ハルヒと親父 @ wiki

7月20日 Tシャツの日

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haruhioyaji

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●7月20日 Tシャツの日
 愛知県のファッションメーカー・ファッションミシマヤが、夏の定番ファッションであるTシャツをPRするために提唱。
 「T」がアルファベットの20番目の文字にあたることや、この日が以前「海の日」であったことなどに、ちなんでいる。


記念日童話「まんぞくもののシャツ」

 むかしむかし、ある王さまがいました。
 その王さまは、ハルヒという一人娘の王女さまを、目にいれてもいたくないほどかわいがっていました。
 でも王女さまの方は、いつもつまらなそうにしていて、一日じゅう、バルコニーに出ては、遠くのほうをボンヤリとながめているのでした。
 ある日、王さまは王女さまにたずねました。
「おいおい。いい若いもんが毎日ぼけっとバルコニーで時間をつぶして、光合成でもやってんのか? なにか不満でもあるのか?」
 少しガラの悪い王様ですね。
「うっさいわね。あたしにもなにが不満か、わかんないわよ!」
 王女さまもどっこいどっこいです。
「やれやれ。じゃあ、こういうするか。 もしおまえが結婚したい相手でもいるのなら言え。世界じゅうでいちばんえらい王さまの息子だろうと、いちばんびんぼうな奴の息子だろうと、おまえがすきなら結婚させてやる」
「なんでいきなりそういう話になんのよ!」

 王さまは王女さまに蹴りのめされましたが、それでも王女さまの憂鬱をなんとか追い払おうと、プロザックからホメオパシーにまで手を尽くしました。しかし、どれも、すこしもききめがなく、王女さまの退屈と憂鬱はますますひどくなるばかりでした。
 そこで王さまは、おふれを出し、世界じゅうから、かしこい学者や医者や大学の先生が集められました。
 やがて、かしこい人たちは相談して、王さまに提言しました。
「王さま。わたしたちも、いろいろかんがえました。星うらないもいたしました。こうしてまとまった意見をもうしあげます。まず、不平不満もなく、満足してくらしている人をおさがしなさい。その人は、ただ一つの不満もなく、なにごとにも満足している人でなくてはなりません。そういう人のシャツを、王女さまにお着せなさい」

 王さまは八方手を尽くし、じまんの悪知恵を働かせて、なにごとにも満足している人を探し出し、テストをしました。テストというのは、「じゃあ、うちの城で、高い地位につけてやる」というものでしたが、この申し出を受けるものは、すなわち現状に満足してない訳であり、「なにごとにも満足している人」の条件を満たさないのでした。
 こうして、「なにごとにも満足している人」は、なかなか見つかりませんでした。

 王さまはある日、気晴らしにと、城下町をうろうろ散歩していました。
 しかし、王女さまを元気にすることでアタマがいっぱいでしたから、目の前の大きな樽にも気付かず、ドンとはげしくぶつかってしまいました。
「ああ、すまん。考え事をしてた。大丈夫か」
「いや、大丈夫です」
「おまえ、樽に入って何やってるんだ?」
「これが私のうちです。この中からぼんやりと街を眺めていました」
 一応、お約束なので、あんまり必然性がないけれど、この樽の男はキョンという名前でした。
「おまえさん、樽に住んでるのか? おれは王さまなんだが、わびと言っちゃなんだが、なんかして欲しいことはないか? なんでも相談に乗るぜ、セイフティ・ネットだ」
「いいえ、特には」
「そうか。欲がねえな。まあ、樽に住んでるくらいだから、欲深いとは思ってなかったが、別に金品や地位じゃなくてもいい。何かして欲しいことはねえのか?」
「じゃあ、お言葉に甘えて。王さま、そこに立っておられると、樽が影になります。一歩だけ動いてもらえたら」
「ほう、どっかで聞いたような話だが。ひょっとすると、おまえさんみたいなのが、『なにごとにも満足している人』って奴かもしれねえな」
「なんですか、それは?」
 王さまは、王女さまの話とかしこい学者たちの話を、かいつまんで樽の男に話してやりました。
「そうでしたか。それはさぞご心痛でしょう。私にできることなら、なんでもおっしゃってください」
「ありがたい。じゃあ、さっそく……」
 樽の男は欲がなく、働くこともせず樽の中に引きこもっていたので、とても貧乏でした。
 王さまは、若者の上着をぬがせようとしたのですが、それに気付いて手をとめてしまいました。
「おいおい、なんてこった!?」
 樽の男はとても貧乏だったので、上半身に何も着ていなかったのです。
 ハルヒ王女さまがすくわれるには、まだまだ時間がかかりそうですね。


(ディオゲネスの話が混じってるけど、もとはイタリア民話。オチはそのまま)
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