ハルヒと親父 @ wiki

おれがあいつであいつがおれで

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haruhioyaji

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 のっけから階段落ちで済まないが、十何段かある階段をハルヒと俺は、もつれ合いながら転げ落ちた。
 いつぞやの一件で、階段落ちにトラウマがあるのがいけなかった。俺一人落ちればよいところを、まとめて二名様ご案内ということになってしまった。
 幸いにも階段は低く、ちょっとした打ち身と脳しんとうぐらいで済むはずだったのだが……。

 「起きなさい」
へんな口調で誰かが俺を揺さぶる。ちょっと待て。頭を打った人間に、その起こし方は危険じゃないのか。
「うるさい。あたしだって、しこたまアタマ打ったわよ」
そうか、両方とも、ひどい落ち方したもんな。おまえはタフだな、ハルヒ。おれはまだアタマが割れるように痛いんだ。もう少し寝かせてくれ。
「そうはいかないの! あたしだって、あんたとは全然違う理由で、アタマが割れるように痛いけど、あんただってこの痛みを味わうべきだわ!」
相変わらず無理をむちゃくちゃにした上で押し通そうとする奴だ。いたい、いたいっての!
「どう、これでもまだ、平気で寝てられるとしたら、あんたの鈍さはすでに才能よ」
ありがとよ。だが《自分》に客観的にほめられても、ものすごくうれしくない。って、自分?おまえ、だれだ?どっかで見たような、でもどこでだか思い出したくないような、格好をしているが。
「信じない気持ちも、使い回しのアイデアに憤る気持ちも分からなくはないわ。でも、これは現実よ。認めないと、話は先に進めないの!」
 ハルヒはああ見えて、見た目完璧の美少女であることを、ここに来て、しかもこんなシチュエーションにおいて、俺はとうとう認めざるを得なかった。なにしろ、同じ言葉をさえずるのが、この鈍そうな男子高生であった場合、むかっ腹の腹筋が割れるほどむかついて、ほとんど万死に値すると感じるのは、おれのポニーテール萌えとはとりあえず無関係のはずだ。ところで、おまえ、誰だ?
「は、ハルヒよ」
おまえ、どうみても、男だろ。それはちがうマンガだろ! 今回はクロスなしだろ!
「涼宮ハルヒだって言ってんの! そしてあんたはキョン! わかる?」
ああ、わかるぞ。いつの日か、このマヌケなあだ名から解放されるまで、非凡な奇天烈体験ばかりを味わう平凡な高校生のポジションを、甘んじて受け入れてやろうじゃないか。しかしだ、しかし、俺の(知ってる、という意味だからだ、あくまで)ハルヒはそんな声でしゃべらんし、そんな短髪くせ毛でもないし、第一、北高の男子制服なんか(俺とあまりおおっぴらにできない秘密の出来事の際でもなければ、っと、こいつは墓まで持って行く秘密だから忘れろ)、着たりしないぞ。おまえ、誰だ?
「いいかげんに、この陳腐な設定を受け入れなさい! あんたはあたしで、あたしはあんたなの! 階段落ちで体が入れ替わったって話なのよ、今回は!!」
そんなの往年の大林監督に任せとけよ。何の因果で……、ハルヒ、おまえ、案外、胸でかいな。
「このエロキョン! あたしの体に何してんのよ!」

 オーケー、マム。
 俺とハルヒの体は、ひょっとするとココロの方かもしれないが、どっちでも結論はかわらない、あのもつれながらの階段落ちのショックで、入れ替わってしまったらしい。
 いや、心配するな、ハルヒ。原因ははっきりした。そして解決法もまた判明した。おれは、多分どこにもないオリジナル設定だが、ビデオ・レンタルで2泊3日料金で1週間借りられる、あの頃の日本映画をよく見てるんだ。元にもどるのは、もういちど……。
「へえ、あんたって、案外、胸板厚いわね」
って、話を聞きなさい!
「聞くまでもないわよ。こんなSSでも使い古された設定。……あたしは嫌だからね。もう一度、あんなところから落ちるの」
とは、言ってもだな。体が入れ替わったままだと、不便だし、その、いろいろまずいだろ。
「なにがまずいのよ」
俺の口から言わせるな。
「ふーん。そうか、なるほど」
な、なにを納得なさってるんですか、ハルヒさん。ものすごく良からぬ事を考えてるだろ、おまえ!? 言っとくが、今回は微エロNGだからな!
「何、勝手に決めてんのよ。それに大方の読者はあたしの味方のはずよ。みんなのGOサインが見えるわ」
いや、おまえこそ、何、勝手に決めてんだ! それはアタマを打った後遺症だ、気の迷いだ。
「ふふふ、あんた、男の力に逆らえると、本気で思ってんの?」
 ああ、言っちまいやがった。この、体はマヌケキョンの、心はエロハルヒめ。
 それに、悪いが俺はカラダの類いは全然まったく鍛えちゃいないし、女の体のおまえにだって腕相撲負けるくらいだぞ。言ってて悲しいが、今やスポーツ万能のおまえの体を手に入れた、女の俺にかなうと思ってんのか? あれ、かなわない。こら、両腕に体重かけるなんて卑怯だぞ。動きが取れないじゃないか!
「だから、押さえつけてんのよ」
く、くそお。意外とか弱いぞ、ハルヒ・ボディ! おまえの秘めた力を解放しろ!
「いたあい。このエロキョン! どこ蹴ってるのよ!」
おまえの足癖の悪さを披露したまでだ。狙ったのは、いわゆる男の急所だ。微妙に外したが。これくらいの表現なら、中学生が読んでも安心だ。って、おい。……言っていいか、ハルヒ?
「ダメ、絶対ダメ!」
「じゃあ、おまえの胸をもむのと、それを言うのとじゃ、どっちを選ぶ?」
「くっ……。入れ替えても、あんたの心根は腐りきってるわね」
「おまえ、勃起してるぞ」
「わーわーわー。言葉を選べ、エロキョン! 『大きくなってる』とか『固くなってる』とか、婉曲な表現があるでしょうが! というか、あんたのカラダでしょ!」
「しかし、いまの管轄はおまえだろ、ハルヒ。おまえ、興奮してんのか?」
すっかりオラオラ・モードに入ってしまった俺は、ガードを下げて打ち合う作戦に出たが、それがまずかった。男のカラダを手に入れた、こいつを本気にさせちまった。
「男のカラダは、確かに使い慣れてないけどね、今のあんたのカラダのことは、あたしが一番よーく、知ってんのよ……」
「なんだ、その六点リーダは? おまえ、目が潤んでる、もといすわってるぞ。待て、話し合おう、話せば分かる、な、ハルヒ……ひい」
「問答無用!!」


(つづきを読みたい方は、えーと、なんだっけ?)




 ハルヒの最初の攻撃はキスだった。
 ディープでロングな、舌も入ったフルコースな奴を息が続く限り。
 これは強力だ。舌がもつれ暴れる音だけが頭蓋骨をいっぱいにする。外の音なんか聞こえない。アタマの芯からしびれてくる。獣になるスイッチを入れられたみたいに、そのことしか考えられなくなる。
「っふはあ」
お互いの口が離れる。お互いを見る目が定まってない。
 無意識だった。俺の手がハルヒの股間に触れた。いつもの条件行動だったのしれない。
 だが次に俺の口から出た言葉は、お互いのカラダが入れ替わっている事を、二人両方に知らせた。
「ハルヒ、ここ、はちきれそうだぞ」
そういうが早いか、俺はハルヒのベルトを緩めファスナーを降ろして、そいつを解放してやる。男の服に慣れていないハルヒは、その行動にアタマが付いて行かなかったらしい。
俺は、大きくなったそいつをさすり、やわらかくにぎり、先へ向かってしごいていく。
「ちょ、っちょっと、キョン、あ!」
「おまえも言っただろ。そっちのカラダの事は俺の方がよく知ってるんだ。気持ちよくしてやるから、しばらくじっとしてろ」
「ん。こんなの、我慢しろっての? あんた、いつも、よく、あんん」
ああ必死に耐えてるんだ、素数を数えたりしてな。
 ハルヒは新体験の快感に不意打ちされたようだ。ここでうまくいけば、主導権が得られる。いや、そんなことはどうだっていい。男のカラダでよがるハルヒをもっと見ていたい、感じさせたいだけだ。
「なあ、ハルヒ、口でしてやろうか?」
手の動きは弱めずに、いくらか加虐的な声色で尋ねてみる。
「んん、あんた、何言って……」
「ハルヒみたいに、うまくできるかわからないけどな」
「ばかきょ……んん」
怒る声にいつもの迫力は無い。おれはハルヒがするのを何回も見てるんだ。あの気持ちよさを知ったら、こいつだって。
「おまえは、いつもこうしてくれるよな」
俺はペニスの先をちゅうと吸い、それから竿の上から舌へ方へ何度も細かいキスをする。空いた先っぽは指で回すように撫でる。すでに先走りが出ていて、それが指をスムーズに滑らせる。そして竿の根元まで来た口は玉を含んで、その表面を舌先でかるくをさわさわと触ってやる。手は、心持ち、これまでよりも強く激しく、竿をしごく。
「ふわ……あっ、あっ、あ」
一端口を離して、中を唾液でいっぱいにしてから、再びハルヒのいきり立ったものを迎え入れてやる。口に入った部分を唾液が包み、それごと、舌先でぺろりぺろりと歓迎してやる。
「あっ、あっ、ん、そ、そんな、なめちゃ、熱い、熱いよお」
そして手のストロークに加えて、ハルヒのものを口内に深く飲み込んでは吐き出し、唇と舌の摩擦を与えてやる。強く、弱く、強く、強く。
「我慢しなくていいんだぞ、ハルヒ」
「そ…んな、我慢なんて……」
ハルヒの背中がびくんとのけぞる。閉じた目に涙がにじむ。閉じようとして閉じることのできない口からは、さらに色づいた声が漏れる。
「来るっ、なんか来ちゃう、ダメ、だめ、だめ……」


「変態。手だけならまだしも、男のモノ、口でくわえて、何考えてんのよ!」
「たしかに男のイチモツをくわえてたなんて考えると気持ち悪いが、いとしいハルヒの分身と思えば気にならん。それに今のおれは、女の身だ」
「へえ、そう。そうだったわね」
と言うなり、ハルヒはレスリングの代表選手をみがまう動きで、俺の背中をとった。
「攻守交替よ。あたしのは、あんたみたいな見よう見まねとは違うからね」
ハルヒは後ろから、普段より長くなっている腕を伸ばし、俺の両膝の内側を親指で押した。何をする気だ。
「別に。ただ少し姿勢をね、やりやすいようにするだけよ」
と言って俺の膝を割る。く、いまの親指で押されたところがツボかなにかか? 足に力が入らん。
「おまえ、いきなりかよ」
「まだまだ、これからよ」
開いた俺の両足にかぶせるように、自分の普段より長くなった足を絡ませ、要するに大股開き状態を、自分の足でホールドする。
「女の体なんでしょ? 見せちゃいけないところが丸見えよ」
言葉責めかよ。それに、自分の体だってこと、忘れてないか。
「今はあんたの体でしょ。さあて、ゆっくりはじめましょ」

「なんだよ、それは?」
「ん?普通のベビーローションよ。手の滑りをよくするの」
「ずるいぞ、自分だけそんなもの使って」
「気持ちよくなるのに、ずるいもなにもないわ」
いきなり胸でももんでくるのかと思っていたら、ハルヒは、首の左右の横側にそれぞれ手を添わせると指先を立てて、触れるか触れないかのタッチにして、スゥっと小さく手を上下させた。
「く‥‥くぅ」
 俺の体は反射的に肩をすくめてしまう。気持ちいいというより、くすぐったいからだが。
「くすぐったいところはね、ぜんぶ性感帯なのよ。アタマのスイッチが変わったら、もだえ狂うことになるから、今の感覚を覚えておきなさい」
 ハルヒの両手の親指の腹がうなじを、他の指の腹や先が首筋の横側を、ツーっと伝うように手が這い登っていく。
「あっ‥‥んっ‥‥」
俺の体は、自然にプルプルと震えてしまう。
「そういや、お、おまえ、首筋が弱かったもんな……」
今言うと負け惜しみみたいに聞こえるな。
「あら、そうだったかしら?」
案の定、余裕しゃくしゃくのハルヒ。返事をする間も手は休めない。何往復かしながら、肩から首筋にかけて撫でる範囲を広げていく。
「そうだ。首筋にキスすると、スイッチでも切れたように、へなへなとなって……」
「ふふ。しゃべって気をそらせる作戦って訳? それとも、そんな風にしてほしいの?」
 一瞬、キス爆弾が開始されるかと身構えるが、ハルヒは自分のマッサージをつづけていく。手は背中へ降りていって、左右の肩甲骨のあたりを撫でていく。ハルヒは、背中を撫でまわす両手の5本の指先を、ゆっくり立てていく。くそ、はじまったか?
 指先を立てたまま、両手が背中全体をグルグルと撫でまわす。それが背中の裏側の愛撫を想像させる。いや、おちつけ。これは、そういう精神攻撃なんだ。
 しかしハルヒの攻撃は精神攻撃から物理攻撃にシームレスに変わりつつあった。肩甲骨の間を撫で上げる時には、親指の腹でツーっと背骨をなぞり上げる。
「‥‥んっ‥‥あっ‥‥」
「あら、どうしたの?」
 今度は両方の親指は背骨に、他の指は腋に沿える感じで背中を上下にさすってくる。あきらかに親指以外の指先は、乳房の裾野狙いだ。指の先にある乳房を意識させるように、胸のすぐ横の腋を重点的に小さく刺激するようにさすってくる。
「じ、じれったいな、くそ」
「そうよ、じらしてるの」
ハルヒは、乳房のすぐ上の胸元に手を置き、5本の指先を立てながら小さな円を手に描かせていく。
「どうして欲しいの?」
「言ったって、そのとおりしないくせに」
「あたり」
 両手が胸元から左右の乳房に覆い被さるように、滑り降りて来た。
 両手が左右それぞれのふくらみの頂上を小さく撫でていく。ちょうど指の腹の所が乳首に軽く擦れるくらいの感じで。
「あっ‥‥い、ううん‥‥ん‥‥んんんっ‥‥」
「気持ちいいの、キョン?」
「‥‥そんなこと‥‥あるわけ‥‥はぁぁぁ‥‥」
「ことばになってないわよ、キョン。じゃあ、これは少し刺激が強すぎるかしら?」
 ハルヒは人差し指と中指の先を揃え、乳首に軽く添えて手ごと左右にプルプルと震わすようにしていく。
「あっ‥‥あぁ‥‥‥や、やめ‥‥はぁはぁ‥‥んっ‥‥」
 自分の声が、あえぎ声に変わっていくのが分かる。しかも、魅惑のハルヒ・ボイスでだ。くぅ、今の俺が男なら、この声だけでイキそうだ。
 うしろではハルヒの奴がほくそ笑んでるんだろう。が、何に対しても中途半端が嫌いなこいつは、執拗に乳首への刺激を続ける。
「う、うああ、ああ、ああ・・あん」
 俺は、快感をこらえようとしてか、無意識に首を左右に激しく振る。
「キョン、あんた感じすぎよ。今からこれじゃ持たないかもね。……でも軽くイッておきなさい」
 ハルヒは、俺の乳首を両方とも親指と人差し指で軽く摘まみ、左右にクリクリとねじるように擦りたてていく。
「あっ、あ〜‥‥‥‥あっ、だ‥‥あっ‥‥あぁ〜‥‥ああっ!‥‥んんっ!」
 足を絡ませられ、固定された俺の体は、その瞬間、腰を浮かせながらブルブルっとふるえ‥‥そして、次の瞬間、脱力してハルヒの男の胸に背中を預ける格好で身を投げ出した。

 ハルヒは、俺が口がきけるようになるまで待ってから、いたずらっぽく尋ねてきた。
「どう、女の子の体でイッた感想は?」
「はあ、はあ、……すごい」 頭の中で何かが爆発したみたいだった。
しかしハルヒは手を止めない。乳房を優しく揉みしだきながら、いじめるように言う。
「あはは。でも、まだ序の口よ」
俺は身をよじるが思うように体が動かず、ハルヒの手を振り払うことができない。
「男は一回イッたら、しばらくダメだけど、女の子の体はね、何回でも、何時間でも、イクことができるの」
ハルヒは乳房を持ち替え、親指をふくらみの外側に、他の指は内側に添えた。そして、それぞれのふくらみの中心に向けて搾るような揉み方をしていく。
「くっう、はあ、はあ、……や、やばいって。イッたばかりで……おまえの体だから、わかるだろ。くぅあ!……ほんとに、そこ弱いんだって‥‥あっあっ‥‥だ‥‥」
「あたしのこと、いつもこうやっていじめてるのは、だあれ?」
 小悪魔ハルヒはそういって笑い、ギュッというくらいに強めに乳房を握り込む。
「んぐっ!!」
 そこから、もう1度、プニュプニュっというくらいの弱い揉み方に変えていく。抵抗は無駄だと、暗に言っているのだ、こいつは。
「ちょっと強くし過ぎちゃったわ」
「はぁ‥‥はぁ‥‥ああ‥‥はぁ‥‥」
 俺は顔をのけぞらせて、息だけつくしかない状態だ。
 もちろんハルヒは俺の体を刺激する事を止めない。左手の手のひらだけ、軽く恵美の右の乳房の頂上にあてて、手のひらで固くなった乳首を転がすようにゆっくり小さく動かしていく。
 「この次はね、イキっぱなしにしてあげるわ。人間の感覚にはね、『快感を、もっとも感じられる速度』というのがあるの。男の子と女の子では、随分違うわ。女の子はずっとゆっくりなの。わかりやすい方がいいわね」
 ハルヒの右手が5本の指を立て、皮膚の表面を、まるで真綿をつまむようなソフトたっちで、俺の体の前の方をゆっくりと、絶妙なボディラインをなぞるような曲線を描きながら降りてくる。くすぐるでもなく、なでるでもない、いたずらっぽい動きだ。
 20分もかけながら、ハルヒの手が胸から股間に降りてくる。1分間に1センチか2センチしか動かない超スローな愛撫。焦らされるのと、あまりにゆっくりなので指先が触る場所に意識が集中してしまって、快感がしゃれにならないほど増幅している、胸から腹を触られているだけなのに、さっきの数倍の気持ちよさだ。このスロー・タッチのまま、女の体で一番敏感な部分を責められたら……。
「いじわるしてごめん、キョン。今から、あんたがしてほしいと思ったことをしてあげる」
「か、勝手に決めるな。俺の話を、き、聞けって」
「あんた息が上がって、まともにしゃべれないじゃないの。だから、察してあげるのよ!」
 あまり感度のよくない部分で、超スロータッチの威力を見せつけたハルヒは、躊躇することなく、大本営を攻撃してきた。恥骨あたりから肛門までの間を、分速1〜2センチの速度で、じわじえわと指先を移動させていく。しかも、今度の指は1本でも4本揃えたものでもなく3本、4本、5本と刻々と変化させながら、すべての指先は陰部のいろいろな個所を自由自在に這いまわって行く。医学用語で言うなら、大陰唇、クリトリス、肛門、会陰部、膣口は、すべて別の指が割り当てられ、さっきの綿をつまむような、触れてなさそうで触れている微妙なタッチをキープする。もっと激しく、そこはかきまわしてくれ!と何度も叫びだしそうになるが、ハルヒが聞くはずもなく、俺は身を堅くして歯をくいしばるしかできない。誰かがこのようすを見ていても、何をしているか想像すらできないだろう。見かけは性を知らぬ稚児のいたずらに過ぎないが、これは立派な拷問だ、性調教だ。
「く、くる、くる、、う、う、うう、……わああああ!!」
「イッたのね。これは終わりじゃなくて始まりよ」
そのとおりだった。超スローで刺激された性感帯は、イッたあとも解放されなかった。ハルヒの手付きは超スローのまま止まらず、柔らかい刺激を続けている。すると、イッてもイッても、刺激から新たな快感が上塗りされて終わらないのだ。
「は、はるひ、とまらない、とまらないよお、うああ、ああ、あん、ああああ」
男の射精の快感しか知らない俺には理解不能だ。連続オーガズム、イキ続けるとは、こういうことか。男の脳は一度果てたらストップする射精の快感にしか対応していないという。
「ひい、ああ、んあああ、はるひ、もたない、からだもだが、うっく、あたまが、こころが、もたねえよ、こんなあああああ」
「いまは、女の体でしょ。心と脳がどうなってるのか、わからないけど。まあ、いいわ。ゆるしたげる。あんたのめんどくさそうな愛撫で、あたしがどんな目にあってるのか、ちょっとは理解できただろうし」
なんだって?
「あんたの触ってんだかなんだかわからない触り方、すごくいい、じゃなくて、危険だって言ってるの! 他の女にあんなことするんじゃないわよ。へたすりゃ刃傷沙汰よ。というより、浮気した時点であんたも相手も殺すけど」
おれは、ただおっかなびっくり、おまえの絹みたいな肌を傷つけたくないばっかりにだな。
「はいはい。この話は終了! で、さっきせっかく抜いてくれたのに悪いけど、あんたのよがってる声聞いて、顔見てたら、また大きくなっちゃったわ。ビンビンよ。ほんとエロイ体してるわね。どうしてくれるの?」
エロイって、これはお前の体だぞ、何度も言うが。で、どうしてくれるって?
「あ、あたしは、あんたの中でイッてみたい。……あんたがいつも、どれくらい感じてくれてるのか知りたいし」
知りたいの半分、感じたいの半分だな。俺もおまえがどれくらい感じてるのか知りたい。
「いいの?」
「いいもなにも、我慢できん。最後はおまえのでイカせてくれ」
「いいわ。あんたが見惚れるっていう、『上になった』あたしも見たかったけど、あんた足腰立たないみたいね」
「あれだけされたら、当たり前だ。後からも無理っぽいぞ」
「できなくはないだろうけど、顔が見えないんじゃ興ざめよ。あたし、あんたがイクところが見たいの」
「いま、散々見ただろうが。……だけど、おれもお前の顔を見ていたい」
 二人の顔が近づきあう。互いにもっとよく見えるように、触れるくらいに互いの存在を確かめ合うように。それから多分、熱いキスから始めるのが、二人のやり方なんだろう。
 一旦、顔を話したハルヒは、顔をずらして、俺の髪をすくようにしてどけ、あらわになった首筋に、跡になるようなキスをする。すごい、異常電流が体中へ走る。いっぺんで力が抜け、もう入れる必要のないスイッチがもう一度入る。
「ほんとはね、あらゆるところにキスして、あたしが感じるところを全部、あんたの体に叩きこもうと思ったんだけどね」
恐ろしいことを言うこいつは、本当に楽しそうだな。見かけは俺でも、中身は完全に涼宮ハルヒだ。
「いいわ。あんたが自分で探しなさい」
ハルヒは俺を抱き抱えるようにして、ベッドに倒す。手足を投げ出して横になる俺におおいかぶさってくる。そして鎖骨にキス、胸にも、そのふもと、中腹、頂上へとキス、キス、キス。俺は悲鳴のような声をあげる。
「ハルヒ。もう十分だって。前ぎ、いらないから!」
「うっさい。あんたがいつもしてくれるように、全部するの!」
って、ことは、あれも、あれも、あれもか? 
「ちょっとまて!さっきから、大きいのと小さいのが、もうひっきりなしに来てるんだって。イクのが止まらないんだって」
「あたしがいつも味わってる、悦びと苦しみを味わって逝きなさい」
ハルヒ、字が違ってる。目がすわってるてって。わああああ!!!!

果ててたのか生きてたのか、それさえもよくわからない混沌の中、意識が彼岸とし岸を行ったり来たりしてたらしいのは、なんとなくわかった。
再び意識を取り戻したとき、俺の体はまだハルヒのそれのままであり、ハルヒは俺の体のまま、俺の上にいた。いや、俺の意識を強引につれ戻したのは、他ならぬハルヒだった。
「んんんう、キョン!あんたの中って反則よ!」
いや、だから、おまえの体なんだって。
「むちゃくちゃ、やわらかくってきつくって、その上、しめつけるし、からみつくし、しぼりだそうとまでするし、なんか生き物飼ってんじゃないの!」
いや、だから、おまえの体なんだって。
「なんで、あんたは平気なのよ! あんた、不感症?インポ?」
「インポだったら、そもそも入っていけんだろ。平気なわけあるか。我慢してるんだよ、お前のこと思って」
これがいけなかった。俺の不用意な言葉が、この負けず嫌いの闘争本能に火をつけちまった。
「あ、あたしの愛が足りないっていうの?おもしろい、その勝負、受け手立つわ!」
おれは、しおれた元おれのそれ(なんだかよくわからんが、男性生殖器だ、要するに)を、両手で大事そうに包み込んだ。
「ハルヒ、おまえ、何回、チャレンジしたんだ?」
「な、七回よ。……中入ったら、最高で3往復しか持たなかったけど……」
まさに三こすりか。しかも7回も。いったい何時間経ったんだ? それにこいつの見上げた根性は形状記憶合金製か?
「おまえも、おれがいつも感じてる悦びと苦しさを味わったんだな」
動かぬ体を動かして、ハルヒのあたまを撫でてやる。
「はじめての頃、うまくいかなかったの覚えてるか?その度、おまえは照れ隠しに怒りながらいつも慰めてくれたよな。あの頃俺は、時間が許せば、3回とか5回とか、その自分でしてから、事に及んでたんだぞ。それでも、すぐお前の中で果てちまった。ああ、体の反応に任せちまえば、それが一番気持ちいいんだろうが、お前と一緒にイキたくてさ」
「……バカキョン。あたしはそれまでに、何度も自分だけイッてたわよ。あたしはあんたに気持ちよくなってさえもらえたら、あとはもう何もいらなかったのよ」
「ああ、ほんと言葉とおりの意味で、身にしみて分かったよ。体が元通りにもどったら、時間をたっぷりつかって、ゆっくりやろうな。今日、おまえがしてくれたみたいに」
「あんたがしてくれたことも、忘れてないからね。事前に何もせずにいるのよ。あたしがするんだから」
「ああ、よろしく頼む」
「なんか、安心したら、眠くなっちゃった」
「おれもだ、ハルヒ、起きたら起こせよ」
「それはこっちのセリフよ」

 そこはお約束どおりに、二人は眠りに落ち、そして目覚めた。
 お約束どおり、昨夜のことは嘘のように夢のように、俺は男の体を、ハルヒは女の体をとりもどしていた。二人の手足やら何やらがもつれ合っていたのはご愛嬌だ。
 ハルヒがうんと腕と肩のストレッチをしながら言う。
「あー、なんで裸で寝るのって、こんなに気持ちいいのかしらね」
 俺も首をコキコキいわせ、自分の手で肩をほぐしながら、何気なく答えを投げ返す。
「二人だからだろ」
 ふりかえると、口が「な」の形に固まって、あうあう言ってる奴がいた。夕べの、あの濃いあれはなんだったかと思う純情ぶりじゃないか。お約束にも、顔をトマトのように真っ赤にして。
 それから、これもお約束どおりに、ちっともきかないポカポカ・パンチとともに降って来る、お決まりの怒声を、俺はありがたく受けとめるのさ。いまなら「バカップル」の汚名だって、拝領しようって気にもなるってもんだ。
「こ、この、エロキョン!!」

〜おしまい〜






















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