ハルヒと親父 @ wiki

同窓会の日にて

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haruhioyaji

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●同窓会の日 
 懐かしい再会と感動の場である同窓会により多くの人々に参加してもらおうと、ウェブ同窓会「この指とまれ!」などを運営する「株式会社ゆびとま」が制定。日付は月初め、月末を除き連休になる確率の高いことから毎月第3土曜日に。


 「同窓会の日にわざわざ同窓会しようなんて、誰の発案かしら。世の中、似たような事を考える似たようなアタマばっかりなんだから、結局お店が取れなくて、学校で同窓会をやる羽目になるのよ」
「そ、そうだな」
「ちょっと、なに、笑ってんのよ?」
「いや、ちょっとした、思い出し笑いだ」
「気持ち悪いわね」
といいながら、口の形だけ「いーだ」とやってみせる。

 この坂をまた登るのかと思うと、当時も思ったある記憶がよみがえって来た。そう、それだけの話だ。
 たとえば……あの日、「普通の人間」と一刀両断されたクラスメイトたちは、こいつが同窓会に来るなんて想像できただろうか? 

 「同窓会? いくわよ。あんたが行くのに、あたしが行かないのはおかしいでしょ」
「いや、俺は行くとは、まだ一言も」
「あたしが行くのに、あんたが行かないのは変ってもんよ。いいから、いっしょに来なさい!」

 ああ、そうか。俺は急用ができたとか、じいさんが危篤だとか、適当なことを言って、こいつ一人だけを行かせる事だってできたんだ。驚愕から恐慌状態になるクラスメイトたちの表情が、容易に想像できる。

 「変わったな」
「あたしは変わらないわ」
「そうか?」
「すこーしだけ、寛容になったことは認めたげる」
「具体的に言うと、どのあたりだ」
「地球にへばりついてる人間たちを、宇宙船地球号の乗組員と認めるくらいには、ね」
「なるほど。じゃ、おれたちも宇宙人の一種だと、思っていいんだな」
「その自覚がないのは、ヒラの地球人ぐらいのものよ」

 駆け下りたり、駆け上がったりした、思春期の心臓を痛めつけたこの坂も、こうやってゆっくり登れば、なんていうことのないハイキング・コースだ。昔もそう思ったっけ?

「それにあたしは見つけたわ」
「何を?」
「宇宙一わけのわからない奴」
「聞こうじゃないか、そいつの名を」
「知らないわ、キョンとかいう通り名しか」
「キョンは通り名なんかじゃないぞ。単なる、不本意な、あだ名だ」
「あだ名なんてそんなもんよ。今日会うクラスの連中は、さて何人あんたの本当の名前なんて知ってるかしら」
「他の奴は、キョンでいいさ。だけどな、おまえは……」
こいつ、また声に出さずに口の形だけかよ。
「見とれてないで、さっさと登るわよ」
「随分と早く出たんだ。まだ誰も来てないさ」
「だからよ。あんたと二人で行くの。あの教室までね」
だからって、急に走るな。そんなにうれしそうに。
「おれも見つけたぞ! 宇宙一素直じゃない女!」
「聞こうじゃないの、その女の名前?」
俺は自分の名字に加えて、こう言った。もちろん、声に出してな。
「ハルヒ」
「なによ、バカキョン!」

 校舎のてっぺんが見えて来た。坂の終わりも近い。そうとも、おれたちは、ここで出会った。いろいろあって、そして誓った。この先はずっと一緒だってな。











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