・・な・・・・・・。」

男は頭から地面に叩き付けられ意識を失った。
男が地面に叩き付けれた音で、周りで勝利の喜びに浸っていた男達は現実へと引き戻され立ち竦んだ。
彼女は驚愕のあまりにロクな行動も取れない男達を次々と一撃で沈めていく。
瞬く間にこの場で立っている男は、大槌を構えた赤いバンダナの男だけとなってしまった。

「こ・・・この・・・・・・クソがぁぁぁっっ!!」

男は大槌を振りあげ飛び上がると、彼女に向けて渾身の力で振り下ろした。
彼女は口元に不敵な笑みを浮かべ、振り下ろされる大槌に向かって徐【おもむろ】に左手を翳【かざ】す。

「・・・・・・な・・・ん・・・だと・・・!?」

彼女は振り下ろされた大槌を左手だけで受け止めていた。
自身の渾身の一撃は彼女の立つ足場を僅かに減り込ませただけという現実に、男はその場で凍りついた。
彼女は受け止めた大槌を軽く横に払うと呆れた顔で溜め息混じりに口を開く。

「はぁー・・・だから、言ったじゃねーか・・・。前金分はやったんだから、もうやめとけばってよ・・・。」

彼女の血の様に赤い瞳の中に自らの姿を見つけ、男は思わず固唾を飲んだ。
男は素早く飛び退いて距離を離すと、震える両手で大槌を構えなおし叫ぶ。

「こ・・・この・・・ばば・・・化物がぁ・・・!!」

男の震えた声に彼女は不敵な笑みを浮かべ、左手の親指で自らを指差して応える。

「おうよっ♪ ”化物人間”【ヒューマノイドモンスター】ったぁ私のことだっ♪」
「な・・・んだ・・・と・・・!?」

彼女は瞬時にして男との距離を詰め、拳を突き入れた。
男は大槌を地面に落とし、呻き声をあげ前のめりに崩れ落ちた。

「覚えとけば、少しは長生きできるかもしれないぜっ? ・・・って、聞えてねーか。」

彼女は大きな溜め息をつくと、倒した男達を手早く通りの脇へと重ねていく。
そして、ゆっくりと後ろを振り返って叫んだ。

「ったく、よーやくの登場か。てっきり、尻尾を巻いて逃げ出したのかと思ってたぜっ?・・・オルグ!」

彼女の視線の先には自分と同じ真っ赤な眼を持った怨敵が立っていた。
彼、オルグは不敵な笑みを浮かべて応える。

「私が逃げる? ふふふっ・・・安心したまえ。私には君から逃げる必要はないからな。ネール君。」
「ほぉー、私にはお前が意図的に私を避けているように見えてたが?」

ネスは腕を組んで嘲笑した。
オルグはやれやれといった感じに両手をあげながら首を振って応える。

「ふっ、私は君と違って忙しいからな。君に毎度付き合ってあげられるヒマがないだけさ。」
「そーかい、それはすまねぇな・・・。」

ネスはゆっくり剣の柄に手を伸ばし、腰を少し落として飛び掛かる体勢を整える。

「まっ、今回で終わりにしてやっから安心しろ・・・よ・・・!?」

ネスは飛び掛かる体勢のまま、動きを止める。
オルグの後ろからやってきた、彼の仲間と思しき黒ずくめの男の肩に見覚えのある人物の姿を見たからだ。

「・・・堕ちたもんだな。”殺人機械”【キリングマシーン】ッ!!」

ネスはオルグを睨みつけて叫んだ。
オルグはネスの視線に構う様子を見せず、後ろからやってきた男に手で合図をする。
男はオルグの傍らで担いでいた人物を下ろすと、気付けの一撃を放った。

「・・・ん・・・ぅ・・・・・・っ・・・・・・。」
「生きてるか? ラス!」
「――っ!?」

ネスの呼びかけにラスはまだ重い頭を激しく振って無理矢理覚醒させる。

「ネスさんっ!! 無事でしっ・・・ぐっ!!」

兎に角ネスの元へ駆け寄ろうと勢いよく立ち上がったラスを、後ろに控えていた黒ずくめの男はすかさず羽交い絞めにした。

(そうでした・・・! 僕は、彼らに捕まって・・・!!)

ラスは自分の置かれた状況を思い出すと、ネスに向かって叫んだ。

「構わず彼を討ってください!! ネスさんっ!!」
「・・・だ、そうだが。どうする? ネール君?」

オルグの嘲笑混じりの問い掛けに、ネスはそのままの体勢で睨むだけだった。

「ほほぉー・・・。もしかして、迷っているのか? 君にとって、彼は単なる相棒なのだろう?」

ネスはなにも答えようとはしない。

「ん? さては、彼は相棒ではなくて・・・。彼の・・・」
「相棒だっ!! それ以外のなんでもねぇっ!!」

オルグの言葉を無理矢理遮ってネスは叫んだ。
オルグは少しだけ驚いた表情を見せるが、すぐにまた不敵な笑みを浮かべて問い掛ける。

「単なる相棒なら、迷うことはあるまい? 気にせず私を討てばいい。そうだろう?」
「・・・そうだな。お前のいう・・・通りだ・・・!」

ネスは深く腰を落とし、飛び掛る直前の体勢を取る。
にも拘らず、オルグは不敵な笑みを浮かべながら両手を広げ挑発してみせた。
二人は暫しその体勢で対峙する。

(そうだ・・・。この状況なら・・・討てる!)

この間合いからならば、確実にあの男を捉えられる。
ネスにはその自信があった。

(ただ、ラスが・・・アイツが死ぬことになるが・・・。)

あの男のことだ、このまま大人しく死ぬような人物ではない。
既に自分が死ぬことになった時のことを考え、ラスの命を絶つなんらかの手段を講じているに違いない。
ネスはそう考え、それとなくオルグの周囲やその傍らの男の様子を観察する。

(黒ずくめの男に、またなんか妙な輝石を仕組ませてるか? 或いは、まったく別の手段か?)

しかし、オルグや傍らの男が特になにかを仕組んでいる様子はなく、それが返ってネスを迷わせた。

(・・・って、だいたい! どうして、私は迷っている!? どうして、アイツを助けようと考えている!?)

ネスは心の中で叫び思考を強制的に中断した。
確かに、マッチやハルからはラスを命懸けで守れとは言われている。
しかし、だからと言ってそれを忠実に遂行する気はない。
あの男を討てるまたとない機会であるならば尚更だ。

(なにを迷う必要があるっ!? アイツは・・・ただの相棒だっ!! こんな時にまで、守る必要などっ!!)

ネスは周りに悟られないよう、静かに奥歯を噛み締める。
柄を握る手に、ゆっくり力を入れる。

(守る必要など・・・っ!! 私が・・・私が・・・守りたかった人は――っ!!)
「・・・やめた。」

ネスは一言、呟く。

(・・・こうなりゃ、なるようになれってんだ・・・クソ・・・。)

ネスはゆっくりと構えを解いて両手を高くあげた。
オルグは態とらしく驚いた表情を見せて問い掛ける。

「ほぉー、どういう風の吹き回しだね?」
「・・・なに、私はお前と違って忙しいんでな。ソイツに代わる新しい相棒を探してるヒマがないだけさ・・・。」

ラスはネスの行動に心底驚き、叫んだ。

「ど、どうしてですかっ!? ネスさんっ!! 僕のことなど――」

彼女にとって自分は単なる仕事上の相棒であり、目的のためならば犠牲にしてしまったとしても致し方ないと思っている。
ラスはそう考えていた。

「なんも言うな・・・。」
「彼の言うことを聞いたって、二人とも殺され――」

特にこの状況ならば、仮に降伏した所で二人とも助からないのは明白である。
それならば、彼女は自らの本懐である仇討ちを優先するだろう。

「なんも言うなって言ってんだろっ!! ラスッ!!」

ネスの怒声に、ラスは言葉を詰まらせた。
ラスは歯を食いしばって俯いた。

(ネスさん・・・どうして・・・こんな時にまで約束を・・・。)

今までなんだかんだで命を助けられていたのは、彼女の意思による物ではない。
彼女が自分の知らない所で義姉さんや先生と約束を交わしていて、それを守っていただけに過ぎない。
ラスはそう感付いていた。
あの二人がその気になれば、自分と彼女を引き離すのはたやすいはずである。
それなのに、それをしようとはしていないのがその証拠であると言えるだろう。

(降伏をしてまで、僕を助けるだなんて・・・。)

彼女は隙を見てこの状況を打破するつもりなのだろう。
確かにあの男がどんな罠を仕掛けていようとも、彼女の身体能力を持ってすればそれも可能かもしれない。
しかし、それで傷付くのは彼女であり、なにより怨敵にいいように嬲られるのは屈辱以外の何物でもないだろう。

(でも・・・何故です・・・?)

彼女がそこまでして約束を守ろうとするとは、ラスには考えられなかった。
しかし現実に、彼女は約束を守ろうとしている。

(・・・まさか僕の・・・ことを・・・?)

もしかしたら、彼女にとって自分は単なる相棒以上のなにかだったのかもしれない。
だから、守ろうとしている。
ラスの中で、ふとそんな考えが過ぎった。

(・・・そんな、ワケありません! 彼女には・・・彼女にとって・・・僕は・・・単なる相棒なんですから・・・!!)

自分でそう結論付けておきながら、ラスの心には何故か悔しさが広がっていた。
ラスは自己嫌悪で胸が一杯になり、更に強く歯を食いしばった。

「――ラスッ!! おいっ! ラスッ!!」
「――っ!?」

ネスの呼び声にラスは我に返り、素早く顔を上げた。
ネスは自信に満ちた表情で口を開く。

「心配すんなって・・・。お前は殺させねぇし、私も死なねぇ。」

ネスは満面の笑顔を作って言葉を続けた。

「・・・私は、”化物人間”、ネール=A=ファリスだぜ?」
「で・・・ですが・・・!!」

ラスの心配で仕方ないという視線に、ネスは呆れた表情で問い掛ける。

「おいおい、私が人質取るようなヤツに殺されるとか・・・、本気で思ってるのかよ? ・・・最高の相棒よ?」

暫しの沈黙の後、ラスは観念したかのように溜め息を漏らす。
そして、呟くようにゆっくりと答えた。

「・・・了解です。貴女の好きなようにやってください。・・・最低の相棒さん。」