ハルヒと親父 @ wiki
オヤジラジオ その1
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haruhioyaji
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(ある日の涼宮家)
- ハルヒ
- ミニFM局?だれがすんのよ、そんなもの?
- オヤジ
- おれがDJ、そのほかのめんどいことはすべて長門のサポートだ。
- ハルヒ
- こら、前途ある女子高生を悪の道に誘いこむんじゃない! だいたい、あんた、娘の友人を呼び捨てにするって、えらく不評なんだからね。
- オヤジ
- 言いたい奴には言わせておけ。「ちゃん付け」「さん付け」が入り用なら、のび太のオヤジでも連れて来い。それとも何か? いまさら「キョン君」なんて呼んで欲しいのか?
- ハルヒ
- うぐ、き、キョンは別腹よ。
- オヤジ
- 食うのか?
- ハルヒ
- 食わない!
- オヤジ
- ああ、もう食ったのか。
- ハルヒ
- 話が進まないでしょ!
- オヤジ
- 悪の道うんぬんは濡れ衣だ。そもそも今回の話は長門からだ。ほれ、これが企画書。
- ハルヒ
- あいかわらず印刷したみたいな明朝体ね。有希の字だわ。
- オヤジ
- 昔作った鉱石ラジオの話をしたらな、興味が湧いたそうだ。手っ取り早く、設備も聴衆も手に入るから、北校の放送室を占拠して海賊放送をやろう、と提案したんだがな。「みんなに迷惑がかかる」と却下された。
- ハルヒ
- しっかり、悪の道に誘ってるじゃないの!
- オヤジ
- もっと長門を信用してやれ。
- ハルヒ
- あんたが信用できないって言ってるの! ……有希も水くさいじゃない。あたしたちに一言も相談せずに。
- オヤジ
- サプライズ・パーティとか言ってたぞ。実は、今お前にばれると非常にまずいんだ。
- ハルヒ
- はあ?どういうことよ?
- オヤジ
- あとは自分のアタマで考えろ、バカ娘。おれもそれほど暇じゃないんでな、放送は一日切りだ。いつなのかは自分で考えろ。ここまで言えば、バカで不義理なおまえでも思いつくことがあるだろ。今の会話、長門には黙ってろよ。ただし、俺個人としては、乱入歓迎だ。どこで電波出してるか、さぐってジャックしに来い。オヤジからは以上だ。
(次の日)
- 古泉
- ミニFM局の機材ですか? ええ、長門さんから話があって。涼宮さんもご存知だと、おっしゃってましたが。
- ハルヒ
- 縁起でもないけど、うちには涼宮があと二人居てね。質の悪い方が、なんかするらしいわ。
- 古泉
- おやおや、そうでしたか。
- ハルヒ
- 古泉君、機材を用意するのは、いつ?
- 古泉
- ええ、来週の金曜に準備して、撤収は月曜のはずです。機材の委細については、長門さんが直接先方と交渉されたので、わかりませんが。
- ハルヒ
- ミニFM局って、どの程度、電波が届くものなの?
- 古泉
- 出力やアンテナの位置など、いろいろ要因があるそうですが、北校の生徒には聞こえるようにしたい、と長門さんは言っておられましたね。
- ハルヒ
- 結構な範囲ね。放送局の位置をつきとめるってできる?
- 古泉
- 日までわかってますから、昨日までなかった放送を受信して、あとはラジオと志向性の高いアンテナ、テレビを受信する際に用いられてる八木アンテナで用が足りるでしょう、などを準備すれば可能です。
- ハルヒ
- その日までに準備できる?
- 古泉
- ええ。幸い、僕の親戚に、無線関係の機材を扱っている人がいて、2〜3日であれば、問題なく借りることができると思いますよ。この後、連絡しておきます。
- キョン
- おーす。なんだ、ハルヒと古泉だけか。
- ハルヒ
- なんだとは何よ? キョン、あんた、どっちの味方?
- キョン
- はあ?なんのことだ?
- ハルヒ
- オヤジのラジオ。知らないとは言わせないわよ!
- キョン
- いや、知らん。なんかあるのか?
- 古泉
- どうやら彼は知らないようですね。なるほど。
- キョン
- なにが、なるほどだ。
- 古泉
- 一種のサプライズ・パーティと考えるのが妥当かもしれませんね。そして対象はあなた方かと。
- ハルヒ
- あたしはね、キョン、サプライズをしかけるのは大好きだけど、しかけられるのは大嫌いなの!!
- キョン
- いや、そのスタンスはどう考えても、不思議発見にはマイナスだろ?
- ハルヒ
- そんなことはどうだっていいのよ!目標は決まったわ。オヤジラジオをジャックするわよ、キョン。あんたはラジオとアンテナかついで、あたしに続きなさい!
(放送日の前夜)
- 長門
- 無人局の設置はすべて完了した。
- オヤジ
- ご苦労さん。さて、フォックス・ハンティングに毛が生えたもんだと高くくってやがると、連中、泡食うぞ。
- 長門
- フォックス・ハンティング?
- オヤジ
- 狐狩りのことだ。電波の発信元を狐(フォックス)に見立てて、ラジオとアンテナを持ったハンター達がそれを追いかける遊びがあるのさ。まあ、電波を使った鬼ごっこだ。
- 長門
- 楽しそう。
- オヤジ
- 今回の方が手が込んでる。まあ、そっちも、そのうちやろうぜ。
- 長門
- 明日が楽しみ。
- オヤジ
- 同感だ。
(放送日の朝)
- 古泉
- 機材は3組用意しました。我々は一旦離れた位置を取り、アンテナの向きを変え、もっとも強く受信する方向を見つけます。それぞれの受信位置からアンテナの方向に直線を伸ばすと、直線は交差するでしょう。そこが電波の発信元という訳です。実際は誤差がありますから、3つの直線は一点では交わらず、小さな三角形を形づくるでしょう。発信元はその中にいるというわけです。
- ハルヒ
- もはや網にかかった魚も同然ね!
- キョン
- 網にかかった魚はいいが、どうグループ分けする?
- ハルヒ
- 今日は真剣なミッションよ。くじ引きなんかにまかせておけないわ。
- キョン
- いや、いつもだって、そこそこ真剣にやってるぞ、他のみんなは。
- ハルヒ
- あたしが指名するわ。第1小隊、鶴屋さんにみくるちゃん、お願いね。
- みくる
- あわわ、頑張ります。
- 鶴屋
- まあ、雲に乗った気持ちでどーんとまかせるにょろ。
- キョン
- いや、雲に乗ってしまうと、どっか遠くに言ってしまいそうなんですが。
- ハルヒ
- 第2小隊は、古泉君と妹ちゃんね。
- 古泉
- 御意。
- キョンの妹
- だいじょうぶだって、キョン君。
- ハルヒ
- で、本隊があんたとあたしよ、キョン。
- キョン
- 当然、機材は俺が持つんだな。
- ハルヒ
- 当然よ!あたしはみんなからの報告を受けて、場所を推定する崇高にして重要な任務があるの。
(着信音)Super Driver 突進まかせて なんてったって前進「不可能!」 (Don't you stop me)飛び越えて Take it eazy , Go!
- ハルヒ
- はい、何?
- オヤジ
- オヤジだ。そろそろ始めたいんだが、そっちの準備はできたのか?
- ハルヒ
- 完璧よ! 吠えヅラかかせてやるから覚悟しなさい。昼ご飯はそっち持ちだからね!
- オヤジ
- 甘いな、バカ娘。まあ、小学生も参加してるんだ。日暮れ前には、見つけてくれ。幸運を祈る。
- ハルヒ
- その自信、アンテナごと叩き折ってあげるわ!!
その2へつづく