ハルヒと親父 @ wiki
What's Love?
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haruhioyaji
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- ハルヒ
- ねえ、親父?
- オヤジ
- なんだ、娘?
- ハルヒ
- 人を好きになったことある?
- オヤジ
- 誰に聞いてるんだ、というより、誰が聞いてるんだ、って感じの質問だな。
- ハルヒ
- 答えて。
- オヤジ
- おまえ、自分が何で生まれたのか、わかってないのか。
- ハルヒ
- 知らないわけじゃないけど、信じられないだけよ。
- オヤジ
- おれと母さんが愛し合ったからだ。そして今も愛し合ってるし、この先もずっと愛し合ってるだろう。どうだ、まいったか。
- ハルヒ
- ……。
- オヤジ
- では、若輩者に恋とは何か、教えてやろう。
- オヤジ
- 眺めている間は、世界の端ばしまでが見渡せるように思える。何もかもわかったような気になれる。だが一歩前に出て相手に触れたら最後、一瞬にして全てを見失う。音は耳鳴りのように自分の内側だけから聞こえる。手はしびれ、感触らしきものも確かでない。そして目に見えるのはもう、そいつだけだ。だが、世界は色を、においを、温度を、ざわめきを、鼓動を取り戻す。それが恋だ。
- オヤジ
- いつか、分かるときが来るかも知れないし、来ないかもしれん。どっちでもおれは構わんがな。
- ハルヒ
- あたしは、構うわよ。
- オヤジ
- ふん。親父心は複雑なんだ。
- ハルヒ
- 娘にそれを言う?
- オヤジ
- ひとりごとだ。
- ハルヒ
- あ、そ。
- オヤジ
- 安心しろ。
- ハルヒ
- は?
- オヤジ
- おまえが、そいつに飽きたり嫌になったりしたら、あとくされなく別れさせてやる。
- ハルヒ
- そんなの、あんたに頼むまでもないわ。
- オヤジ
- そうか。
- ハルヒ
- ……じゃ飽きなかったら、どうすんのよ?
- オヤジ
- くやし涙にくれる。
- ハルヒ
- 役にも何にも立たないわね。
- オヤジ
- あきらめろ。親なんてそんなもんだ。