ハルヒと親父 @ wiki
ハルヒと親父2その後 一周年 その1
最終更新:
haruhioyaji
-
view
- 親父
- ハルヒ、悪いが、次の土曜の夜、空けておけ。
- ハルヒ
- 悪いがって……、親父、悪い事でもするの?
- 親父
- するか!あとキョンも呼んどけよ。
- ハルヒ
- いったい何なのよ?
- 親父
- 1周年だ。
- ハルヒ
- 何が?
- 親父
- おまえらが初エッチしてから。
- ハルヒ
- は? え? って、何で知ってんのよ!
- 親父
- バカ娘、語るに落ちるとはことのことだ。親父を舐めるな。あと言った本人が傷つくようなことを言わせるな。
- ハルヒ
- 勝手にそっちが言ってたんじゃないの!
- 親父
- ああ、そっちじゃない。知り合いの店が1周年なんだ。ほんとは1年前に連れてくはずだったんだが、予定がかち合ったな。
- ハルヒ
- って? あ、母さんが前に言ってたような。あたしが生まれたとき、お祝いもらった?
- 親父
- ああ。今はその娘が継いでるんだがな。
- ハルヒ
- わかったわ。空けとく。
- 親父
- いい心がけだ。そういう娘には、母さんのピアノが聞ける特権がつく。
- ハルヒ
- え!ほんと?
- 親父
- 本来、3人で行くところを二人でだったからな。母さんが向こうに気を使ったんだ。
- ハルヒ
- 他の友達、連れて行っちゃいけない?
- 親父
- 構わんが、その店終わったら自由解散だぞ。二人っきりにさせてやろうという親父心を汲む気はないか?
- ハルヒ
- ないわ。
- 親父
- かわいそうな、キョン。
- ハルヒ
- ほっときなさい!
- ハルヒ
- 娘のあたしが言うのもなんだけど、あのピアノは一聴の価値があるわ。
- みくる
- すみません。その夜はどうしても外せない用事が、わたたた
- 長門
- とても残念。
- 古泉
- 申し訳ありませんがぼくもなんです。ですが、そう遠くない将来に、また我々も聞く機会があると思いますよ。
- ハルヒ
- へ?
- 古泉
- たとえば、お二人の披露宴など、ふさわしい舞台とは思われませんか?
- ハルヒ
- って、な・な・何言ってんのよ、古泉君!
- 古泉
- これは失礼なことを言いました。おや、彼が来たようです。
- キョン
- おーす。なに騒いでんだ?
- ハルヒ
- 誰もあんたの話なんかしてないわよ!
- キョン
- あ、あのな。誰もそんなこと言ってないだろ。そういうのを語るに落ちると言ってだな……
- ハルヒ
- うっさい、うっさい!キョン、土曜の夜、予定ないわよね?あっても空けておきなさい!
- キョン
- ああ。言われなくても空けてあるが。
- ハルヒ
- 何で、空けてあるのよ?
- キョン
- こ、ここで言っていいのか?
- ハルヒ
- って、何言ってんの、あんたは? あ!あああ! ダメ!言っちゃダメ!
- キョン
- なるほど、そういうことか。
- ハルヒ
- そうよ。土曜は夕方くらいにあたしの家に来てちょうだい。4人で一緒に行くから。
- キョン
- どんな格好していけば、いいんだ?
- ハルヒ
- 別に内閣発足じゃないんだから、燕尾服まで着る必要はないわ。
- キョン
- そんな服は持っとらん。
- ハルヒ
- 別に普通の格好でいいわよ。お店の方は1周年だけど、あたしたちは食事するだけなんだから。
- キョン
- 普通と言ってもな。土曜の市内探索と、日曜日に二人で出かけるのとじゃ、同じ普通でもおまえだって違うだろ。
- ハルヒ
- あー、もう!分かったわよ。帰りに付き合ったげるから、それっぽい服を選んであげるわ。その方があたしも合わせやすいし。
- キョン
- すまん。
- ハルヒ
- 親父の友達の店なんだし、そんな気をつかわなくてもいいんだけどね。
- キョン
- 親父さんの友達の店だから、気になるだろ。
- ハルヒ
- そうなの?
- キョン
- まあな。
- ハルヒ
- ふーん。
- キョン
- なんだ?
- ハルヒ
- 別に、なんでもないわよ!
- オヤジ
- 母さん、ただいま。
- ハル母
- おかえりなさい、お父さん。
- オヤジ
- いい匂いがするな、母さん。
- ハル母
- ええ、そろそろかと思って、お鍋を火にかけたの。
- オヤジ
- ん?夕飯まだだったのか? ハルヒは?
- ハル母
- 食べて帰ってくるって。多分、キョン君が送ってくれるんじゃないかしら。
- オヤジ
- でかした、母さん。今日はついてるな。
- ハル母
- お父さんたら、キョン君と会えるのがそんなに嬉しいのね。
- オヤジ
- 嬉しいとも。感情は素直に表現した方が気持ちがいいな、母さん。
- ハル母
- いつも、そうしていいんですよ、お父さん。
- オヤジ
- ところがそうもいかん。ツンデレも中年になると複雑なんだ。
- ハル母
- 高校生でも複雑ですよ。
- オヤジ
- さもあらん。土曜日の関係かな、あいつら?
- ハル母
- ええ。着ていく服を選ぶんですって。
- オヤジ
- 服なんか着てりゃなんでもいいのにな。水着を上下間違えて着ても構わんぞ。
- ハル母
- 娘は娘なりに、彼氏は彼氏なりに、思うところがあるんですよ、きっと。
- オヤジ
- うむ。思うだけじゃ済まんからな。母さんのピアノと、キョン付きのディナーのコンボだぞ。
- ハル母
- それは少し荷が重いかしら。緊張して、とちらないといいけれど。
- オヤジ
- 母さんでも緊張するのか? 軽い感動と新鮮な驚きだ。
- ハル母
- さすがに、未来の息子の前ではね。
- オヤジ
- うーむ。そう来るか。ちょっと不意を突かれたな。
- ハル母
- そろそろ部屋着に着替えてきてください。
- オヤジ
- うん。正直言うと、腹ぺこなんだ。
- キョン
- 遅くなっちまったな。
- ハルヒ
- 夕食、食べてきたからね。電話してあるから大丈夫よ。
- キョン
- いや、思ったのは、それじゃないんだが。
- ハルヒ
- じゃ、どれよ。
- キョン
- 玄関のドアを開けてみりゃ分かると思うぞ。多分。
- ハルヒ
- なに、それ? ただいま!遅くなっちゃったわ!
- ハル母
- おかえりなさい、ハル。
- オヤジ
- よお、キョン。ちょっと上がっていけ。そして泊まっていけ。
- ハルヒ
- 親父は玄関から3メーター以上下がりなさい!
- オヤジ
- 何故だ、バカ娘?
- ハルヒ
- 危険が懸念で心配が適中だからよ!
- オヤジ
- 日本語をちゃんとあやつれ。こんなに遅くまで娘につきあわせて、しかも家まで送ってもらって、そのまま返したら、礼を欠くってもんだ。
- ハルヒ
- あんたの存在自体が、礼を欠いてんのよ!
- オヤジ
- うまいこと言う。
- ハルヒ
- 去年、あたしが朝帰りした時は、死んだようになってたくせに!
- オヤジ
- 娘よ、それはメガンテか?
- ハルヒ
- 古いゲームの話題は、わかんないっていつも言ってるでしょ!
- オヤジ
- 時事用語で言えば、自爆テロか、と尋ねてる。
- ハルヒ
- だれが自爆してんのよ!?
- オヤジ
- 後ろを見ろ。キョンが被弾して、HPが1になってるぞ。
- ハルヒ
- どうしたの、キョン!?
- オヤジ
- 素でそこまでとは、我が娘ながら、ハルヒ、おそろしい子!
- キョン
- いや、ちょっと不意打ちだったというか。だ、大丈夫だ。
- オヤジ
- 大丈夫って、感じじゃないぞ。キョン、この浮き輪につかまれ。
- ハルヒ
- そんな小道具と小芝居まで用意して! 何考えてんのよ!
- ハル母
- ハル、キョン君のおうちに、さっきお泊めしますと電話しておいたわ。
- ハルヒ
- か、母さんまで?
- ハル母
- こうなるのが、ある程度、予想できちゃったから。ごめんね。
- ハルヒ
- うー。
- ハル母
- キョン君は夜にカフェインをとると、眠れない方?
- キョン
- あ、いえ、大丈夫です。
- ハル母
- うちも遅い夕食が済んだところなの。じゃあ、お茶を入れるわね。
- オヤジ
- よし、おれが眠れないほど濃いエスプレッソをいれてやろう。
- ハル母
- お父さんは、頼みたいことがあるの。
- オヤジ
- なんだろう、母さん?
- ハル母
- キョン君の下着その他、お泊りグッズのリストを書いておきました。コンビニまでダッシュでお願いします。
- オヤジ
- 母さん……。
- ハル母
- ハルだけが可哀想だと不公平ですから、ね。
- オヤジ
- うー。こいつは全然可哀想じゃないぞ。
- ハル母
- お父さんがはしゃいでまぎらわそうとしてる悲しみは、子離れを向かえた親の特権だと思わない?
- オヤジ
- ……違いない。行ってくるか。
- ハル母
- ハル、ケンカじゃないけれど、あなたたち二人への不意打ちは、これで両成敗ってことで許してね。
- ハルヒ
- わ、わかったわ。でも、キョンのうちは、大丈夫だったの?
- ハル母
- それは信頼してもらうより他ないけれど、キョン君、おうちに電話する?
- キョン
- あ、はい、そうします。一応、自分からも連絡しておいた方がいいと思うんで。
- ハルヒ
- この子機つかって。あんたの家の電話番号は#1の短縮でかかるから。
- キョン
- ああ、すまん。……「ああ、おれ。ごめん……大丈夫、心配ないから。……わかってる。ちゃんとするから。ん、じゃあ」
- ハルヒ
- どうだった?
- キョン
- 普通だ。あらかじめ連絡はしろ。そちらに迷惑をかけるな、くれぐれもよろしく伝えてくれ、とそんな感じだった。
- ハルヒ
- ……ふう、そう。
- キョン
- なんか心配かけたな。
- ハルヒ
- 別に心配はしてないけど。うちのせいで、あんたが自分の家族とケンカするとか気まずい関係になると、困るから。
- キョン
- おまえは、うちの家族に気に入られてる。おれより信頼されてると思うぞ。
- ハルヒ
- あ、あたしのことはどうだっていいのよ。
- オヤジ
- はあ、はあ。行って来たぞ。
- ハルヒ
- ほんとにダッシュしてきたの?
- オヤジ
- おれがいない間に、何か楽しいことがあって見逃したら悔しいだろ。
- ハルヒ
- あんたは子供か!?
- ハル母
- ふふ、ありましたよ、楽しいこと。
- ハルヒ
- 母さん!
その2へつづく