第10回災害救助犬神奈川主催IRO試験 リポート



2013年2月24~25日、災害救助犬神奈川主催によるIRO(国際救助犬連盟)瓦礫捜索試験を開催しました。

  • 会場:神奈川県 大磯町
  • 審査員:澤田和裕(IRO公認審査員)
  • 仮想被災者役・その他協力:見附市HOT DOG CLUB
  • 実施日時:2013年2月24日(日)~25日(月)   
  • 受験頭数:救助犬瓦礫捜索試験A(RH-T A)5頭 / 救助犬瓦礫捜索試験B(RH-T B)4頭

  • 試験結果(出場順)
[救助犬瓦礫捜索試験A(RH-T A)](初~中級相当)
犬名 捜索(200点) 服従・熟練(100点) 総合得点(300点) 所属
永田/リー ♀ 17 65 82 神奈川
多田/ルナ ♀ 63 83 146 OPDES
前澤/インディー ♂ 104 51 155 神奈川
白石/アニー ♀ 60 67 127 神奈川
杉原/華春 ♀ 167 83 250(合格) OPDES


[救助犬瓦礫捜索試験B(RH-T B)](中~上級相当)
犬名 捜索(200点) 服従・熟練(100点) 総合得点(300点) 所属
大谷/ブリス ♂ 187 86 273(合格)☆ 神奈川
今村/ガンボア ♂ 176 99 275(合格)☆ OPDES
若月/椋 ♂ 129 97 226 神奈川
勝野/ドーン ♀ 188 93 281(合格)☆ 神奈川

注)合否について
IROの国際救助犬試験は、2課目どちらも70%以上の得点で合格となります。総合得点で210点/300点を獲得しても、どちらかの科目が合格点に達しなければ合格にはなりません。

注2)☆マーク=2013年IRO世界大会出場権
IRO世界大会の出場権はB段階試験において総合270点以上を獲得したペアに与えられます。当試験においては、総合得点欄に☆マークの記載された3ペアが2013年9月に開催予定のオランダ大会瓦礫捜索部門の出場権を得ました。

IRO試験初出場のペアが、緊張のおももちで審査員から説明をうけています
小さな体をいっぱいにのばして仮想被災者の臭気を追い求めるT・プードル
B段階試験では、ハンドラーの立ち位置が、エリア最奥の小山の上に限定され、犬の自立性とコントロール性が大きな課題になりました
コンテナ最上段に隠れているヘルパーの位置を特定しようと、足元の瓦礫をものともせず走り回るマリノワ
臭気が上部に抜けやすい物置内の仮想被災者を慎重に特定し、告知するラブラドール
伸び上がって告知するM・プードル(左下パレットの陰)のもと、瓦礫を乗り越え確認に向かうハンドラー
服従試験。不安定に動く橋の上を落ち着いて通過するシェパード
服従試験。犬を伴った群衆の周囲を脚側行進したのち、停座しているラブラドール。群衆は動いていますが、犬は気にしていません


  • 総評
なによりもまず、大勢の皆様のご協力をいただき無事開催することができたことを、感謝申し上げます。本当にありがとうございました。前日の準備日を含め好天に恵まれた3日間でした。

例年丸1日で実施してきた当会のIRO試験ですが、今試験は、参加者数の増加もあって、1日目に捜索試験、2日目に服従試験というタイムテーブルで実施しました。

捜索試験会場は実際に使用されている廃材置き場であることから、形状は常に変化し、試験のたびに条件、状態を大きく変えて臨むことができるのが大きな特徴です。また、審査員から課される条件もその都度異なることから、3度めであっても、新しい課題を持ち帰ることのできる試験となりました。

A段階参加の5ペアのうち、4組が初めてのIRO試験でした。A段階の合格は1頭となりましたが、合否や得点ではなく、自分と自分の犬のペアにとって必要なものは何か、という課題を持ち帰り、今後の訓練の指針としていただくことが、IRO試験の本当の意義だと考えていただければと思っています。

B段階試験は、昨年とはまったく逆のエンドにある、エリア最奥の小山の上からハンドリングするという制限下で行われました。
エンドまでの距離がとても長く、同時に、ハンドラー位置から最も離れたエリアにある「建物」に対しての犬の動きがまったくの死角になってしまうことなどから、犬の自立性とコントロール性、ハンドラーの判断力が高い要求度で試される、大変に難易度の高い、充実した捜索試験でした。
にもかかわらず、結果として世界大会出場権を得たペアが3組出るなど、しっかりと地力がついてきたことを感じます。

次回もまた、「良い救助犬を育てる」一助となる、全てのハンドラーにとって得るもののある試験を開催できるよう、努力と工夫をして行きたいと思っています。(災害救助犬神奈川/勝野英樹)










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最終更新:2014年05月17日 21:26