ハルヒと親父 @ wiki
図書館で−オヤジラジオ・プロローグ
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haruhioyaji
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- 親父
- 今日は、スピノザに、トゥキディデスに、聖ヒルデガルト、ディラックに、鈴木邦夫かよ。
- 長門
- ……?
- 親父
- 俺だ、ハルヒんとこの親父だ。
- 長門
- ……オヤジ。
- 親父
- そう、親父。……借りた本、重そうだな。半分持とうか?
- 長門
- 大丈夫。問題ない。
- 親父
- そうか。それじゃあ、何か飲まないか?
- 長門
- 飲む?
- 親父
- 図書館の下に学食みたいな喫茶室があったろ。おごってやるからつきあえ。
- 長門
- ……わかった。
- 親父
- 日曜は大抵来てるのか?
- 長門
- そう。
- 親父
- 一言多い司書がいてな、ちょっと顔なじみなんで、教えてくれたんだ。さっき目の端にお前さんが映ってな、そっちを見てたら「毎週日曜日、セーラー服で一日中本を読んでる娘がいるんだが、知り合いか?」ってな。
- 長門
- ……そう。
- 親父
- 俺は借りてたDVDを返しにきた。休みがいい加減でな、2週間ばかり延滞だ。俺の見る映画なんて見る奴は少ないけどな。
- 長門
- 延滞はよくない。
- 親父
- そのとおりだ。言葉もないな。……来るときは一人か?
- 長門
- ……大抵は、……一人。
- 親父
- ……あー、うん。……バカ娘には、内緒にしとく。
- 長門
- ……ありがとう。
- 親父
- 良いってことよ。
- 長門
- それ……。
- 親父
- 今日借りた映画か? 郷愁(1935)とジョーイ(1977)と陽のあたる場所(1951)だな。見たことあるか?
- 長門
- ない。あらすじは知っている。
- 親父
- ほう。
- 長門
- 郷愁(1935)。敬愛する将軍の息子を決闘で殺してしまった主人公は、馬術使となるが将軍の娘をそうとは知らず弟子にする。将軍にとっては主人公は息子の敵。そうとは知らず娘の誕生日、主人公は彼女に告白する。やがて主人公の正体が知られるところとなり、将軍に命を狙われることになったのを見て、娘は主人公に永遠の別れを告げる。最後はハッピーエンド。
- 親父
- うん。
- 長門
- ジョーイ(1977)。主人公はアメリカン・フットボールの選手。弟が白血病で不治の病。弟の誕生日に、主人公は4つのタッチダウンを約束する。それはとても困難かことだが、主人公はやり遂げる。この試合のプレイで、主人公は選手として名誉ある賞を受けることになる。その授賞式で主人公は、自分が闘うのは試合中だけだが、弟はずっと病と闘っている。このトロフィーは弟が受け取るべきだ、とスピーチする。3年後、弟は死ぬ。
- 親父
- うん。
- 長門
- 陽のあたる場所(1951)。主人公の男性は叔父の工場で働いている。伯父の邸で社交界の花というべき女性アンジェラを見掛け心引かれるが、身分違いの恋と諦める。そして映画館で隣り合わせた女性アリスと深い仲になる。主人公は昇進し、アンジェラと再会し、彼女は主人公の純真さに心引かれる。その日はちょうど主人公の誕生日で、アリスは下宿でささやかなパーティの準備をしている。この時、アリスは妊娠している。主人公とアンジェラはますます愛し合うようになり、二人の周囲をもそれを許す。アリスは主人公に結婚を迫り、自分たちの関係を公にすると脅す。主人公はアリスを溺死させようと、湖のボートに誘うが、アリスのひたむきな感情を知って、殺意を失う。しかし、アリスは主人公の当初の意図に気付いて恐怖からボートの上で立ち上がり、二人は湖に投げ出される。アリスは溺死し、岸にたどり着いた主人公は逮捕される。主人公を訪ねたアンジェラは彼に永遠の愛を誓う。ジ・エンド。
- 親父
- すごいな、長門。
- 長門
- ひとつ質問がある。
- 親父
- なんだ?
- 長門
- 誕生日って何?
- 親父
- うーん。確かに、この3つの映画からだと、誤解が生じそうだな。よし説明してやるか、誕生日っていうのはな……。