中世(ルネサンス・宗教改革の時代までとします)


500年前後

ササン朝ペルシア帝国内でユダヤ人の内紛が起きる。
ユダヤ人学者アシが「ミシュナ」と「ゲマラ」を融合して、『タルムード』に編纂する仕事に着手し、マル・ヨセがこの編纂の仕事を5世紀末に完成させる。

553年

ユスティニアヌス帝が「反ユダヤ法」を発令。
以後、ビザンティン帝国は全史を通じて、ユダヤ人が帝国の行政的な地位に就くことも、青少年を教育することも、勅令によって禁じた。

622年

新興宗教イスラム教誕生。

638年

聖地エルサレムがイスラム帝国の支配下に置かれる(~1099年)。

740年頃

カスピ海沿岸の「ハザール汗国」のオバデア王、国民もろともユダヤ教に改宗させ、国難を乗り切る(ユダヤ人以外のユダヤ帝国の誕生)。

900年前後

ユダヤ教におけるキリスト教以来最大の異端派である「カライ派」、ユダヤ教の高位の聖職者を分裂させる。
「イスラム東方世界」の分裂によって、東洋系ユダヤ人は北アフリカを経由して「イスラム西方世界(イベリア半島など)」に追われる。

954年

コルドバのカリフの総理大臣だったユダヤ人ハスダイと、ハザール王ヨセフとの間に『ハザール書簡』がかわされる。

965年

キエフのスビャトスラフがハザール汗国へ遠征し、首都イティルを破壊。

1016年

ビザンティン―ロシア連合軍がハザール汗国と会戦。

1078年

ローマ教皇グレゴリウス7世がキリスト教国でのユダヤ人の「公職追放令」を布告。

1099年

十字軍、パレスチナを支配(~1291年)。
十字軍の暴徒、ヨーロッパ諸都市でユダヤ人を虐殺。

1146年

フランスの修道士ルドルフが十字軍を呼びかけるとともに、ユダヤ人撲滅を呼びかけた。

1189年

イングランドのリチャード獅子王の戴冠式にあたり、突如ユダヤ人の迫害が起きる。
大半のユダヤ人の家は焼かれ、多くのユダヤ人が殺された。
ユダヤ人の財産は王のものとされた。王の代理人のみが8万マルクを費やして、ユダヤ人を救った。

1200年前後

「イスラム東方世界」から逃れてきた東洋系ユダヤ人が、スペインに知的な黄金時代を開花させる。
ユダヤ史で、預言者の時代以来の最も知られている時代となる。
アルファシが『タルムード』を法令化。
ユダヤ学者マイモニデスが『第二トーラー』を著す。
詩人ユダ・ハレヴィが「ユダヤ精神」をロマンティックな詩に謳いあげる。

1215年

ローマ教皇、第4回ラテラノ会議でユダヤ人にバッチを付けることを義務づける。

1236年

モンゴル軍のロシア侵入、いわゆる「タタールのくびき」が始まる。

1243年

キプチャク汗国成立。
ハザール汗国はバトゥ・ハーンの権力下に吸収され、ハザール汗国滅亡。
改宗ユダヤ教徒ハザール人たちはロシア・東欧に大量移住し、後のいわゆるアシュケナジー系ユダヤ人の中核を形成する。

1290年

イングランドのエドワード1世が、ユダヤ人を国内から追放。

1291年

マムルーク(エジプトの王朝)がパレスチナを支配(~1516年)。

1298年

神聖ローマ帝国でユダヤ人迫害。
貴族のカルブフライシュは全ユダヤ人を壊滅させるように神の命令を受けたと主張。
黒死病、宗教的異端説、経済的疲弊がヨーロッパ社会を粉砕し始め、ユダヤ人の共同体生活を揺るがす。
「マハリル」が「タルムード学者」に代わって権力を振るい始め、ユダヤ人の知的生活を損なう。

1306年

フランスのフィリップ王、ユダヤ人を国内から追放。

1321年

フランスのギエンヌ州で、井戸に毒を投げ込んだと拷問を受けたユダヤ人が告白したため、5000人のユダヤ人が火刑となった。

1348年

ユダヤ人がペストをばらまく犯人だとされ、ヨーロッパ各地でユダヤ人の虐殺が起きる。

1394年

フランスで第2回ユダヤ人追放。

1421年

オーストリアからユダヤ人追放。

1453年

オスマン・トルコ帝国は、ユダヤ商人・職人を厚遇する。

1478年

スペインでユダヤ人に対する異端審問が始まる。

1492年

キリスト教徒がレコンキスタ(スペイン再征服)を成功させると、スペインで徹底的なユダヤ人追放政策がとられる。

1495年

リトアニアからユダヤ人追放。

1497年

シシリー、サルジニア、ポルトガルからユダヤ人追放。

1517年

オスマン・トルコ帝国がパレスチナを支配(~1917年)。

1544年

宗教改革者マルチン・ルターがユダヤ人を攻撃。

1554年

「ユダヤ人集団隔離居住区(ゲットー)」がヴェネチアに初めて設置される。
ジョセフ・カロが著書『整えられた食卓』で、『タルムード』を「スファラディ系律法」に法令化すると、これに対抗する形で、ヤコブ・イセルレスが著書『テーブルクロス』で、『タルムード』を「アシュケナジー系律法」に法令化した。
ユダヤ人の知的生活は衰退し始め、「サバタイ運動」「フランクの説」「ハシディズム」という3つの異端神学が、ユダヤ教の聖職者を苦しめ始める。

一部のユダヤ人はゲットーを逃れて、「宮廷のユダヤ人(ホフ・ユーゲン)」「サロンのユダヤ人」「保護されたユダヤ人」と呼ばれるグループを形成する。



※『赤い盾』とヘブライの館にある年表をたたき台として使用させていただいております。

最終更新:2007年08月12日 11:44