ハルヒと親父 @ wiki

ネーミング・ライツ

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haruhioyaji

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 「SOS団の新しい活動を発表するわ」
「おお、すばらしい」
「古泉、まだ何も言っとらんぞ」
「やっぱりわかる、古泉君? この企画のすばらしさが!」
「勝手にやってくれ」
「キョン、話に集中しなさい。あんたは、今回の目玉なんだから」
「外させてもらおう。おれは真ん中より隅っこが好きなんだ」
「SOS団も、ついにネーミング・ライツ事業に乗り出すわよ!」
「ほえー、ネーミング・ライツって何ですか?」
「いい質問ね、みくるちゃん。そういう読者の目線に立った疑問を打ち上げてもらえると、説明的なセリフも自然に流れるってものよ!」
「メタに説明したら、何にもならんだろ。いまはgoogleもウィキペディアもあるんだし、わからん言葉は自分で調べるさ」
「ネーミング・ライツってのはね、日本語で言えば『命名権』のことよ。最近よくいうのは、スポーツ施設や文化施設等の名称に、企業名が入っているのがあるわよね。あれよ、あれ。つまり、企業はお金を払って、自身の企業名やブランド名を、施設の名前としてつけることができるわけ。そこでの試合がテレビ放送されたり、新聞報道されると、自動的に、施設名がいろんな人の目に触れる訳でしょ? つまりCMをうつのと同様の効果がある訳よ。だから巨額の料金を支払っても、企業はネーミング・ライツを獲得しようとする訳」
「なんだか、すごい話ですねえ。スケールが大きいというか」
「そうよ、ビッグ・ビジネスよ!」
「で、何の命名権を売り出すつもりだ? 団の名前か?」
「神聖にして不可侵なSOS団の団名を売りに出すですって!? キョン、冗談も休み休みに言いなさい! 心ない生徒会に買われでもしてみなさい、『文芸部』とでも付けられたら、どうするつもりなのよ、あんた!」
「いや、実質、今と何の変わりもないだろう」
「コンピ研が買い取って、コンピュータ研究会SOS団支部、とでもされてみなさい。あたしたちは下僕の扱いよ!」
「おとなしく下僕扱いされる訳が無いだろうが」
「ないわ。さわがしく下僕扱いされる気もないけど。あたしに指図できるのは、宇宙にたった一人、あたし自身よ!」
「はいはい。で、何のネーミング・ライツを売りに出すんだ?」
「なに、キョン、あんた今の話、聞いてなかったの?」
「聞いてたさ」
「念のために聞くけど、みんなは、もう、わかってるわよね?」
「ええ、もちろん」「ひょえー、わかってます」「(こくん)」
「ほら見なさい! あんた以外の団員は、この企画を完全に理解しているわ。分かってないのは、あんた一人よ、キョン!」
「ものすごく嫌な予感がするんだがな」
「じゃあ、分かってない哀れな雑用係のために、あえて発表するわよ。ネーミング・ライツを売りに出すのは、キョン、あんたの名前よ!」
「そうか、そうか。ええ!?」
「驚いたでしょ。びっくりしたでしょ」
「ハルヒ、おまえは何でそんなに楽しそうなんだ?」
「だって楽しいもの」
「おまえな、人の名前を何だと思ってるんだ。親がその子の一生の幸せを祈ってつけた大事な名前をだな!」
「あんた、『キョン』って、親につけてもらったの?」
「いや、ちがうが……」
「妹ちゃんが広めたんだったわよね、確か」
「確かにそうだ」
「あんた自身、別に気に入ってないんじゃないの?」
「いや、すでに慣れ親しんでるというか。というか、ハルヒ、おまえ、おれを『キョン』以外の名前で呼んだことないだろ!?」
「ないわ。あんただって『ハルヒ』と呼び捨てじゃないの。偉大にして唯一のSOS団団長をつかまえて」
「……最初は、『涼宮』と呼んでたぞ。元に戻すか?」
「よ、余計なことは考えなくいいのよ。いい? いま問題なのは、あんたの『キョン』っていう、まぬけなニックネームよ。これを広く応募を募り、しかも巨額の金をゲットする、これ以上にすばらしい計画は、NASAのアポロ計画以来なかったと言っても過言ではないわ」
「さすがです」「ひょえー、すごいです」「(こくん)」
「おまえら、みんなパーミットかよ!?」
「嫌な名前なんか却下すればいいのよ。あたしたちは選ぶ側よ」
「というか、俺が選ぶんじゃないのか? ハルヒ、おまえ純粋に『名前』の内容で選ぶ気ないだろ?」
「あら、そんなことないわ。SOS団雑用にふさわしくない名前は願い下げよ。その上で、一番高く払ってくれるのを選ぶんじゃない」
「じゃ、おれが“トータルテンボス”とかになってもいいのか?」
「たかがアダ名じゃない。それに爆笑オンエアバトル第10代および第11代チャンピオンよ」
「そんなお笑い豆知識は聞きたくない」
「さあ、古泉君。必要な準備をしてちょうだい。みくるちゃんは募集用ポスターの撮影があるから着替えて。有希、厳選なる選考をサポートできるようなプログラムを開発して。今回はキョンに任せるとろくなことが無いから、募集用のwebデザインも有希に一任するわ!」
「わかりました、閣下」「あ、あんまりエッチなのはよくないと思います」「了解した」


 「古泉、それで応募はあったのか?」
「ええ、1820数件ほど」
「そんなに? 何故?」
「さて、何故でしょうか。僕が口にでき、なおかつ自分自身を納得させる答は、ひとつしか思いつかないのですが」
「やめろ。聞きたくない」
「涼宮さんが、そう望んだとしか」
「あいつは、俺の名前なんかどうでもいい、ということか?」
「いや、その逆でしょう。あなたの名前もまた、神聖にして不可侵、と考えておられると思いますよ」
「だったら何故選考はあいつひとりでやっちまう? 俺の意思はどこに反映される余地があるんだ?」
「アダ名というものは、呼びたい側が勝手にそう呼ぶもので、呼ばれたいようなものにならないのが、通常ではないかと思いますが」
「決まったわよ!!」
ハルヒがパソコンのディスプレイから顔をあげ、立ち上がって天井を指差し、高らかにそう宣言した。
「あんたの名前。相当な金額で落札よ!」
「(小声で)ちなみにあなたも入札されたそうですね。長門さんに伺いました」
「わ、わるいか」
「いえ、ご自身の意思を反映できる機会があるのは望ましいことだと思いますよ。日本は自由主義国家ですし」
「貴様、何が言いたい?」
「こら、そこ! ちゃんと聞きなさい! ……じゃあ、発表するわよ。有希、ボイス・ドラムロールをお願い。みくるちゃんはファンファーレとプレゼンターね」
「(こくり)」
「あ、は、はーい」
「盛り上がって来たわね、では発表します。キョンの新しい名前は!!」


「ちょっと、待て。審査委員が応募していいのか。自分が応募したのを審査委員が選んでいいのか?」
「ちょっと、なによ、その横やりは?」
「どう考えても、そんな応募、おまえしか考えられん、と言ってるんだ!」
「あんたこそ、『キョン』に応募してたじゃないの、ン十万もつっこんで!」
「わ、わるいか。最初は不本意なアダ名でもな、呼ばれる方にだって矜持というかプライドが芽生えるんだよ」
「だから、あたしがそれをも汲んで、つけてあげたんじゃないの!」
「俺は婿養子か!」
「い、いやなの?」
「いや、いやというんじゃないが……、とにかく、この企画はボツだ、中止だ!」
「うっさい。これはもう決定事項なの!」
「こんな企画なんかなくてもな!」
「なくても、なんなの?」
「う……」
「へたれ」


みくる「結局、なんて名前だったんですか?」
古 泉「いやいや、雨振って地固まる、ということでしょうか」
長 門「答えを知りたい方は、で・わっふるをクリック」



(レスの流れ)

 最終的に「今度は俺がお前の名前を決めてやる!」とか言い出して「涼宮」じゃなくなるんですね、わかります















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