勝手にコンサルティング福井
座・タイムリーふくい(20080209)
最終更新:
c291
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定点観測
観測対象
- 座・タイムリーふくい(2008年2月9日放送分)
テーマ
- 県都再生議論総括!これが具体論だ!!
他県に負けない県都とは―。番組では生放送で県民からの意見を募集。その意見を紹介しながら街づくりのスペシャリスト、日本政策投資銀行の藻谷浩介氏と京都府立大学の宗田好史准教授が具体的に県都福井の目指すべき姿を提言する。
出演
司会
ゲスト
- 藻谷浩介 日本政策投資銀行 参事役
- 宗田好史 京都府立大学 准教授
観測予定
しかしスゲー意欲的なタイトルだな。中心市街地関連の話題はとりあえずこれで一区切りってことか?
藻谷氏はお馴染みだが、もう一人の京都府立大の宗田氏のことは以前どっかで見たような気もするけど良く分からない。まちづくり専門の学者さんってことだけど、京都やイタリアの例を出されても困るので、福井で出来ることを提言できるかどうかを中心に見たい。
ご意見募集への応募だが、今回はどう考えても採用されない意見じゃなく、場合によっては採用されそうなパターンで考えてみた。
●他県に負けないと言うが、まずどうなると勝ちでどうなると負けなのか?具体的な判断基準としてはどんな統計が適当ですか?
●再開発ビルの契約の報道があったが、契約に至る経緯が市民から見えない。せめて設計については公開コンペを行うべき。
●テナント事業者も決まらないうちにビルの事業計画を立てるのは無謀ではないか?まず核テナントを誘致して意見を聞くべきでは。
●福井駅前に一流シティホテルなんて誘致できるんでしょうか?仮に出来たとしてもどれ位のプラス効果があるのか疑問です。
●福井城址のお堀を憩いの場や遊べる場にして欲しい。お堀での釣りも開放して、ついでにボートに乗って遊べるようにして欲しい。
しかもバラバラの5人が送ったように、軽く偽装工作もしといた。これで5件とも採用のファイブカードを目指すぜ!
(以上越080208)
観測結果
Four of a Kind!
宗田氏はやっぱりこの番組で最近見たような気がするんだよねえ。年末の特番のときに見たから記録が残ってないんだろうか…。
今回のご意見募集では果敢にファイブカードを目指したわけだが、一歩及ばずフォーカードだった。ニックネームを「越」「光」「蕎麦」「之」「助」の5件に分割して送ったんだけど、結果的に「越」で送った分が不採用だったから、パズルは「光蕎麦之助」までしか完成しなかったけど、まあまあの結果ってことで良しとしよう。
今回は原渕アナの「ドーンといきます。」で始まった訳だが、論客2人が饒舌で確かにドーンと盛りだくさん。お二人の意見には俺も概ね共感なので、今回は俺の屁理屈を書くのは控えて、ご両人が各々提示した3つの提言を中心に、今後の重要な記録としてお二人の意見の要約に徹しようと思う。
とは言え、これだけは言っておきたい。
宗田准教授の鼻声の喋り方って、マジで田村正和に似てるわ~。
宗田准教授の鼻声の喋り方って、マジで田村正和に似てるわ~。
藻谷氏のご意見
カムバック!市街地人口
- 県都再生のためには中心市街地に人口を戻す必要がある。ただし高層マンションで戻すのはダメで、一戸建て住宅を増やす工夫が必要だ。方法論としては定期借地権を活用するというのが、土地所有者の抵抗感が少なくて有効。
- 福井は人口が少ないから、にぎわいを取り戻すのは難しいという意見があるが、何十万人も人口がいなくても、中心部に新たに2~3万人が住むだけでもにぎわいは十分取り戻せる。京都や金沢が良い例で、中心部にちゃんと人が住んでいるからにぎわいを失っていない。一方で福井は(ここ数十年の間に)郊外に宅地を広げすぎた。
- (今進められている西口再開発ビル計画は)絶対にマズイ計画です。アオッサをやる前にも我々はこれではダメだと主張したのだが、そのまま進めてやはり失敗した。それなのに、その反省もなく相変わらず計画を変えようとしない。この(西口の)計画は全く計算が出来ていない、事業(というか商売)を分かっていない人達が進めている計画で、このままでは成功は難しい。
- アオッサもそうだが、西口再開発ビルにも相当額の公的資金が投入される。(アオッサもそうだが)市民が良いと思わない計画が、何故か進められてしまっているという現状を市民は良く考えるべき。
再生!グルメの都
- 片町に注目したい。片町には良い店がたくさんあるが、これがあまり知られていない。
- 地元で今しか食べられないものというのは付加価値が高い。(単に美味しいものという事ではなく)福井でしか食べられないものを、わざわざ食べに来てもらうという方向で考えるべき。地元ホテルなどもそういう店を紹介できるようPRに努めないといけない。
- 地元の名店が頑張って、都会の百貨店の催事場などに積極的に出て行き、呼び水になるべき。ただし、都会の百貨店に常設テナント店を構えるような出展の形はダメ。あくまで催事場などに出展し、「ホントの本物を体験したかったら福井に来てください!」というアプローチで。
リバイバル!先端ファッションの街
- 残念ながら福井には福井市民が望むナショナルブランドが集まったビル(多分、金沢フォーラスや京都伊勢丹みたいなの)は出来ない。そんな物が欲しければ京都や金沢に買いに行け!そして、そういうビルがある街に住みたい人は、さっさと大都市に引っ越して砂粒の砂になるべき。(越注:今週のヒット賞)
- 東京にあるものが地方にもあることにプライドを持ち、無いことにコンプレックスを感じるなら地方に住んでる意味がない。東京にないものが地方にあることにプライドを持つべきで、(ブランド店がないとか)そんな事にコンプレックスを感じる必要がない。(越注:今週の準ヒット賞)
- 福井は(繊維産業をベースにした)オシャレな街で、情報発信する立場にもなれるはずだ。(都会のブランドなどにこだわらず)福井のセンスや着こなしをアピールすべきだし、街中には(そういう意味で)主張がある若者の小さな店を増やすべき。
- (都市再生のためにファッションを原動力にするためには)ファッションに興味のないオジサンが色々な物事を決めるのはダメ。オジサン達はグルメに関することなら、まあ多少口を出しても良い。(注:宗田氏はオジサンはグルメ関連にさえ口を出すのもNGとの厳しいご意見)
提言以外の苦言や意見
- 営業時間を延長できないような消費者ニーズに対応できない店は、さっさと撤退して他の人に貸すべき!現在のような事業者にとって厳しい時代には、何でも良いからチョットでも出来ることはやる人というタイプの事業者しか生き残れない。
- 中心市街地の地権者は(再開発に絡んで高い賃料をGETしてやろうなどと邪な考えは捨てて)未来ある若者に安いテナント料で店や土地を貸すべき。「そんなテナント料じゃ貸せない!」なんて文句を言っている間に街が沈下してしまう。
- 若者が街を捨てて出て行く理由はそこにチャンスを感じないから。そのような(若者が捨てる)地域に共通しているのは老害。70歳代以上(の老人たちが、利権を)がガッチリ握って、50歳代(のオッサン)でも若手扱いされているような地域に、20歳代が希望を感じるでしょうか?いや、感じない。(反語)
- 具体的な取り組みとしては、まず(テナントが集まらない等の理由で)困ってしまっている地権者が集まって(今までの反省や、これからの事を)真剣に考えるべき。そして、1年ぐらい掛けて色々な事例を視察に行く。視察といっても大規模再開発が起爆剤になって街が再生したなどというインチキを視察してもダメ。家賃を下げて、(試行錯誤する中で)新しい人を呼び込むことに成功した例をみるべき。(注:藻谷氏は熊本市の例を良く出してる)
- とにかく今は少子高齢化で人口構成が変わる大転換期。今までの考え方からガラっと変える必要がある。
- 高いビルを建てるのではなく、空き地を埋めることを考えていくことが必要。ポツンと高層ビルが立ってるような街には魅力が無く、みんな京都や金沢のような平べったい町に遊びに行っているという現実を考えるべき。
- 大体、中高年のオッサンは高い建物が好きで、やたらと高層ビルだの天守閣だのを建てたがるが、(市街地の再生のためには)目線を下げて女性の立場で考えることが必要。
- (福井の人はすぐに)「福井は戦災震災があったから…」というが、その後60年もあれば街づくりはできたはず。(つまりみっともない言い訳すんな!って事だな)
- 福井は繊維文化と食文化がある恵まれた地域。(今からでも)福井は十分再生出来る。ただし、中心市街地活性化を議論するときには3分の2は30歳代以下、そして半分は女性というメンバー構成で議論すべき。(つまり老害を意識的に排除しろ!って事だな)
宗田氏のご意見
土木事業からの脱却
- 街が郊外に広がり過ぎたのは間違った土木事業が原因。街中に人を戻すには土木事業からの脱却が条件。
- 昔は道路を作れば後は事業者がステキな店などを作ってくれて、土木事業も機能していたんだろうが、今の土木事業は地権者の利益(という街づくりという目的から外れたもの)のために行われていて、これが街の活力を殺す。箱物など物を作るのではなく、中身(というか何をするか)を決めて、それから(建物や道路などの)形を必要がある。(藻谷氏が補足→道路と上下水道を引けば、(後は勝手に)街が出来ると思ったら間違いだ!)
- (西口ビルの建設を急ぐのは)一部の土建業者がやりたいんですよね~。それには相当の税金が投入される。誰かが未来(の子供たち)に借金を押し付けてるんですよ!誰かがね~。(利権絡みの連中への嫌味っぽい感じ)(越注:ちなみに西口ビルを受注したのは、前田建設工業というゼネコン。この先生はホントにゼネコンとか公共事業とかが大嫌いなんだなぁ~)
サービス化・女性化した21世紀の都心
- 現在は小売は利益率が低く厳しい状況だが、サービス業は全体的に利益率が高く、零細事業者でもやっていける。中心市街地には大規模小売店ではなく、零細なサービス業者が多数出店することが必要だ。
- 仕事を頑張って向上心もある女性は消費性向も高く、ステキな物や価値のある物にお金を払ってくれる。このような働く女性に代表されるハイレベルの消費者(と向かい合うこと)がお店の質を高めていく。
- 零細な事業者の出店の妨げになっている問題点は、テナント料が高いこと。(そして次↓の地主批判に続く…)
新陳代謝の促進
- 中心市街地活性化には、若い新規事業者がどれだけ出てくるかが勝負。赤字で営業時間の延長も出来ないようなダメな事業者はリタイアして、その場所を安いテナント料で若い人に貸すべき。
- 2、3百万で開業できるような小さい店がドンドン出てくるように(政策的に?)誘導するべき。新規出店者のうち半分は失敗するだろうが、それがまた新陳代謝となり活力が生まれる。
- (都会都会と言うけれど)今の全国的な傾向としては、若者は東京から地方に移動している。ただし、それは未来がある地方都市が条件。新陳代謝が阻害されていては、街からは若者が出て行ってしまう。(越注:要するに宗田氏も老害を排除しろってご意見)
- (現在の西口再開発計画ではテナント料も高くて、未来を担う若い事業者が寄り付かず)商業開発に効果がない間違ったモデルだということを認識し、チャレンジショップ的な(零細な)店が出展できるように変更すべき。
- (今は)土地を持っていることで成功を約束される時代ではない。かつての地主たちはノブレス・オブリージュの意識を持ち、街全体の利益を考えて行動したものだが、戦後の成金地権者どもは利回りだの売却益だの言い出して、土地所有者が果たすべき責務を全うしていない。(今の状況では)安い家賃で若者に土地を貸して街に活気を取り戻すことが、(中心市街地の)土地所有者の責務だ。
俺の感想をチョットだけ
とにかく今回はこのサイトで常々書いてきた「どーしようもない地元商店街こそが活性化の妨げになってる」ということをハッキリ言ってもらって、スッキリした。そして、「とにかく頭の固い年寄りが何やってもダメ」という事もハッキリ言ってもらって、スッキリも2乗だ。
お二人の指摘する街の活性化を妨げる年寄りって、この番組に何度も出演しちゃってる面々じゃねーの?と考えると、福井テレビも思い切った方に舵を切ったなあって感じだが、やっぱせっかくマスコミの看板掲げてるんだから、それぐらいの気概を持ってやっていかないとねっ!
という訳で今回は最近の座・タイムリーふくい中でも、中々珠玉の出来だったと思う。最後は松枝アナの「福井は再生出来るとのお言葉頂きました!」で番組をしめた訳だが、県都再生議論がこれで終わりじゃチョット寂しい。毎週やれ!とは言わないけど、チェック機能を果たす意味で、節目節目では何かやって欲しい。
(以上越080210)
(以上越080210)