ハルヒと親父 @ wiki

親父抜きの大晦日

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haruhioyaji

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 「……ねえ、母さん、親父は?」
「やっぱりダメみたいね。向こうもすごい雪で、とても飛行機飛びそうにないって」
「まったく。年越しを何だと思ってるのかしら」
「お父さんも残念そうだったわ」
「あ、あたしは別に……」
「そうそう。ハルヒには謝っといてくれって、お父さんが」
「たまには殊勝なこと、言うわね」
「それから、『手は打っておいた』って。心当たりある、ハル?」
「……ない。……でも、すごく嫌な予感がする」
「母さんも、嫌な感じはしないけど、そろそろ誰かやって来そうね。お湯を沸かすわ」
「ハルヒっ!!」
「な、なによ、今の? って、キョン!?」
「息切れしてる声、走ってきたみたいね。ハル、早く行ってあげなさい」
「キョン!……あんた、いつから雪だるまと縁続きになったのよ!?」
「は、ハルヒ、無事か?」
「無事も何も……って、親父の奴ね!」
「ああ、親父さんから血相かえた電話があって……大丈夫、みたいだ…な……」
「母さん、親父、どこ!?」
「だから雪国に」
「ああ、もう! なんで携帯ってこんなにつながらないの!? 親父、出て来なさい!!」
「……バカ娘、いくらなんでも携帯に小人が入ってるってボケはないぞ。乗りツッコミしようにも小さすぎて乗り切れん」
「うっさい! どういうこと!? 説明しなさい!」
「おまえこそ、説明しろ。何を怒ってる?」
「今,キョンが血相変えて走って来て、事切れたわ!! どうしてくれんのよ!?」
「心配するな。男なら星の数ほどいる」
「ふざけんな!! キョンはひとりっきりでしょ!」
「『だったら普段から、もう少し大事に扱え』fromキョン魂の叫び」
「勝手なナレーション入れるな!」
「キョン君、立てる? 玄関、寒いから居間に来て座って。ハルも、お父さんと遊んでないで、雪落としてあげなさい」
「す、すみません。……なんか勘違いで、大騒ぎしてしまって」
「ううん、今回に限っては、あんたはなーんにも悪くないわ! むしろ被害者と言っても過言じゃない!」
「『それをいうなら、いつもだ』とキョンは思った」
「親父は黙ってなさい!!」
「だったら携帯、切れば良いのに」
「うわ、キョン、あんたガチガチよ! 母さん、お風呂は?」
「やかんをかけるのと同時にスイッチを入れたから、そろそろお湯がはれてると思うけど」
「ちょっとキョンを戻してくる! 立てる? ほら、肩貸すから」
「……バカ娘の声が遠ざかっていく。母さんはまだいるかな?」
「ええ。お父さん、ご苦労様」
「苦労なのは、いつもキョンの役回りだ。なんか暖かいものでも食わしてやってくれ。そっちも雪はひどいのか?」
「ええ。ロマンティックなくらいにね。素敵な年越しをありがとう、お父さん」
「ちぇっ、いいなあ」
「たまには裏方も悪くないものよ」
「違いない。名案が浮かんだんだがな、母さん」
「何かしら?」
「このまま数日間閉じ込められた後、ただ家に帰るというのも、正月に遅刻したみたいで面白くない。逆にだ、そっちがここに来るってのはどうだろう?」
「そうねえ。スキー場と温泉があるのね?」
「イエス、マム。あと今回の仕事で点数稼いだからな、町をあげて無理を聞いてくれるぞ」
「ふふ、考えておきます」
「期待してる」
「ええ。お父さん、良いお年を」
「ああ、母さんも。それから、あいつらにも」
















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