ハルヒと親父 @ wiki
資本戦隊キャピタル・ファイブ2
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haruhioyaji
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- オヤジ
- バカ娘。
- ハルヒ
- 何よ、オヤジ。
- オヤジ
- 次のシナリオだ。
- ハルヒ
- あ、あんたね、あんなもの、映画にできる訳がないでしょ!
- オヤジ
- Vシネマでもいいぞ。
- ハルヒ
- だから、こんなもの置いて行くな!!
資本戦隊キャピタル・ファイブ2
- キャピタル・レッド……リーダー、でもスパイ
- キャピタル・ブルー……クールな一匹狼
- キャピタル・イエロー……調子がよい太鼓持ち、二重スパイ
- キャピタル・ブラック……「イエス、ユー・キャン」が口癖
- キャピタル・グリーン……葉緑素を体内に持ち、菜食主義を地でいく半植物人間、エコロジスト、青臭い言動が持ち味
- ゴールド司令官……戦隊をあずかる。必殺技ゴールド・ラッシュ。出番なし。
- カツマー長官……キャピタリズムを体現した初の女性長官。爆弾発言が得意。愛読書はミルトン・フリードマン『選択と自由』。
- カツマー長官
- 今回の任務は、「派遣村からみんなを追い出すこと」よ!
- レッド
- そんな無茶な。あの中には仕事も住むところもなくした人たちが大勢いるんですよ!
- カツマー長官
- 仕事がないなら、ケーキを食べればいいじゃない!
- イエロー
- なるほど、さすがでゲスなあ、カツマー長官!
- グリーン
- 言葉がますます野卑になってきましたね、イエロー先輩。
- イエロー
- 生き残れば、それだけで勝ち組なんだよ、青二才!
- レッド
- 無理に村を潰しても、人々の暮らしがよくならなければ、第二、第三の派遣村ができるだけです!
- カツマー長官
- そんなことは分かってるわ。でも、あの派遣村はダムの水底に沈むことになってるの。
- レッド
- なんのために? 飲料水も農業用水も今じゃ人口減少で十分足りているはずです!
- カツマー長官
- 人口が減って飲み水は足りてても灌漑が不要になっても、他の目的が山ほど残ってるから、計画は中止できない。これが多目的ダムよ。これが公共事業なの!
- レッド
- 公共事業も、第3セクターもくそくらえだ!!
- ブルー
- 長官、ミーティングは少し中断しませんか? レッド、少し落ち着いた方がいいな。
- レッド
- す、すまん。
- カツマー長官
- わかったわ。では5分休憩をとります。
- レッド
- あの村は……おれが生まれ育ったところなんだ。
- ナレーター
- 派遣村で生まれたはじめての命、それがレッドだった。
- ブルー
- そうだったのか。
- レッド
- おれの両親がいた村も、あの河の上流にあった。そこもダムの底に沈んだが……。ダムには寿命がある。自然の流れを無理にせき止めているんだ。泥が溜まって、水底があがり、やがてダムとしての容量に足りなくなる。すると、また別のダムをつくる。そのくりかえしだ。
- イエロー
- だが、そのおかげで税金が投下されて、仕事がうまれるんだろ?
- レッド
- だが、みなが公共事業だけを当てにしてる地域に将来があるか? 地元の就職先はみんな土建屋だ。土木工事以外の仕事がないからだ。
- グリーン
- エコ・ツーリズムとかできないんですかね?
- レッド
- そのための自然を、散々食いつぶした後でか?
- イエロー
- おい、葉っぱの坊や。おまえのいう「エコロジー」は、長官のいう「ケーキ」とかわらねえぞ。
- グリーン
- イエロー先輩は、さっき「さすがでゲス」って言ってたじゃないですか!?
- イエロー
- だからおまえはガキなんだ。
- グリーン
- ガキで何がいけないんですか!?
- ブルー
- おいおい。おまえらまでケンカか?
- ブラック
- ケンカ、ヨクナイ。ピース、ピース。
- イエロー&グリーン
- ……。
- ブラック
- りらっくす、りらっくす、ゆー、きゃん、ふらい。
- カツマー長官
- きっかり5分経ったわよ。タイム・イズ・マネー。みんな、アタマは冷えた?
- レッド
- ……ええ。
- カツマー長官
- あなたも、同じことを二度繰り返したくはないでしょう?
- レッド
- え?
- カツマー長官
- 砂防ダムが砂に埋まる。皮肉なものね。上流のダムはもう、いくらも保たないわ。あたしたちには時間がないの。
- レッド
- ……わかりました。いくぞ、みんな!
- 一同
- おう!
- グリーン
- 駄目です、リーダー。派遣村の人たち、話し合いじゃ、言うことを聞いてくれそうにありません。
- レッド
- ……。
- ブルー
- 時間が少なくなるほど、手荒な真似をしなきゃならんだろうなあ。
- イエロー
- ちきしょう。最近のガキはチョコレートじゃ懐柔できんな。
- グリーン
- そりゃ、無理でしょ。
- カツマー長官
- みんな聞こえてる? 非常に大規模で強い台風がそっちに向かってるわ。レッドとブルー以外は、上流のダムへ向かってちょうだい。レッドたちは説得をつづけて。
- ブラック
- タイヘン、タイヘン。
- グリーン
- どうしたんですか?
- ブラック
- アソコ、アソコ。
- グリーン
- あれは、やばい!イエロー先輩!!
- イエロー
- んー、なんだあ?
- グリーン
- あのコンクリートの裂け目から!
- イエロー
- くそ、水が!? 雨で水位が上がっただけでこれかよ!
- グリーン
- どうしましょう?
- イエロー
- おまえはレッドと長官に連絡しろ。おれは時間を稼ぐ。
- グリーン
- って、どうやって?
- イエロー
- こうやってだよ!
- ブラック
- おう、ゆー、あー、くれいじー!
- イエロー
- 狂ってでもなきゃ、こんな安い給料で命が捨てられるか!
- レッド
- なに、上流のダムが? わかった。……おい、村のみんな、聞いてくれ。もうすぐ、上流のダムが決壊する。
- 村人
- うそだ。でまかせだ。
- レッド
- いま、おれの仲間が時間を稼いでる。おれたちは強制はしないし、できない。おれたちの話だって信用できないだろう。……おれが人質になろう。君たちの誰か一人でもこの村に残るというなら、おれも残る。全員が避難しないうちは、おれはここを動かん。
- 村人
- あいつ、何言ってるんだ? 危険なら、あいつらが真っ先に逃げるはずだろ。
- ブルー
- そりゃそうだな。おれは行かせてもらうぜ、レッド。
- レッド
- ああ、そうしてくれ。
- ブルー
- あの3人の面倒なんておれには見切れんぞ。できれば生きて帰ってこい。
- レッド
- ああ、善処する。
- ブルー
- 最後まで、お役所言葉はなおらんな。じゃあな、アディオス。
- 村の長老
- わしはあんたに顔の似た男を知っとるよ。
- レッド
- ……。
- 長老
- 強情な奴じゃった。一度決めたらテコでも動かん。この村で生まれて、育って、ここを出て行った。偉くなって帰って来るってな。
- レッド
- ……。
- 長老
- 郵便局を民営化したり、大学や病院を独立行政法人にしたり、あれ、あんたらだろ?
- レッド
- 上の方にはそんな仕事をしてる奴らもいるらしいな。おれは現場まわりだ。たいして偉くもないし、こんなやり方でいいのかと考える方がずっと多い。
- 長老
- わしらの世代は、上のダムに沈んだ村から、ここに流れ着いたものが多い。多いと言っても、もういくらも残ってないがな。わしの知ってる男は、ここを出て行く時、こう言っとった。「あんたら、何故ここを出て行かない?」。わしらは答えた。
- レッド
- 覚えてるさ。「わしらはもう自分の村を出て来た人間だ。二度と同じことをしたくないと思ってな」だったな。
- 長老
- 何故逃げん? おまえさんの言うことが正しいなら、お前さんは死ぬことになる。これでは誰も、おまえさんを信じようがないぞ。
- レッド
- あんたたちと同じだ。おれも二度と同じことをしたくないと思ったんだ。ここを出る時にな。
- 長老
- それでも、わしらに決めさせようというのか?
- レッド
- ここはあんたたちの村だ。あんたたちにとって何が正しくて、何が幸福なのか、知ってるのはあんたたち自身だ。決められるのは、あんたたちだけだ。
- グリーン
- イエロー先輩、正直、あなたのことは好きになれませんでした。
- イエロー
- おいおい。死亡フラグ、立ちまくりだぞ。
- グリーン
- でも、今日まで、いっしょに戦って来た仲間じゃないですか!?
- イエロー
- ああ、やっぱり。
- ブルー
- ふう、やっとついたぞ。
- グリーン
- ブルー先輩、イエロー先輩が、亀裂に腕を突っ込んで水を止めて!
- イエロー
- やっと来たか、キザ男。こっちこそ、おまえが好きになれなかったぞ。
- ブルー
- それは光栄だな。腕を切り落とせば、命は助かるが、あんた、どうするね?
- イエロー
- そんなの、決まってるだろ。
- ブラック
- のー、ゆー、うぉんと!。
- グリーン
- すいません。今まで先輩のこと、豚のごとき利己主義者だと思ってました!
- イエロー
- ふん。その言葉だけでお腹いっぱいだ。どうやら満腹して死ねそうだぜ。
- ブルー
- 亀裂部分の水分を凍結させる。凍るときの膨張で隙間が詰まって、一旦水は止まるが、ダム自体には無理がかかる。あくまで時間稼ぎにしかならん。おれなら腕一本を捨てる方を選ぶがね。
- イエロー
- いい男は、死に時を知ってるんだよ。
- ブルー
- 生きるってことは、生き残ることじゃない、か。
- イエロー
- 凍死ってのは、痛くないんだろ?
- ブルー
- ああ、眠りにつくように死ねるさ。最後の言葉を聞いとこうか?
- イエロー
- 下の村でうじうじやってるバカ正直なリーダーに伝えてくれ。嘘も方便だってな。
- ブルー
- 確かに承った。
- イエロー
- おい、葉っぱの。おれの本当の名前を教えてやる。イチローっていうんだ。覚えとけ。
- グリーン
- はいっ! イチロー先輩!
- ぶらっく
- いちろー、ねばー、だい!
- イエロー
- うるさい。静かに死なせろよ。
- ブルー
- いくぞ。3つ、逆に数えてくれ。
- イエロー
- 3、2、1、あばよ。
- グリーン
- せんぱーい!
- ブラック
- いちろー、かんばーく。
- カツマー長官
- そう、わかったわ、ありがと。……みんな、上流のダムの決壊が始まったわ。30分で全壊、40分で派遣村まで濁流が行くわ。……よく、間に合ったわね。
- レッド
- ……仲間を犠牲にしました。
- カツマー長官
- 分かったようなこと言わないで。人の命に見返りなんてないわ。人の命を購うことができないように。……次のイエローは市場から調達しなさい。条件は、ナゾナゾとカレーが好きな九州男児よ。
- ブルー
- そりゃ、なんでまた?
- カツマー長官
- 二代目キレンジャーへのオマージュとリスペクト、とでもいうのかしら?
- レッド
- この特撮ヲタ……。
- カツマー長官
- レッド、何か?
- レッド
- いいえ。
- ナレーション
- かくして派遣村流域の危機は去った。尊いイエローの犠牲によって。イエロー、君のことは忘れない。しかし輸出頼みの景気回復は、なお道半ばだ。がんばれキャピタル・ファイブ! 負けるなキャピタル・ファイブ!
- 谷口
- うおー!せっかくつかんだレギュラーだと思ったら、たった2話で殉職かよ!
- キョン
- って、谷口、いつの間につかんだんだよ? しかもイエロー?
- 谷口
- 考えてもみろ、キョン。今の日本でイエローを素で演じられるのは、おれかネズミ男だけだぜ!
- キョン
- いや、ネズミ男はフィクションだし……。ひそかにキャラ被ってたのか?
- ハルヒ
- そんなことはどうでもいいのよ! なによ、何気に「ちょっといい話」にしちゃって! カツマーが光ってるのって、最初の「ケーキ」のセリフだけじゃないの!
- キョン
- そっちかよ!? ハルヒ、おまえまで……いつの間に、そこまで入れ込んでるんだよ?