ハルヒと親父 @ wiki

ロール・プレイング その4

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haruhioyaji

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オヤジ
じいさん、天下の往来で、幾何学の証明なんてするな。流行ったら、どうする気だ? 古代アテネを襲った、プラトンの幾何学公害を知らねえのか? 暇にあかして自由民がこぞって砂浜に出かけて図形を描きまくったから、アテネ市街じゃ砂ぼこりで目を開けたれなかったんだぞ。
老人
言ってる事の半分は分からぬが、これを証明だと一見して見抜きおった。どこから来た?
オヤジ
ぶっちゃけ、こことは別の世界からだ。
老人
なるほど。
オヤジ
いや、そこはつっこめ。話が続かん。
老人
ご客人、茶などどうかね? いろいろ話をしたいが、老人の相手は嫌かね?
オヤジ
好きか嫌かでいえば、嫌だ。だが、今は選択肢を選んでる場合じゃなさそうだな。
老人
急いでいるのかの?
オヤジ
おれが、じゃなく、世界がな。
老人
さて、息災にみえるがの。
オヤジ
おれには、あんたがそう思っているようには見えん。何者だ?
老人
さあ。この世界の外に思いを馳せる者、とでもしておこうか。
オヤジ
そっちにゃ用がない。この世界については知らないのか?
老人
さて、どう答えればいいのか?
オヤジ
おれ達は、この世界で何をすればいいか、そいつを教えろ。
老人
そういう問いには一生をかけて答えるもんじゃ。
オヤジ
ああ、そっちの問いには、おれたちの世界で体を張って答えてやる。だが、まずはこの世界だ。何が起こってる? 何故、俺達を呼んだ?
老人
わしには誰かをどうにかする力なぞない。あったにしても願い下げじゃ。
オヤジ
観想者って訳か。やれやれ、じいさん、昼間に人間を探すランプは持ってないのか?
老人
確かに東と西が騒がしいようじゃがの。東の塔の巫女が、何年ぶりかの宣託したそうじゃ。それで王は、西の谷の巫女に使いを出した。
オヤジ
めんどくせえな。
老人
東の巫女が告げぬことには、西の巫女は何も答えんのだから仕方がない。
オヤジ
どういうチェック&バランスだ? どうせ、ご神託は「世界の危機」だろ? だってのに悠長な事だ。
老人
ひとりで駆けても、周りの者がついて来れぬ。
オヤジ
ふん、なるほどな。王様も重臣や民草を説得するには時間がかかるってか。
老人
それに準備もな。
オヤジ
もう一度、聞くぞ。俺達に何をさせたい?
老人
まだ、わからん。買いかぶるな。人よりいくらか知れることがあるとはいえ、わしもこの世界に属する者に過ぎん。
オヤジ
あんたはどこまで知っていて、どう考えてるのか、聞いてるんだ。
老人
わからんと言っておろうが。「俺達」と申したな。老いぼれの世迷い言が聞きたいなら、しばらくその口を閉じておれ。わしに言える事は、この世界はかつての世界とは異なっておるということだけじゃ。だが、巧妙に改変されておる。多くのものは、その違いに気付いてはおらん。当事者を除いては。
オヤジ
当事者? 誰だ?
老人
わしが知るのは、王と東の巫女だけじゃ。だが、大方、西の巫女も違っておろう。二人の巫女は対になる故。
オヤジ
入れ替わりでもしたか? たとえば外から来た者と。
老人
うむ。あるいはそうかもしれん。王にも東の巫女にも、切れ目のない、この世の記憶がある。だが、それに加えて、別の世界の記憶、こちらは切れ切れだが、後からつけ加わったと、わしは考えておる。
オヤジ
ああ、それなら話が通る。
老人
何か心当たりがあるのか?
オヤジ
いいや。だが、外から来てるのが俺達だけじゃないなら、その方がわかりやすい。あとは敵だな。とりあえず王様とやらと会うか。じいさん、口を聞け。
老人
あいにくだが、そうもいかん。これでも世を捨てた身じゃからな。
オヤジ
そんなのが天下の往来で、これ見よがしに図形なんか書くな。
老人
あわてるな。こっちへ。
オヤジ
なんだってんだ?
老人
少ないが路銀じゃ。ただし偽金じゃが。
オヤジ
金ですらないぞ。なんかの安い合金だろ?
老人
王の顔は圧してないが、王許金貨より流通量は多い。わしら懐疑論者はどの街にもいて、裏の稼業を手広くやっておるのでな。受け取り手があるなら貨幣は人の間を巡って行く。
オヤジ
裏の稼業って?」
老人
暗殺からもぐりの医者、無認可の学校までじゃ。
オヤジ
懐疑論者にしては、世長けてるな。迫害されてるのか?
老人
表向きはの。おまえがいう幾何学とやらを教えることがいかんらしい。
オヤジ
じいさん、あんた?
老人
往来で、これ見よがしにああしておれば、外の者かどうか、すぐにわかるじゃろ? やれやれ、今日は牢屋で寝ずにすみそうじゃわい。だが、もっと早くに来ても良くはなかったの?



















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