ハルヒと親父 @ wiki

夏仕舞い

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haruhioyaji

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「なにしてるの、母さん?」
「ん。夏物をまとめて洗っちゃったから、そうね、乾かしながら、一緒にひなたぼっこかしら?」
「紫外線、まだきついよ」
「ハルはみごとに真っ黒ね」
「そんなに日焼けしたかな?」
「ええ。いっぱい夏を満喫したってことね」
「そうかもね」
「でかけるの?」
「えー、あー、うん。ちょっとキョンと」
「そう、楽しんでらっしゃい」
「そういうんじゃないわよ」
「今年は宿題、もう終わってるんでしょ?」
「去年の二の舞はおことわり。前半からきりきりネジ巻いたからね」
「まだまだ暑いけれど、夏もおしまいね」
「そうだね」
「夏仕舞い、っていうのよ」
「え?」
「蚊帳だとか、夏しか使わないものに、秋のはじめの風を通して、片付けて次の夏までしまっておくこと」
「そうなんだ」
「季節の移り変わりに本当は境(さかい)なんてないはずなんだけど、こうして過ぎて行く時間を惜しんだり懐かしんだりするのね」
「うん」
「ねえ、雲一つない、ちょっと秋みたいな空じゃない?」
「うん」
「音がしそうな青空」
「はは、そうかも」
「きれいな夕焼けになりそうよ、ハル。……いってらっしゃい」
「うん、いってきます。帰りは、えーと……、あとで電話する」
「ねえ、夏休みにも延長料金ってあればいいと思わない?」
「ええ?」
「ふふ、母さんだったら、いっぱい払っちゃいそう」
「い、いってきまーす!」
「はいはい、いってらっしゃい」












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