ハルヒと親父 @ wiki

親父さんと谷口くん3

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haruhioyaji

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「今度は思い出した。素人童貞の谷口だな」
「すみません。そんな、いきなり謝らなきゃなくなるような冠は、まだ付いてないです」
「それがいい。若いうちからエッチしてると、男と女のことを『わかった』ものとして軽く考えがちだ。『わかりきった』と思っているところにドリームは生まれないし、子供も生まれない、とみうらじゅんも言っている」
「いや、あの、すみません。直裁に言います。女の子にもてたい、否、女の子をものにしたいんです! どうか、俺みたいな者にも、すぐに役立つお知恵を」
「つまり、こういうことか。熱愛中のラブラブ・カップルの女性側の記憶を書き換えて、恋心のあて先を、そのうらやましい男からおまえに振りかえて、恋人を横取りする方法とか、そういうのが知りたいのか?」
「げ、外道ですね。そんなことが、できるんですか?」
「できるかどうかの問題じゃない。していいか、どうかだ。-----まあ、やるんだったら事故で視力と記憶を失った女性が恋人の声だけは聞き覚えているんだが、その恋人は結局『普通の結婚』がしたくて別の女に走り、その後、結婚しましたハガキを読み上げたせいで第一印象は最悪の眼科医と、二人三脚で視力を回復していく感動巨編の物語を、種まきとしてやるな。その後、相手を催眠にいれて目が開かない暗示と名前が思い出せない暗示をつかって同じような体験をさせて、最後の眼科医が包帯を解く指示と催眠の覚醒暗示はセリフが重なるようやる。『少しずつ目を開いてください。あなたが一番会いたい人の顔は見れましたか?』 あとは言わずもがな、だろ」
「こ、この人、親父の皮をかぶった悪魔だ。……いや、人として、それはダメでしょ!」
「つまりこの金の斧はおまえのではないというんだな。ぽい」
「今のが『金』だったんですか? では、『銀』コースは?」
「銀だとせいぜい、人を集めておいて、感情を煽って煽って依存状態にさせて、いちばんいい女から食うやり方とか、だな」
「鬼畜ですね。そんな方法があるんですか?」
「興味ある?」
「な、ないと言えばうそになります」
「そういう邪な心では、この銀の斧は使えん。ぶっちゃけ、適当なSNSに入ってな、『生きにくい』とか『ずっといい子だった』とか、そういうのを集めるオフを開きます、とやるんだ。前世とかアロマセラピーとか、適当なキーワードをいれとけば女子の参加が進む。開催時間と場所は、希望者から直接メールで問い合わせさせた方が,相手をある程度選んどけるから楽だ。プログラムはそうだな、最初は円になって座らせて、「幸せのブレイン・ストーミング」とか言って、幸せを連想させる言葉を参加者に順順に言わせるんだ。どんどんスピードを上げさせて、何周もさせる。当然批判なし、考える時間なしだ。言えない奴は飛ばして次の奴に進む。これやってると、参加者はだんだんハイになってくる。やり方に抵抗する奴や、全然幸せワードを言えない奴は,円の中央に座らせて、同じように幸せブレストをやる。こんどは真ん中に標的がいるから、参加者の言葉は自然と攻撃的になる。なにしろ真ん中に座らせてるのは、落ち込んでて被虐性をかきたてるような奴だからな。まあ、数分としないうちに泣くな。トラウマになるな。おまえさんは、円運動をとめて、真ん中に歩いて行って、やさしく言葉をかけて、そいつの話を丁寧に聞いてやる。そうすると、周りにいる連中も,おまえのことを何と優しい人だろうと勘違いする。真ん中の奴が落ちついて顔を上げたら、元気づける言葉を言ってやる。周りにも、ゆっくりしたペースで,元気づけることばを言わせる。どん底から浮上だな。これで,真ん中の奴はおちる。あとは、一人ずつ,順番に真ん中に入れてやる。今度は周囲の人間には、1周目は「自分のコンプレックス」を言わせてもいいな。それだけで真ん中にいる奴は,自分のコンプレックスを攻撃されていると思えてくるんで泣く。泣いたら、円運動を止めて、さっきと同じだ。今度はおまえが助けてくれることがわかってるから、それほど落ち込んでないかもしれないな。おまえは誰もが同じようなコンプレックスを抱いてるとか、適当に解説を入れて、周囲はまた励ましの言葉だ。今度は嬉しくてなくかもしれない。自分にも今言ったような言葉をかけることはできる、とかコメント入れてもいい。
だいたいは、こういう要領だ。たいして知識もいらんから、なんとか人格セミナーとかカルトなんかも使うけどな。よい子は真似するな。
 大学とかで得体の知れないサークルが,女ひでりのおまえみたいなのを,女子使って勧誘に来るから気を付けな。こういうときはな、各個撃破だ。リーダーにかみつくと、だいたいサクラが数人いて、じゃまに入る。サクラが誰か分かったら,サクラの一人だけに標的をしぼって、あとは無視、そいつだけを泣かすまで論破しろ。あとのサクラはそれで黙る。リーダーも五十歩百歩だから、あとは睨みつけて出て行けばいい。
 おれがよく使う手は、『おまえは何のために生きてる?』とかきくと、神さまとか信仰してるものの名前をあげてくるから、「そのなんとかいう神さまは、なんのために存在している?」と聞く。すると人を救うためだとかいいやがるから、『人が神のために、神は人のために,存在するのか。手前勝手な。神さまもちださねえと自分の生きる目的もわからんらしい。いいか、おまえは神を必要としてるが、神はおまえを必要としていない。おなじことだが、おまえは世界を必要としているが,世界はおまえを必要としていない。おなじことだが、おまえは他人を必要としているが,他人はおまえを必要としていない。これが、おまえもとっくに知っていて、しかもそこから逃げて来た事実だ。おまえがどこへ逃げようと,誰も追いかけない。誰もおまえを必要としてないからだ。ここにいる連中は、おまえが脱退しようとすると、必死で引きとめるだろう。それは何も,おまえをこいつらが必要としてるからじゃない。おまえを逃がしちまうと、自分も逃げてきたのだという事実に直面せざるを得ないからだ。こいつらは、おまえを騙すためだけに存在する。おまえも。こいつらを騙すためだけに存在する。
 さあ,今度は,おれがおまえの話を聞いてやる。なんていう男が種をしこみ、なんという女の股から生まれたのか,そこから話してみろ」
「そりゃ、ものすごいアーリー・ラーニング・セットですね。というか、ほとんど同じ手口なんじゃ……」
「おお、こないだのを覚えてたか。関心な奴だ」
「はあ。でも、ちょっと、話がものすごくなりすぎて無理です」
「で、最後に残ったのが、この鉄の斧だ」
「そ、それです、それを落としました」
「本当か? 内容を確かめもせずに、いいのか?」
「人生、行くときには行かないと」
「見上げた志だ。鉄の斧は、まあ、平凡だが、長く曲がりくねった道だ。とりあえず、人まねも流行りも脇に置いて、かっこいい男になれ」
「はい、そうなれるものなら、何でもします」
「じゃあ、何にもするな」
「はあ?」
「おまえ自身、一番かっこ悪いときはどういう場合だ?」
「いきなり、『つまんない男』とふられた時ですかね」
「かっこいい男は、最もかっこ悪いときこそかっこいい。ふられた自分がかっこわるいなら、かっこよくふられるところから、はじめろ。言い訳するな。未練のこすな。自分をふった女を悪くいうな。こんなのは基本中の基本だが、ようするに今のおまえさんは、女が欲しいだけの中身からっぽのナンパ野郎だ。相手の女子にとって、おまえと付き合うことには何のメリットもない。2日でふられるところを3日に引き伸ばす努力をするより、1年後、できれば5年後、その娘が新しい恋をするたびに思い出される男になれ。女子に声をかけるときは、なぜおまえなのか、ちゃんと説明できるようになれ。自分で決めたものでいい、いつも原理(プリンシプル)に基づいた行動をとれ。あとは社会的に成功しろ。せめて成功しそうな態度を採れ。そうすりゃ、いやでももてる。ダメ男でもてる方法もあるが、青少年に教える話じゃないんで割愛だ。
人間と言う種は、どの文化でも、男の方が女よりも結婚する年齢が高い。いろいろ原因はあるが、女性の遺伝子がもつマルサス係数(Malthusian parameter;その遺伝子(をもつ個体)の増殖率)は外見からかなりの程度推計できるが、男性の方はある程度社会での地位が見えてこないと子孫を残せる確率が高いかどうか判断が付かないからだ」


親父さんと谷口くん












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