ハルヒと親父 @ wiki
父の日のこと
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haruhioyaji
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- オヤジ
- 今日は父の日だな。
- ハルヒ
- ……。
- オヤジ
- 今日は父の日だな。
- ハルヒ
- それが何?
- オヤジ
- おれはおまえの何だ?
- ハルヒ
- 親父。
- オヤジ
- 親父とは父のことだ。
- ハルヒ
- そうみたいね。
- オヤジ
- ……。
- ハルヒ
- ……。
- オヤジ
- ……。
- ハルヒ
- ……うっとうしい。何が欲しいのか、早く言いなさい!
- オヤジ
- 愛。
- ハルヒ
- 他当たりなさい。母さんとか。
- オヤジ
- 母さんにとって、俺は夫だ。父ではない。
- ハルヒ
- 父の日は、1909年にアメリカ・ワシントン州在住のJ.B.ドット夫人が、彼女を含む子供6人を男手ひとつで育ててくれた父をたたえて、教会の牧師にお願いして父の誕生月6月に父の日礼拝をしてもらったことがきっかけになって始まったの。
- オヤジ
- ……。
- ハルヒ
- このお父さんも、子供たちが全員、成人した後、亡くなっちゃうんだけどね。
- オヤジ
- ……。
- ハルヒ
- まあ、あんたは長生きしそうだけど。
- オヤジ
- ……。
- ハルヒ
- これ。
- オヤジ
- ……この箱だとネクタイか?
- ハルヒ
- 気に入るかどうか、知らないけど。
- オヤジ
- 開けるぞ。
- ハルヒ
- どうぞ。
- オヤジ
- ……。
- ハルヒ
- あんた用の『愛』は持ち合わせがないけど……。
- オヤジ
- ……。
- ハルヒ
- 感謝は、その、してるから……。
- オヤジ
- キョンの見立てだな。
- ハルヒ
- え?
- オヤジ
- おまえが選ぶ色と柄じゃない……と思っただけだ。礼を言うぞ。
- ハルヒ
- ……いっしょに買いに行っただけよ。キョンだって、お父さんのプレゼント選ばなきゃならないんだし。
- オヤジ
- キョンにも伝えてくれ。涙流して喜んでたって。
- ハルヒ
- 泣いてないじゃない。
- オヤジ
- ……これから泣くんだ。付いて来るなよ。
- ハルヒ
- 行かないわよ。
- オヤジ
- 父親の威信に関わる。
- ハルヒ
- ないわよ、そんなもの。
- オヤジ
- あると思って泣くんだ。今日は父の日だからな。
- ハルヒ
- なによ、それ?
- オヤジ
- どこかの大統領が言ってた。“父親業”は義務じゃなくて特権だとさ。
- ハルヒ
- 意味わかんない。
- オヤジ
- だれにも譲る気はない、ってことだろ。
- ハルヒ
- 譲るようなもんじゃないでしょ?
- オヤジ
- 確かに譲るようなものじゃない。だが特権は、いずれは剥奪されるのさ。
- ハルヒ
- どういうこと?
- オヤジ
- いい加減、生きて長いんだから、親父心を分かれ。といっても無理か。
- ハルヒ
- ケンカ売ってんの?
- オヤジ
- ネクタイは気に入った。明日から締める。……キョンに聞いてみな。あいつもいずれは親父になる身だ。その前に夫にならなきゃいかんが。そして親父は退場するんだ。バージン・ロードで『バトン』を渡した後にな。