ハルヒと親父 @ wiki
二人は暮らし始めました−--わるいゆめ
最終更新:
haruhioyaji
-
view
「あいつについてあたしが話せる2、3の事項」のきっかけになった、ポクロウタさんの1枚絵http://pokurouta.blog99.fc2.com/blog-entry-219.htmlから連作の4コママンガhttp://pokurouta.blog99.fc2.com/blog-entry-223.htmlが生まれていたので、それに更にインスパイアーされて、このSSはできました。ポクロウタさんに多謝。
夜の最中、名前を呼ばれて、目が覚めた。
何か大切なものでも失ったみたいな悲しい声で。
何か大切なものでも失ったみたいな悲しい声で。
あたしは確認する。ここはどこ?今は何時で、何をしているの?
安らぎを与えてくれるぬくもりの中に、あたしはいた。
大丈夫、何があったって、そう言える力を与えてくれるもの。
大丈夫、何があったって、そう言える力を与えてくれるもの。
問題は、その熱源と、今の声の発生源が、同じだってこと!
ちょっと、何、寝ぼけてんのよ、キョン!?
ちょっと、何、寝ぼけてんのよ、キョン!?
「ハルヒ!」
声に反応して、思わず、こいつの頭をぺしっと叩く。……軽くよ、軽く。
……でも、今のじゃ弱すぎて、こいつを悪夢から引きずり出すには足りないみたい。
こぶしを作ろうかと考えていると、こいつはまたあたしの名前を呼んだ。
……でも、今のじゃ弱すぎて、こいつを悪夢から引きずり出すには足りないみたい。
こぶしを作ろうかと考えていると、こいつはまたあたしの名前を呼んだ。
「ハルヒ……」
今度は、遠ざかっていくように弱く、弱弱しく。
いったい、どういう夢、見てんのよ!? それから、どんな役をあたしに割り振ってんの? その偽のあたしが、あんたを苦しめてんの? 冗談じゃないわ!
でも、そうじゃないことは、すぐにわかった。
あたしがさっきまで居た場所に伸ばされ、あたしを探しているキョンの手がそれを教えてくれた。
あたしがさっきまで居た場所に伸ばされ、あたしを探しているキョンの手がそれを教えてくれた。
「ば、バカキョン……」
さっさと、そのうっとうしい夢からさめて、こっちを見なさい!
あんたが探してるものは、ここ、ここにいるわ。
悪夢があんたを手ばなさないっていうなら、こっちにも考えがあるわよ!
あんたが探してるものは、ここ、ここにいるわ。
悪夢があんたを手ばなさないっていうなら、こっちにも考えがあるわよ!
あたしは膝立てで前進し、ベッドを横切り、こいつの頭を抱き抱えた。
いつか、こいつがしたように、絶対に離すもんかって気合いを込めて……そして、できるだけ、そっと。
いつか、こいつがしたように、絶対に離すもんかって気合いを込めて……そして、できるだけ、そっと。
いつだったか、あんたは言った。
「知ってる奴や周りにいる奴らがみんなそのままなのに、自分のことだけ忘れてる、いや元からいなかったことになってるって夢、見たことあるか?」
「知ってる奴や周りにいる奴らがみんなそのままなのに、自分のことだけ忘れてる、いや元からいなかったことになってるって夢、見たことあるか?」
あるわ。
あたしはずっと、寝ても覚めても、そんな中にいた。……あんたに会うまで。あんたに会ってSOS団を作るまで。
あたしはずっと、寝ても覚めても、そんな中にいた。……あんたに会うまで。あんたに会ってSOS団を作るまで。
あんたが階段から落ちて、3日間意識が戻らず眠りつづけて、もうそんなこともずっと以前のことになった頃、あんたは言った。
「あの時な、正確には違うが、なんかそういう夢を見てた気がするんだ」
それで、あたしは理解したの。
12月半ば過ぎると、あんたが妙に落ちつかなくなって、あたしとずっと一緒にいたがる理由(わけ)を。
そして、あんたも、あたしを見つけたんだ、ってことを。
だから、あたしも同じくらい強く、あんたを抱き返したの。
12月半ば過ぎると、あんたが妙に落ちつかなくなって、あたしとずっと一緒にいたがる理由(わけ)を。
そして、あんたも、あたしを見つけたんだ、ってことを。
だから、あたしも同じくらい強く、あんたを抱き返したの。
独りでいることが、どんなに独りなことなのか、あたしはあんたに会って、はじめて分かったんだと思う。
そして理解できてよかったと思ってる。だって……
そして理解できてよかったと思ってる。だって……
腕の中に抱えた頭が、もぞもぞと動いた。
「……ん、ハルヒ?……おまえ、泣……」
「な、泣いてなんかないわよ!」
キョンが目を開いてあたしを見る。あたしもキョンの顔を見る。頬が濡れている。誰かの涙。あんたのか、さもなきゃあたしのよね。それで目が覚めたって訳? ほんと、あんたって奴は、いつだって間が悪い。悪すぎる。
「……ん、ハルヒ?……おまえ、泣……」
「な、泣いてなんかないわよ!」
キョンが目を開いてあたしを見る。あたしもキョンの顔を見る。頬が濡れている。誰かの涙。あんたのか、さもなきゃあたしのよね。それで目が覚めたって訳? ほんと、あんたって奴は、いつだって間が悪い。悪すぎる。
「そうか」
キョンは目を閉じて、体重を(正確には頭の重さだけだけど)ゆっくりとあたしに預けてきた。
「な、なにが、そうよ?」
「誰も泣いてなんかない。泣く理由がないもんな」
あ、あんたって、ほんと間が悪い。い、今、そういうこと言ったらね……
「ハルヒ」
「だから、何よ!?」
「いつも、こればっかりで悪いが……ありがと、な」
「あ……うん」
「素直だな」
「ま!まったくあんたって奴は!」
「だから、おれも今限定で素直なんだ」
「せ、せめてあたしの腕の中限定、くらいのこと言いなさい!」
「わかった。お前の胸の中、限定な」
「全然ちがう! このエロキョン!!」
キョンは目を閉じて、体重を(正確には頭の重さだけだけど)ゆっくりとあたしに預けてきた。
「な、なにが、そうよ?」
「誰も泣いてなんかない。泣く理由がないもんな」
あ、あんたって、ほんと間が悪い。い、今、そういうこと言ったらね……
「ハルヒ」
「だから、何よ!?」
「いつも、こればっかりで悪いが……ありがと、な」
「あ……うん」
「素直だな」
「ま!まったくあんたって奴は!」
「だから、おれも今限定で素直なんだ」
「せ、せめてあたしの腕の中限定、くらいのこと言いなさい!」
「わかった。お前の胸の中、限定な」
「全然ちがう! このエロキョン!!」
それでも、あたしはきっと笑ってる。
どんなに暗くても、腕の中のこいつが、今は幸せそうな顔をしているのが分かるから。
どんなに暗くても、腕の中のこいつが、今は幸せそうな顔をしているのが分かるから。