ハルヒと親父 @ wiki

保健室へ行こう6

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haruhioyaji

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 「3年は、もう授業もないのに、毎日、ご苦労だな」
「これがないと一日が始まんないし、終わんないの」
「何も保健室で、しなくていいと思わないか?」
「何よ、嫌なの?」
「いいや。給料貰ってデートまでしてバチが当たらないか、少し怖いだけだ」
「もし、そんなものが来たら、返り討ちにしてあげるわよ」
「……ハルヒ、幸せか?」
「当たり前でしょ」
「卒業したら、ここでこうしてるのも、当たり前じゃなくなる。まあ、元々あまり『当たり前』じゃないんだけどな」
「そうね。そのかわり、あんたが仕事から帰って来て、朝、出掛けるまでずっと一緒よ」
「おまえの親がよく許したと思うよ。感謝してる」
「あ、あたしだって感謝はしてるわよ。……その、あんたにも。あんたと思えない早業でうちの親、説得しちゃったし。それに……事のはじめで言えば、あんたがあたしを……よくOKしたわね、今思うと」
「魔がさしただけだ。人生で一度くらい大バクチに出てもいいじゃないかってな。すべてを失う事になるかもしれんが、ここで逃げたら一生後悔するだろうと思った。……なにより、すべてを引き換えにしても、おまえが欲しいと思ったんだ」
「う、こ、このエロキョン……、よくもまあ、手を出さずに我慢できたわね」
「おまえ、おれが教師だってこと、忘れてるだろ?」
「うん」
「やれやれ。おまえこそ、こんなところで手を打ってよかったのか。卒業すれば、世界が広がる。今まであったことのないような、いろんな奴に会うだろう。もっといい男だっているかもしれん」
「そうね。でも、あたしが愛して、あたしを愛してくれるのは、あんたなの。こんな大事なことで、あたしが間違う訳がないわ」
「方程式じゃないが、答えがひとつとは限らないぞ」
「いくつあっても、そっちはせいぜい組違いか前後賞どまりよ!」
「……1等かどうかわからんがな、これは副賞だ」
「なに、この箱?」
「開けてみろ」
「いいの?」
「サイズは合ってると思う」
「って、これ、ねえ。ほんと、ぴったりよ! 指輪のサイズなんて、いつの間に計ったの?」
「手は出してないが、手をつないだことくらいはあるだろ?」
「毎日キスしてて、そのセリフもどうかと思うけど。……そんなことで計れるの?」
「実は、宝石屋の店員さん全員に手をつないでもらって確認した」
「あ、あんたって奴は……」
「ハルヒ」
「うん?」
「似合ってるぞ」
「あ、ありがと。いいの、こんな高いもの?」
「値段はどうでもいいが、大事にしてくれ」
「うん、する! 大切にする! ……そうだ」
「ん?」
「あたしも渡すもの、ううん、返すものがあるわ。……はい」
「……そうか。もういいんだな?」
「もともとあんたの代わりだもの。……でも、あんたの白衣を制服の上に羽織ってた女の子のこと、忘れないでね」
「ああ」
「その娘は、あんたのことが大好きだったわ。今のあたしの次に、世界で二番目にね」
「おれもそいつのことが好きだったよ。今のおまえの次にな」
「……もうすぐ始業ね。ここでキスしたのって何回くらい?」
「おまえの出席日数かける2だ」
「あと何回くらい?」
「卒業式が来るのが先か、おれの理性が焼き切れるのが先か、ってとこか」
「ふーん。手伝おうか?」
「どっちをだ?」
「時間をはやく進めるなんてできないわよ」
「おれの理性の方だったら、卒業してからな」
「けち。でもキスはするわよ。はい、今朝の分」
 ………。
「なくなるとなると、これはこれで、惜しい感じがするわね」
「なくなるんじゃない。場所が変わるだけだ」
「そうね。……あ、そうだ。《彼女》からの伝言。『長い間、ありがとう』って!」
「じゃあ《彼女》に伝えてくれ。『どういたしまして』ってな」
























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