ハルヒと親父 @ wiki

明日のお弁当

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haruhioyaji

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明日のお弁当


ーーー重要なのは、何を食べるかではなく、誰と食べるかである (セネカ)


「ハルヒ、明日は弁当作って来なくていいぞ」
 え、今日の、何か失敗してた? キョンの嫌いなものでも入ってた? おいしそうに食べてるように見えたんだけど。
「そうじゃない。おまえの分も必要ないって言ったんだ。ちょっと食べさせたいものがあってな」
って、あんたがお弁当作ってくるってこと? 大丈夫なの?
「ああ。何度か挑戦してたんだが、夕べようやく成功したんだ。ちょっと期待していいぞ」
というか、あんたそんなに朝早くに起きられるの?
「そっちかよ。まあ、大丈夫だと思うが、心配ならモーニング・コールでもしてくれ」
んー、そうね。もっと確実な方法があるわ。
「いや、待て。言うな」
なによ、言わせなさい!
「言ったら最後、その通りにしちまうだろうが!」
言わなくても、いつでもあたしは思い通りにやるの!
「おまえなあ」
うるさい!今日はあんたの家に泊まるわよ!明日はあたし直々に起こしてあげるわ!
「だから、それじゃ都合が悪いんだよ」
何よ!あたしを泊めるのがそんなに嫌なの?
「上目遣いに見るなって。反則だろ」
反則って何よ?
「いや、あのな。おまえがうちに来たら、サプライズってもんがないだろうが」
どういうことよ?
「下ごしらえしてるところなんかをお前が見たら、俺がどんな弁当を持ってくるか、わかっちまうだろ?」
そんなにあたしをびっくりさせたい訳? わかったわ。今日は妹ちゃんと遊んで、台所には近寄らない。明日あんたを起こしても部屋で待機する。これで問題ないでしょ?
「うちに泊まるのは規定事項なんだな。やれやれ」

 あー、おいしかった。いつもキョンのお母さんのご飯はおいしいわね。なかなかこの域には達しないわ。
「おまえのつくるものも十分うまいぞ」
な、なに言ってんのよ!? 褒めたって何にも出ないわよ。
「おまえこそ何言ってんだ? さて、ちょっと下ごしらえしてくる。妹とでも遊んでてくれ」
うん。……あ、あのね。
「ん?なんだ?」
あ、あたしがこれだけ我慢してるだからね!びっくりするくらいおしいいお弁当じゃないと承知しないわよ!
「はいはい。じゃあ、びっくりできない程度だったら、どんな罰が待ってるんだ?」
それは……そ、そうよ! あんたね、戦う前から負ける気でいる訳?悪しき敗北主義よ!
今は目の前のお弁当を打ち破ることに集中しなさい!! 骨は拾ったげるから。
「やれやれ。弁当に特攻かけてどうすんだ? まあ、いと気高き団長様の叱咤激励だ。ありがたく受け取っとくよ」
一言多いのよ。そんな混ぜっかえされたら……、ありがとうも言えないじゃない。
「わるいわるい。まあ、礼なら食ってからってことにしといてくれ。とりあえず楽しみにしてろって」

 次の日の朝、キョンと妹ちゃんと3人で、家を出た。
 途中で妹ちゃんと別れてからは、キョンの自転車の後ろに乗って、あたしたちは学校へ向かった。
 学校では、キョンの方は早起きしたせいか、午前中は見事に絶賛睡眠中だったわ。夕べは、あたしがなかなか寝付けず、二人とも夜更かしだったしね。
 そして4限目が終わって、待ちに待った時間が来た。
「ハルヒ、どうする?部室、行くか?」
 せっかくのキョン弁当をどこで食べるか、あたしは午前中そのことばかり考えていた。
 教室は、ちょっと論外。
 あたしがつくったお弁当を二人で食べるのはもう抵抗なくなったけど、今日のは特別、なんだかそれでは惜しい気分だった。
 同じ理由で部室も却下。ごめん、今日はこの時間を独り占めしたいの。
「屋上へ行きましょう!あそこなら誰もいないわ!」
「だれもいないって。おまえの弁当を取るような恐ろしいことをする奴は、この宇宙中探してもいないと思うぞ」
「そういう腑抜けた気持ちだから、見つかる不思議も見つからないのよ! あんたもSOS団団員なら、常時全方位的に臨戦態勢でいなさい! というか、あんた、臨戦態勢だったことってあったけ?」
「俺はお前に会ってから、ずっとそういう気分でいるがな。まあ、昼飯くらいのんびり食べようや。屋上、行くか」
 あたしはうなずき、キョンの手を引いて教室を出た。

 本日は快晴。風もなくて、この季節なのにどこかぽかぽかとした感じがする。屋上なんて寒いだろ、と即座に却下されるかも、と思ったのは杞憂だったわ。さあ、腰を下ろして、あたしたちの愛しのお弁当を広げましょう。
「まあ、食ってみてくれ。自分ではまあまあだと思うが、味覚ばっかりは人それぞれだからな」
 いつもの、やる気なさそうな表情は変わらないけれど、それでも、ほんの少しだけ緊張?してるのね。でも、これって……。
「どうだ? 付け合わせまで手が回らなくて冷凍食品をつかったが、キャベツの千切りは俺が切った。まあ、ほとんどの手間はメインに費やした訳だが。おい、ハルヒ?」
 口に入れたらさくさくと音がしそうなきつね色の衣、ほどよい大きさの俵型、箸を入れると中からはとろりとした白いクリームにたっぷり入ったほぐされた身。あたしはそのひとつを無言で口に入れる。これって、やっぱり!
「俺特製カニクリームコロッケだ。なかなか破裂させずに揚げるってのが難しくってな。今日までかかっちまった。で、どうだろう?」
 うまい!うまいわよ!これをまずいって言う奴は宇宙中探しても見つかんないわ!学食の日替わり特製コロッケも目じゃないわよ!それになに、このカニの身の量!
「おまえ、面倒がってカニ食わないからな。しかし味は嫌いじゃないんだろ?」
 ええ、まあ。うん。
「こんなもんでよかったら何時でもつくってやる。まあ毎日と言われたら、正直俺の財布が持たないがな」
 なにバカのこと言ってるの!これ食べられるんだったら、払うものぐらいあたしが払うわよ!
「あー、そうだな。一食でキス一回、じゃどうだ?」
 安いもんよ。
「……まじか?」
 ダモクレスの剣と書いてマジよ。



ーーー最高のシェフは、恋をしたシェフ (ミッシェル・サラゲッタ)


(スレの流れ)
  • 夜更かしってお前ら……!!そしてソレすらも家族公認……ハルキョン、恐ろしいバカップル!
  • 夜更かしの一部始終をSS化し(ry



明日のお弁当:夜の一部始終


ハルヒ「ねえ、キョン。もう寝た?」
キョン「ああ。すっかり眠ってるぞ」
ハルヒ「なによ、寝てないじゃない。だったら、こっち向きなさい」
キョン「断る。明日早いんだから、もう寝ろ」
ハルヒ「眠れないから言ってるんじゃないの。ちょっとは気をきかせなさい」
キョン「『お互いの家ではしない』って約束だろ。俺たちまだ高校生なんだぞ」
ハルヒ「高校生だから、いろいろ持て余すんじゃないの、バカ」
キョン「おまえからベッドに入ってきて、そういうこと言うか」
ハルヒ「二人っきりでにいるのに、なんで離れてなきゃいけない訳?そんなの無意味よ。不条理だわ」
キョン「もともと妹の部屋で寝るはずだっただろ」
ハルヒ「そんなこと一言も言ってないわ。>>のレス読み返しなさい」
キョン「こんな手近に『不思議』が見つかってよかったじゃないか」
ハルヒ「無理やりまとめんな! それと不思議と不条理は違うわよ」
キョン「わかった、わかった。その話は明日しっかり聞いてやるから」
ハルヒ「まだわかってないようね。あんたに拒否権はもともと与えられてないの。ふふふ……」
キョン「って、ふあああぁ! こ、こら、何しやがる!?」
ハルヒ「あんたは勝手に寝てなさい。あたしはあたしで勝手にやるから」
キョン「そ・れ・は、俺のだ」
ハルヒ「あんたのものはあたしのもの、あたしのものもあたしのものよ」

キョンの妹「おかあさん、キョン君たちがうるさくて眠れなーい」
キョンの母「今日は下で寝なさい。ほんと、あの子たちにも困ったものね」


こうですか? わかりません。
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