ハルヒと親父 @ wiki

保健室へ行こう4

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haruhioyaji

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「ねえ、キョン」
「ん、なんだ、ハルヒ?」
「あたしたちってさ、週に5日しか会わないわね」
「学校のある日だけだからな」
「……で、明日、あんた暇?」
「仕事のない日は、たいてい暇だが」
「学校の外で会う分は、生徒でも教師でもないわよね」
「どうだろうなあ……。痴漢しても、教師は教師って書かれるしな」
「ほう、あたしに痴漢しようっての?」
「もののたとえだ。……淫行には、なるかもな」
「なによ、それ?」
「年端の行かない、物心の付いてない青少年を悪い大人がそそのかして、いけないことをすること、らしい。ほら」
「……最高裁判例によると、
(1)青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為
(2)青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為
が淫行とされる、と。……キョン、ちゃんと読みなさい! ここに『愛があれば大丈夫』って書いてあるじゃないの!」
「そりゃまた、粋な大岡裁きだな。『婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある場合には、18歳未満の青少年と性交渉があったとしても「淫行の罪」には問われない』だそうだ」
「ほら、みなさい!」
「こんなのもあるな。32歳の既婚男性が17歳の少女と性交渉をしたことが「淫行の罪」に問われていた事件で、名古屋簡易裁判所は、無罪判決を言い渡したらしい。『「妻子ある男の浮気、不倫であり、道徳的に非難されるべきことには異論がない」としつつも、男性と少女の間に恋愛感情があったことを理由に、「単に自己の性的欲望を満たすだけの目的」で性交渉に及んだとは言い切れない』と判断を下した、そうだ」
「それって不倫?」
「既婚だから、そうだろうな」
「妻子ある男の浮気でも、愛があれば大丈夫、って訳?」
「どうやって立証したんだろうな?」
「何が?」
「いや、『愛がある』ことをさ」
「キスでもしたんじゃないの、法廷で」
「それで、『婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係』と認められるのか?」
「不服そうね、キョン」
「いや、別に。……明日、どうするって?」
「まだ、何も言ってないわ」
「白紙か」
「まあ、案のひとつやふたつ、あるけどね」
「俺の部屋、来るか?」
「い、いきなりぃ?」
「なら、玄関先くらいから徐々に馴らしていくか?」
「何の意味があるのよ、それ?」
「スモール・ステップだな」
「そんなに細かく刻んでもらわなくても、あんたの部屋なんて、入り口から窓まで三歩で渡り切るわよ」
「そっちの意味もわからんが」
「もっと屋外で青空の下、健全でさわやかなデート・プランは思いつかないの?」
「そうか、デートか」
「なんだと思ったのよ?」
「いや、一緒に居たいのかと」
「居たいわよ!だからデートをするんでしょ!」
「確かに俺たちいつも室内だからな」
「別にそういうことじゃないわよ」
「……あそこにするか。プラネタリウムとアクアリウム(水族館)がある。おもいっきり屋内だが」
「それでいいわよ。そんなに、おかしなデート先じゃないわ。……なんか教師くさいけど」
「実は教師だからな」
「普段忘れてるけどね」
「おまえはな。おれは覚えてる」


「うん!なかなか楽しかったわ。カップルと家族連れの比率は1対4くらいだったけど」
「家族連れだって、カップルのなれの果てだ」
「なんか引っかかる言い方ね。家族連れに恨みでもあんの?」
「よそのカップルのガキばかりに愛想振りまいてた奴がいたんでな」
「あんたは子どもか!? おなじ妬くにしても、もっとこうなんていうか……」
「おまえがあんな顔するなんて、分かっただけでも収穫だ」
「なによ、それ?」
「お前に黙ってこっそりストックしてるんだ」
「げっ、コレクター? いったい何?」
「笑顔。別に押入れとか机の引き出し一杯にしてるわけじゃないから安心しろ。純粋に網膜と脳にだけだ」
「何に使うのよ、そんなもの?」
「使うってことは考えなかったな。今はただ、なんとなくだ。いつか、おまえか俺が、笑うのを忘れそうになったとき、使う日があるかもしれん」
「そんな日は来ないわよ。来させやしないわ」
「……そうだな」
「なによ、あっさりね」
「おまえがファイティング・ポーズで断言すると、何か信じてやろうって気持ちになるな」
「何よ、それ? あとファイティング・ポーズなんてとってないわよ」
「誉めてるんだ」
「言わなきゃ分からないのは、誉め言葉とは言わない! それから!」
「おう」
「あんたの顔なら、笑ってる顔だろうが泣きっ面だろうが、全部残らず覚えてるわよ!」
「何に使うんだ?」
「……い、いいじゃないの、別に。減るもんじゃなし」
「待て。すごーく気になるが、聞きたくないぞ」























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