ハルヒと親父 @ wiki
オヤジ野球6
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haruhioyaji
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オヤジ野球5から
親父さんの予言通り、試合は投手戦となった。
もっとも投球内容はハルヒと親父さんとでは、随分違っていた。
なにしろ初球からナックルなど投げて来るくせ者の親父さんである。
鶴屋さん曰く、「うーん、打ちごろだ、こりゃ真芯でとらえたよと思ったんだけどさっ、手元で微妙な変化させてるみたいだね、いやー敵ながら天晴れ天晴れっ!」
朝比奈さん曰く「怖くて、その、目をつぶってたんですぅ。そしたら『今だ、振れ!』って声がして、え?え?とおもってバットを振りまわしたら、涼宮さんのお父さんがフライを捕ってました」
谷口そして国木田。
「ありゃ、手に追えないぜ。打つってより、打たされてるって感じだ」
「確かにね。そんなに速くもないし、コースも打ちやすそうで、バットに当てるところまではいくんだけど」
「ありゃ、手に追えないぜ。打つってより、打たされてるって感じだ」
「確かにね。そんなに速くもないし、コースも打ちやすそうで、バットに当てるところまではいくんだけど」
それから、妹。
「キョン君!あたし、打ったよ!見てた?見てた?」
ああ、見てたさ。特大のピッチャー・フライだ。
「キョン君!あたし、打ったよ!見てた?見てた?」
ああ、見てたさ。特大のピッチャー・フライだ。
一方、ハルヒは3回まで、親父さんにライナーを打たれた以外は、誰にもバットをボールに触れさせなかっを27球でおさえ、つまりパーフェクト・ピッチングだった。
「こっからだ、キョン」
「親父さん以外には、打たれてませんよ」
「だから、だ。ピッチャーってのは、カラダより精神が先に疲れるんだ。今日のあいつみたいに出来が良すぎると、余計にな」
「あいつの辞書にプレッシャーの文字はないです」
「そうじゃないのは、おまえが一番よく知ってるだろ」
「親父さん以外には、打たれてませんよ」
「だから、だ。ピッチャーってのは、カラダより精神が先に疲れるんだ。今日のあいつみたいに出来が良すぎると、余計にな」
「あいつの辞書にプレッシャーの文字はないです」
「そうじゃないのは、おまえが一番よく知ってるだろ」
そう言って親父さんは、ハルヒが決め球として投げた3球目の外角低めぎりぎりの速球を、逆らわずライト方向へ流し打ちした。
「やれやれ。ライト越えのセカンド・フライってか? 長門め、バカ娘の手からボールが離れる前に後に走り出してたぞ。なるほど、バカ娘がじゃなく、『おれたちは負けない』ってとこか?」
「そんなとこです」
「まあ、お手並み拝見だ。……おい、おまえら、そろそろ点とらねえと『打ち上げ』は中止するぞ!」
「そんなとこです」
「まあ、お手並み拝見だ。……おい、おまえら、そろそろ点とらねえと『打ち上げ』は中止するぞ!」
「ワン、ストライク!」
親父チームも打者は一巡した。
ハルヒはこれまで変化球を投げていない。ストレートの一本槍だ。遅くない球だが、怪しい親父さん人脈が集めた怪しいおっさんたちには、目がなれてくると「打ちごろ」かもしれない。
2番打者は強引に引っ張り、ボールは三塁線上を矢のように飛んだ。
抜ければ長打コース。
しかし鶴屋さんはなんなく、それに飛びつき、そのまま3回転して立ちあがるパフォーマンスまで披露してくれた。
抜ければ長打コース。
しかし鶴屋さんはなんなく、それに飛びつき、そのまま3回転して立ちあがるパフォーマンスまで披露してくれた。
「ハルにゃん、後は任せればいいさっ! あんまりボールが来ないとみんな寝るかもしれないにょろよ」
グランドに散ったみんなが、それぞれにうなずく。朝比奈さんや妹まで、だ。
「よし、ツーアウトだ!みんな、次も打たしてとるぞ!」
おおっ、と声が響き、プレイは再開される。どっかの誰かさんは、顔に出していないつもりだろうが、百万の援軍が来たってこんな顔はしないだろうってくらいに、目の輝きは増している。
「よーし、いくわよ、キョン!」