ハルヒと親父 @ wiki
ラブレターズ
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haruhioyaji
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恋文たちから
(5月23日 ラブレターの日にて)
- ハルヒ
- ったく、信じられないわ。親父の奴、今でも母さんにラブレター書いてんのよ、それも激甘の奴。いい歳して、どんなバカップルよ!
- キョン
- ほう。
- ハルヒ
- なによ、その体温の低い応答は。そういえば、あんたからラブレターをもらったこと、なかったわね。
- キョン
- ラブレターっていうのは、好きな相手に面と向かって告白するかわりに出す手紙だろ? おまえ、告白は直接言え、って言ってなかったか?
- ハルヒ
- じゃあ、言いなさいよ。
- キョン
- ……なにをだ?
- ハルヒ
- 言・い・な・さ・い。
- キョン
- だから何を?
- ハルヒ
- ……(し、しぶといわね)。
- キョン
- ……(ここで目をそらしたら、いっきに持って行かれる。耐えろ、耐えるんだ)。
- ハルヒ
- ……わ、わかったわ。ここは団長のあたしが、大人の判断をして譲歩してあげる。
- キョン
- そ、そうか。
- ハルヒ
- ラブレターでもいいわ。
- キョン
- は?
- ハルヒ
- ラ・ブ・レ・タ・ー・で・も、い・い・わ。
- キョン
- (どこが大人の判断だ? というか、どこがどう判断なんだ?)
- ハルヒ
- (こいつ、ここまであたしが引き下がってるのに、無反応なんてどういう了見よ)
- キョン
- (無反応じゃない。あまりのことにリアクションがとれないんだよ)
- ハルヒ
- わかったわ。ケンカ両成敗って言葉もあるし、あたしも書くから、あんたも書きなさい、キョン!
- キョン
- (それって、ラブレターの意味ないだろ。というよりケンカだったのかよ?)
- ハルヒ
- (どうよ、これで最悪でも刺し違いよ)
- キョン
- すまんがハルヒ。俺はラブレターなんてものは書いたことが無い。少しでいいから、ヒントと言うか、見本をみせてくれないか。
- ハルヒ
- あ、あたしが?(こ、こいつ! なんて卑劣な!)
- キョン
- ああ。(他の奴にこんなこと頼めるか)
- ハルヒ
- あんたに?
- キョン
- そう。
- ハルヒ
- それって、まるで愛の告白じゃないの?
- ギャラリー
- (だから、それそのものだろ)
- ハルヒ
- いいわ、やってやろうじゃないの。キョン、そこのお白州に正座しなさい。
- キョン
- 俺は罪人か。
- ハルヒ
- (あたしから告白させようとたくらむなんて万死に値するわよ)
- ハルヒ
- いくわよ、いい?こほん。……夕べはあんたのことを想って一睡も眠れなかったわ。
- キョン
- まじ?(だが何故そこで胸をはる、ハルヒ?)
- ハルヒ
- ま、マジよ。(こうなりゃ撃つのはすべて実弾よ!)
- キョン
- (く、心の臓を打ち抜かれた。もはや、ここまでか……)
- ハルヒ
- (さあ、おいつめたわよ、キョン)
- キョン
- そ、そ、それは、かたじけのうござる。
- ハルヒ
- このアホキョン! なにが『ござる』よ! そんな反則技、三谷幸喜でも使わないわ!
- キョン
- わ、わるいか、おれは緊張すると『ござる言葉』がでるんだよ!
- ハルヒ
- どうでもいい設定加えるな!……で?
- キョン
- あ?
- ハルヒ
- あたし一人に恥かかせるんじゃないんでしょうね。
- キョン
- うぐ。おれが言うのか。今みたいなのを。
- ハルヒ
- 言っとくけど、本心からの言葉じゃないと却下だからね。そういうのは自ずと伝わるものだから、すぐに見抜けるわよ。
- キョン
- ……下ネタは?
- ハルヒ
- 殺すわよ。
- キョン
- 本心と固く結びついてる奴だぞ。
- ハルヒ
- あんたがエロ親父になるなんて100年早いわよ!
- キョン
- ハルヒ、おまえと清らかな交際がしたい……。
- ハルヒ
- 却下。キョン、あんた、死んだ魚みたいな目になってるわよ。
- キョン
- (これが泣かずにいられるか)
- ハルヒ
- 悪かったわよ。涙吹きなさい。ほら、鼻も。チーンして。
- ギャラリー
- (おかあさんか!?)
- ハルヒ・キョン
- 「「ん、メール?」」
To:ハルヒ
このメールは送付時間を指定できるサービスで送ったもんだ。
いつもお前の近くにいる風采の上がらないチキン野郎の独り言だが聞いてやってくれ。
ハルヒ、おれはおまえが好きだ。
このメールは《ラブレターの日》の午後@@時に送信されることになってる。
これを書き出したのはずいぶん前だが、何度も書き直して今日になっちまった。明日に間に合わないと意味がないので、ここで送信する。 キョン。
To:キョン
バカキョンへ。
はじめていうわ。二度とは言わないから。
あんたがすき、あんたがすき、あんたがすき
読んだらすぐ消しなさい。絶対に絶対だからね!