ハルヒと親父 @ wiki

銀河の中心で愛を叫ぶ

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haruhioyaji

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ハルヒ
大声コンテストに出るわよ!
キョン
また、はじまったか。いいか、ハルヒ、おまえはいつもいつも、思いつきで話を持ってくるが……
ハルヒ
なによ、何ヶ月も前から根回しして、その上みんなのハンコをもらわなきゃならないわけ? どこの役所よ!?官僚制よ!? 特別な準備も特訓も要らない、体ひとつあれば参加できる企画なのに、そんなのナンセンスでしょう! うちみたいな小規模組織は、意思決定の迅速さと機動力が売りなの! さあ、わかったら、早速出かけるわよ!
キョン
今から?
ハルヒ
エントリーは5人ともすでにしてあるわ。もちろん、個人および団体の両方で優勝を狙うから、そのつもりでね。さあ、気合いれていくわよ!!

キョン
しかし、ハルヒ。準備が要らない、体一つでOK、というのはそのとおりだが、うちが得意とする種目とは思えんぞ。
ハルヒ
どうしてよ?
キョン
おまえの大声については何もいわん。勝手に個人優勝を狙ってくれ。だが、他のメンバーを見ろ。長門……については、言うことはないな。世界がどれだけ変わろうとも、あいつだけは大きな声を出すことはありえん。古泉も、ひとの耳元でぼそぼそ喋る方が、得意というか好きらしいし、朝比奈さんに至っては……なんだ、そのお盆とティーセットは?
ハルヒ
あんたの観察力のなさには、ほとほとあきれ返るわね。いかに仲間を通りいっぺんにしか見てない証拠ね。みくるちゃんはもちろん、うちの切り札よ。あの娘が毎日のように大きな声を出しているのを、あんた見てないの? それこそ、あんたのなけなしの注意力が、あの大きな胸に吸い取られてる動かぬ証拠よ、このチチキョン!
キョン
朝比奈さんが、大声?
ハルヒ
まだわからないようだから、実演してあげるわ。みくるちゃん、こっち来て!
みくる
はーい。
ハルヒ
はい、これもって。
みくる
お盆ですか? こ、これ、結構重いです。う、う、ふあああわあ!
長門
85デシベル。
キョン
今さら驚かんが、長門、計れるのか?
長門
とても正確に。
ハルヒ
わかった? どじっ子メイドといえども、自分の仕事にプライドを持っているの! お茶汲みは彼女の基幹事業よ! 命の次に大事なお盆にティーカップなのよ! たとえ自分のドジとはいえ、空中にふっとばしたりなんかしたら、魂の底から慟哭するのも当然よ!! みくるちゃん、本番も、この作戦でいくからね。
みくる
わ、わかりました。でも、すこし、痛いです。
キョン
ドジで転んだんじゃなくて、今のはおまえの足払いだろ。
ハルヒ
さすがのみくるちゃんでも、何もないところで、さあ今から転ぶのよ、と指示なんかしたら、本来の彼女の実力は発揮できないわ。みくるの武器は「ええ、そんな!」という驚愕と「ああ、ごめんなさい!」という悔恨の叫びなのよ! ちょっとした誘い水は必要よね。
キョン
バカ。大会じゃ何回叫ぶのか知らんが、すでに朝比奈さんはおまえの足払いを学習してる。そんなに驚愕するわけがないだろ。
ハルヒ
あ、あんたに分かりやすく説明するためにやったのに、そういうことを言う訳?
キョン
大声なら、ハルヒ、おまえの独壇場だ。5人分、ひとりで叫んで、個人と団体の優勝をさらって来い。
ハルヒ
ちょっと待ちなさい。あんたは何するの?
キョン
観客席の後の方で、心を込めて応援してやる。
ハルヒ
どこの雑用係が団長が汗水流して頑張ってるのに、高みの見物を決めこむの? あんたも出るの! いいえ、他はどうあれ、あんただけは出場させないことには腹の虫がおさまらないわ!!
キョン
俺は、本来、静寂を愛する、物静かな人間なんだ。
古泉
まあまあ。今の、お二人の「言い争い」は、なかなかのものでしたよ。そして我々にとっては、日頃目にしている日常的光景でもありますが。
キョン
何が言いたいんだ、古泉?
古泉
大声コンテストに涼宮さんが出れれば入賞は確実でしょう。そして日頃、涼宮さんと対等に叫び合っているあなたも、なかなかの大声の持ち主と、ぼくには思われるのですが。
みくる
わ、わたしも、そう思います。
長門
同意。
ハルヒ
決まったわね、キョン。これだけの追い風があるのに、あんた、まさか逃げたりはしないわよね?
キョン
何が追い風だ


ハルヒ
キョンのあほんだらー!!!
長門
102デシベル。
キョン
ハルヒのばかたれー!!
長門
103デシベル。
ハルヒ
あんた、こんな機会を悪用してそういうことを言う?
キョン
こっちのセリフだ。だいたい、おまえが先に言ったんだろ。
ハルヒ
あたしは真実を口にしただけよ。
キョン
奇遇だな。おれもそうだ。
ハルヒ
……絶対、泣かせてやるからね!
キョン
そっちこそ、吠えヅラかくなよ!

ハルヒ
あんたなんかー、枕の下にあたしの写真隠してるくせに−!!
長門
105デシベル。
キョン
う、うそだー!
長門
62デシベル。
みくる
勝負、着いちゃいましたね。
古泉
ええ、あっさりと。

キョン
く、くそ。今度は俺に先にやらせろ。
ハルヒ
ご自由にどうぞ。
キョン
おまえのー、携帯の待ちうけは俺の写真だろがー!!
長門
101デシベル。
ハルヒ
あんたもでしょー!!
長門
102デシベル。
みくる
互角ですね。
古泉
ええ、内容も声量も。これは相打ちでしょうか?
キョン
しかも上半身脱いでる写真じゃないかー!!
長門
104デシベル。
ハルヒ
ば、ばらすなー、アホキョーン!!
長門
110デシベル。
古泉
涼宮さん、声量で勝りましたが、勝負には負けましたね。
みくる
でも、あの、キョン君の携帯の待ち受けも、涼宮さんの水着姿ってことなんじゃ?

ハルヒ
一緒に泳ぎに行ったときの写真だからしょうがないでしょー!
長門
78デシベル。
みくる
涼宮さん、言い訳から入りましたね。
古泉
ええ。声量も出てません。
キョン
ば、ばらすな、そんなことー!
長門
65デシベル。
みくる
意外なほどダメージになったみたいですね。
古泉
もう勝手にしてください、と言いたいですね。

ハルヒ
あんたが、あの時言ったこと、ここで言ってあげようかー!
長門
103デシベル。
みくる
涼宮さん、有利と見るや、すかさず反撃に出ましたね。
古泉
ええ、とどめを刺すつもりですね。つぎの攻防で、ほぼ勝負が決まります。
キョン
おまえに言われるまでもない。おれはハルヒ、おまえのことが、すきだー!!
長門
120デシベル。
みくる
防御どころか捨て身の攻撃です!
古泉
確かに。いにしえのRPGでいうならメガンテ、自爆攻撃です。

ハルヒ
な、な、なに言ってるのよ、アホキョン!
長門
32デシベル
みくる
涼宮さん、乙女です。ふぁいと!
ハルヒ
そんなのねえ、あたしの方があんたを好きに決まってるでしょ!!
長門
115デシベル。
みくる
ふわああ、掟破りの連続攻撃です!
古泉
これで一気に、言い争っても永遠に答えが出ない領域に、勝負の場所を移しましたね。
キョン
おれなんかなあ、毎晩、おまえを××××××××!!
長門
118デシベル。
みくる
き、きょん君、放送コード的にも禁則事項です!
古泉
一気に文字にできない領域まで行きますか。彼もなかなかやりますね
みくる
あの涼宮さんが不利なのでは?
古泉
いえ、彼女は卑怯な手が許せない人です。これくらいのことで折れる心は持ち合わせてないでしょう。
ハルヒ
あたしなんか×××××××で×××××××まで×××××!!
長門
130デシベル
みくる
きゃー!!涼宮さんまで!
古泉
さあ、彼の出方が見ものです。
キョン
そういうこと、大声で言うなあ!
長門
80デシベル
古泉
叫びと言うより、嘆願です。
ハルヒ
わかったわー!
長門
65デシベル
古泉
なんとあっさり。
みくる
でも、叫ぶ必要ってあるんでしょうか?

ハルヒ
キョン、だいすきー!
長門
140デシベル
キョン
ハルヒー、すきだー!!
長門
140デシベル
みくる
二人とも、自爆しながら、駆け寄っちゃいましたよ。もう叫ぶ必要ありませんね。
古泉
おしいですね。出場すれば、十分優勝を狙える声量だったのですが。しかしまあ、それ以上の成果が得られたということで、よしとしましょう。


古泉
パチパチパチ。いや、すばらしい愛の告白でしたね。
キョン
告白って?
ハルヒ
なんのこと? キョン、あんた分かる?
キョン
いいや。さっぱりだ。
古泉
……そう来ますか。相手の名前を呼んで好きだと言うことを告白と呼ぶのは、万国共通だと思いますが。
ハルヒ
あ、あれは……、その、ねえ?(なんとかしなさいよ、言い逃れ大王なんだから)。
キョン
そ、そうだ。人間にはな、あー、ごほん、大声を出しやすい言葉ってのがあってだな(いちいち新しい役職をつけるな、雑用係で十分だ)。
ハルヒ
そうよ、そう。一番、気合が入りやすい言葉っていうか。
キョン
そうそう。心の奥底から出てくるコトバと言うか。普段言いたくても言えずにためているコトバと言うか。
ハルヒ
そうそう。……って、バカ、あんた、それだと!
キョン
う、いや、古泉、みんな。いずれにしろ、深い意味はないぞ。なあ、ハルヒ。
ハルヒ
ええ、そうよ。深い意味はないわ。

みくる
(深い意味がないなら、そのまんまの意味ってことになりますよね。ひそひそ)
長門
20デシベル。
古泉
(言いたくても言えないのは、むしろ我々の方ではないかと。ひそひそ)
長門
10デシベル。
みくる、古泉
……。
長門
(バカップル。……0デシベル)


〜音の大きさの目安〜
120デシベル:飛行機のエンジン近く
110デシベル:自動車のクラクション(前方2m)、リベット打ち
100デシベル:電車が通るときのガード下
90デシベル:大声による独唱
70デシベル:掃除機
40デシベル:図書館
20デシベル:木の葉のふれあう音
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